カフェごとミュージアム"代官山 Lurf MUSEUM"
ヒルサイドテラスへ行く手前の交差点近くにある"Lurf MUSEUM"。
1階はカフェで2階はミュージアムスペースになっている。noteの記事で見たカフェの家具やインテリアが気になってしまい、行ってみた。
Lurf MUSEUMは2022年にオープン。内装設計は中村設計室。オープン時はイラストレーターの長場雄氏の個展が開催され話題となった。
デンマークのヴィンテージ家具類で構成されたこだわりの空間。現代アートとの組み合わせが意外にも合う。ありそうでないこのコンビネーションは何とも居心地がよい場所となっていた。
1.デンマークのマスターピースたち
アートやコーヒーを楽しむためのカフェだが、それがなくとも座りに行くだけでも価値があるのがここだ。椅子は建築家であり、デンマークデザインの父と呼ばれたコーア・クリントのフォーボーチェアやレッドチェア、照明はポール・ヘニングセンのPHシリーズ、陶芸家デザイナーで統一されたアクセル・サルトのフラワーベースなどデンマークのデザイナーたちによるマスターピースがぎゅっと凝縮されている。
ヴィンテージならではの木部の深い味わいや革の艶、丁寧な仕事のボタン留めや縫い目は見ていて安心感がある。それらに調和するように造作のカウンターやシェルフがデザインされている。
インテリアも多様化し様々なテイストのミックスドデザインも増えているが、ここまでデンマーク近代デザインが貫かれているのは珍しい。
2.こだわりの音と味
店内ではアナログのレコードがプレーヤーに乗せられ、真空管アンプにより柔らかな音を届けている。コーヒーは神保町にある、グリッチコーヒー&ロースターズの豆を使いひとつひとつ丁寧にハンドドリップで入れている。
訪れた時はあまりの暑さに辛口ジンジャエールを頼んでしまったが、これもまた美味しかった。
3.アートが引き立つ空間構成
今月初旬までカフェで開催されていたのが、北澤平祐氏による個展「The Great Escape」。大脱走というタイトル通り、過去(経験)と未来(結果)、または同時多発的現在の「わたしたち」が繋ぎ、結び、乗り継ぎ、進み続ける物語を表現している。16年アメリカ在住だったというプロフィールにあるように、日本らしいファンシーで繊細な線が特徴的でありながら、アールデコやアールヌーボーも彷彿とさせるキリッとした構成と植物の有機的なラインが、どこにも属さない独特の雰囲気が感じられる。
インテリアもアートも音楽もコーヒーもこだわりが貫かれていて、一度に何度も美味しいカフェミュージアムだ。