【workshop】 糸かがりノートをつくろう | 『週末でつくる紙文具』 ワークショップ at TEGAMISHA BOOKSTORE
— 製本ワークショップのご案内 —
2024年10月14日、東京・西調布の「TEGAMISHA BOOKSTORE」にて製本ワークショップを開催します。手紙社が運営するこの書店は、本好き&文具好き垂涎の空間。素敵な本とともに、350種類ものオリジナルペーパーが並びます。お好みのペーパーを使って、糸かがりのノートをつくりましょう。
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今回つくるのは「糸かがりノート」です。 糸でかがるので、開きのよさは抜群! スケッチやメモに重宝する文庫サイズの一冊を、背はむきだし、表紙は切りっぱなしという、ちょっと変わった仕様でつくります。
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普通、本には「背表紙」というものがついています。しかし、今回はあえて背表紙をつけません! こうした背がむきだしになったスタイルは「コデックス装」などと呼ばれ、最近は書店でも見かけるようになりました。当然ながら背表紙のある本に比べれば強度の面では劣ってしまいますが、開きのよさや軽やかさなど、コデックス装ならではの魅力があります。
何といっても、本文をかがった糸が「丸見え」なところがいいんです。通常は背表紙で隠れてしまうステッチが、造本の機能としてだけでなく、デザインの一要素として光を浴びることになります。
糸かがりにもさまざまありますが、今回は「フレンチ・ソーイング(フレンチ・リンク)」という手法を用います。「かがり台」などの専門的な道具がなくても、針と糸さえあればできるのがポイント。バッテンが連なったようなステッチにも、手製本ならではの愛嬌が(これって偏愛?)。
表紙は、手紙社のオリジナルペーパーを2ミリ厚の板紙に貼ってつくります。上製(ハードカバー)であれば板紙の四方をくるむところを、あえて片面に貼るだけの並製仕上げ。このノートについては、こうした切りっぱなしのラフさが似合うかな、と思います。
糸でかがった本文に表紙をつけたら、最後に前小口(本を開く側)を「化粧断ち」します。手動の断裁機で「えいっ!」とカットするのですが、このちょっとした力仕事も体験していただきます。
ちなみに、天と地は断裁せずに、そのままの風合いを生かします。断裁しない仕上げのことを「アンカット」というのですが、例えば岩波文庫や新潮文庫なども「天アンカット」仕上げです。これ、断裁していないからといって簡易なやり方なわけじゃなく、断裁しなくてもいいように丁寧につくる必要があるため、アンカットのほうがコストがかかるのです。それでもあえてアンカットを選ぶ出版社があるのは、その風合いが古きよき時代の本を思わせるから。というわけで、このノートも丁寧に仕上げていきましょう。
完成したら、その使い心地を味わってください。ペタンと180度開く感触は格別です。開きがいいといえばリングノートも思い浮かびますが、書くときにリングの突起が邪魔になるのが玉にきず。これならフルフラットで書きやすく、また見開き全体を一つの画面として使うことができます。アートブックや写真集がコデックス装を採用するのは、多くの場合、このフラットさを求めてのことなのです。
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表紙に貼る手紙社オリジナルペーパーは、350種類からお好みの一枚をお選びいただけます。大振りな図案を思いきってトリミングしてもいいし、繊細なパターンを総柄として使っても。ちなみに、作例の3冊のうち「カメ」の図案は、表紙と裏表紙がつながるようにしてみました。
本文用紙は、未晒クラフトや筋入りクラフトなど、5種類から選べます。数種類をミックスするのもOK。作例でも、未晒クラフトと中質紙を交互に重ねてストライプにしたり、5種類をランダムに重ねたりしています。
また、見返しの色、糸の色も数種類からお好みのものを。表紙、見返し、板紙、かがり糸、本文用紙……一冊を構成するすべての要素が背から一望できる仕様だけに、組み合わせにこだわってくださいね。
この糸かがりノートのワークショップをするのは、実に5年ぶりです。随分ご無沙汰していたことに、わたし自身もびっくりしました。よくよく考えてみると、コロナ禍でオンライン開催していたときに「断裁機が必要だから、このワークショップはできないね」ということになり、そのままラインナップから消えてしまっていたような気がします。
忘却の彼方から舞い戻った、この糸かがりノート。5年の潜伏期間(?)を経て、以前は1種類だけだった本文用紙や見返しを選べるようにし、アンカットも取り入れて、ささやかですがリニューアルしました。
切って、折って、貼って、縫って……小さな作業を積み重ねるうちに、紙切れだったものが手の中で本になる。この瞬間が、手製本の醍醐味です。製本ははじめてという方にも、このよろこびを味わっていただきたいです。
● 詳細およびお申し込みは、手紙社さんのオフィシャルサイトにて。