大会レポート⑧ 交流戦 大垣日大OB対桐生第一OB
あの夏を取り戻せ~全国元高校球児野球大会2020-2023~の交流戦1日目、明石トーカロ球場での第一試合。大垣日大高校OB(岐阜)と桐生第一高校OB(群馬)の試合が始まろうとしています。
明石トーカロ球場(兵庫県立明石公園第一野球場)は兵庫県南部の明石市に位置する球場。広さが両翼100m、センター122mとなっています。
こちらの明石トーカロ球場は全国高等学校軟式野球選手権大会の開催地となっており、言わば『軟式の甲子園』です。過去には4日間、延長50回にも及ぶ激戦が行われた球場。この交流戦も、そんな球場の歴史に刻まれる一戦となるかもしれません。
先攻は一塁側の大垣日大、甲子園初出場となった平成19年(2007年)の春の選抜で準優勝、その後も出場を重ね、春5回、夏6回の計11回の甲子園出場(2024年現在)を誇る強豪校です。2020年は岐阜県の独自大会優勝後、勢いそのままに46年ぶりとなった『三岐大会』で三重県の王者いなべ総合学園にも勝利しました。
後攻は三塁側の桐生第一、平成11年(1999年)の夏の甲子園では優勝を成し遂げましたが、夏の甲子園への出場は平成18年(2006年)以来遠ざかっています。もし2020年に夏の甲子園が開催されていれば、14年ぶりとなる夏の甲子園への出場となっていたかもしれません。また、2020年は春の選抜への出場を決めており、夏に開催された甲子園交流試合にも出場しました。
両チームのスターティングラインナップは以下の通りです。
桐生第一は先発の宮下宝投手をはじめ、群馬県大会決勝戦もスタメンだった選手4人がスタメンに名を連ねています。
大垣日大はスタメンの打者9人中6人が右打者。サウスポーの相手先発、宮下投手とどのような勝負を繰り広げるか注目です。
桐生第一のマウンドに上がったのは宮下宝投手。高校時代は変化球と制球力を武器に技巧派左腕として活躍。2020年の甲子園交流試合では先発投手として、明石商業の中森俊介投手(現千葉ロッテ)と投げ合いました。
プレイボールのサイレンが鳴り響いた直後でした。大垣日大の1番打者、加藤響選手のセンター前へ抜けそうな打球を桐生第一のショート福士信晃選手がキャッチ。そのまま1回転しながら一塁へと送球しアウト。
W主将の1人である福士選手のファインプレーに、桐生第一ナインが盛り上がります。勢いそのままに宮下投手は続く打者2人から連続で三振を奪い、初回を三者凡退で切り抜けました。
その裏、マウンドには大垣日大の先発、山本隆太投手が上がります。山本投手は2018年秋の東海大会で当時1年生ながら登板するなど、下級生の頃から活躍してきました。
桐生第一は先頭の曽我一瑳選手がツーベースヒットで出塁。先制のチャンスを作るも、続く打者が打ち取られ、二塁ランナーの曽我選手も飛び出したところを刺されてしまい一気に二死ランナーなしとなります。
ここで打席には先程の守備で好プレーを披露した福士選手。追い込まれてからの変化球を捉えて、打球はレフトオーバーのツーベースヒットに。二死から再び先制のチャンスを作ります。
ここで打席には4番の大澤直弥選手。カウント2-2からのボールを逆らわずに流してライト前へ。大垣日大のライト角田颯士選手からホームへ鋭い送球が返ってきますが、二塁ランナーの福士選手はタッチをかえくぐってホームイン。先制点は桐生第一に入りました。
更に5番の佐藤詩恩選手も内野安打で出塁し、追加点のチャンスとします。しかしここは山本投手が外角へと逃げる変化球で三振を奪い、追加点は与えません。
2回表、この回の先頭打者として左打席に入ったのは4番打者の田邉源到選手。
外角の変化球を綺麗なセンター返しで弾き返しました。大垣日大のチーム初ヒットが生まれました。
更に5番打者の酒井大翔選手も続きます。ピッチャー強襲の内野安打で出塁。初回に先制を許した大垣日大でしたが、すぐさま同点のチャンスを作ります。
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続く林晴真選手の進塁打で一死二三塁とすると、バッテリーエラーの間に三塁ランナーがホームイン。1-1の同点となりました。
なおも一死三塁と大垣日大の勝ち越しのチャンスでしたが、ここは桐生第一の宮下投手が踏ん張ります。打者2人から連続でアウトを奪い、勝ち越しは許しませんでした。
同点に追いついてもらった直後のイニング。山本投手は桐生第一打線を三者凡退に抑えます。テンポの良いピッチングで流れを作り、味方打線の得点を待ちます。
3回表、桐生第一の宮下投手も先頭にヒットを許したものの、その後は三者凡退で無失点。両チームともに守備からリズムを作り攻撃に繋げたいところです。
好投手による投げ合いで試合展開が膠着するかと思われましたが、3回裏に試合が動きます。
1番からの打順となるこの回、先頭の曽我選手が四球を選び出塁します。その後一死となり、打席には初回にツーベースヒットを放った福士選手が入ります。
カウント2-1からの4球目、低めの変化球を捉えた当たりはレフトの頭を越え、フェンスに直撃します。この当たりで一塁ランナーが一気にホームイン。福士選手のこの日2本目となるツーベースヒットで桐生第一が勝ち越しました。
再びリードする展開となった桐生第一は4回、背番号1の廣瀬響太郎投手がマウンドに上がります。
大垣日大は先頭の田邉選手が内野安打で出塁。ここで代走として有村航汰選手が登場します。有村選手は果敢に盗塁を仕掛けますが、桐生第一の星野綜汰選手が正確無比のスローイングで阻止します。星野選手は2020年も正捕手としてマスクを被り、群馬県大会決勝では満塁ホームラン、甲子園交流試合でもタイムリーヒット放つなど、攻守にわたって活躍しました。
女房役の好プレーでアウトをもらった廣瀬投手は、続く酒井選手に四球で出塁を許すも、巧みな牽制球でアウトを奪います。廣瀬投手はランナーを2人出したものの、結果的に3人でイニングを終えました。
大垣日大も4回から投手が代わります。2番手として林晴真投手がマウンドに上がりました。
林晴真投手はいきなり二者連続で出塁を許したものの、落ち着いていました。帽子を飛ばす躍動感のあるピッチングで三者連続でアウトを奪い、この回を無失点で切り抜けます。
林晴真投手の好投に応えたい大垣日大打線は5回、代わった木部一真投手相手に一死から8番山本選手の内野安打、9番森大也選手のツーベースヒットで二三塁とします。下位打線がチャンスを作り、上位打線に回します。
ここで打席には1番の加藤選手。2球目を捉えて打球は左中間へ。ランナーが2人一気に生還し3-2、大垣日大が逆転しました。
その後は両チーム無得点で6回裏まで進み、6回裏が終了した時点で制限時間を迎えゲームセット。3-2で大垣日大の勝利となりました。
この試合、大垣日大は11選手、桐生第一は13選手と、両チームともにベンチ入りした選手が全員出場しました。強豪校同士の非常に引き締まった試合となりました。
両チームの選手成績は以下の通りです。
文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会
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