「世界標準の子育て」後編
「世界標準の子育て」を要約しています。
1〜3章は世界標準の子育てとは、と言う知識編、
4〜6章はその知識を元にした実践編です。
今回は、子育ての壁への対処法を要約して行きます。
最後のQ & Aが58問あるので、少し長めです。
子育ての壁への対処法
1〜2歳児 「魔の2歳児」を上手に乗り切る方法
自分の力を試してみたい自立心と親から離れることへの不安や寂しさを感じており、「自立」と「甘え」の狭間で気持ちが揺れ動く。それをコントロールできずに情緒不安定になる。
甘えたい気持ちに共感し、「いや」という言葉に目くじらを立てず、なぜ行動を変更しなければならないのか、理由をわかりやすい言葉で教える。癇癪が治らない時は、笑わせて落ち着かせる。
この時期はわがままではなく、成長へのエネルギー。それをプラスへ転換させる。
やる気・好奇心→学び・運動・お手伝いに向ける。
知育おもちゃで自分でできる体験、お絵描き・粘土などで想像力を要求する遊びに。
身の回りのことも出来るだけ自分の意思でしようと思っているのならやらせて、時間がかかっても汚れても親は見守る。できたら大袈裟に褒める。
言葉が足りないので自分の気持ちをうまく表現できない。なのでフラストレーションも溜まる。言葉が出るようになると、情緒も安定してくる。
2〜4歳 子どもにマナーを教える時のポイント
新しい社会(園・公共の場・地域社会・友達)環境に子どもを入れる時には、必ず前もってどこに行き・何をするのか・また何をしてはいけないのかを伝える。
しつけの目的は「みんなと楽しく快適に過ごす方法」、押し付けではなく、どう行動すれば周りと楽しく過ごせるか子どもに考えさせる。
何度言っても言う事を聞かない、そんな時はまず子どもの心を満たす。心を満たすには肌と肌の触れ合いを増やすことが一番。心が充足すればしつけを受け入れる余裕が生まれる。
7歳 勉強でつまづいている時はどうすればいい?
勉強が得意だ、という自信が持てると進んで勉強するようになる。
小学校低学年の内容であればすぐに取り戻せる。低学年の時はプラス暗示が効果的(大袈裟に褒める)。
高学年からは、得意分野を伸ばしてあげる。そして得意分野で自信をつけ、苦手分野へ取り組む。
家族全員で食事をとり、雑談をすることも大事。ハーバード大学の調査によると、家族全員で食事をとる子は、成績が良い・語彙力と読書力が高い・高い学力学歴を得る・情緒が安定している・対人関係が良好・親子関係が良好・喫煙ドラッグアルコールの問題が少ない・肥満になることが少ない、と言う結果が出ている。
7歳〜 パソコン・スマホ・ゲームは与えるべきか否か?
ITツールは不可避。親がルールを一方的に決めるのではなく、親子会議をして決める。ルールを守らなかった時の罰則も決める。
プログラミングを学ばせ、遊ぶ側から作る側へ。プログラミングは、問題発見能力・問題解決能力・論理的思考力を伸ばすのに良い。
アメリカの小児科学会では、1日の操作時間を、
0〜1歳半→0時間
2〜5歳→1時間
6歳以上→両親とルール決め
と推奨している。
10歳〜 子どもが親と話をしなくなったら
自分の事や学校の事などを話したがらなくなる。それは健全な変化だが対応が重要になってくる。多くの親が、子どもを子ども扱いして、尋問・質問・命令を繰り返してしまう。いい親子関係を築くには雑談の5つのルールがある。
雑談→どうでもいい話・笑い話・失敗話・噂話・世間話・気楽な話
ルール1:子どもに話させようとせず、自分から話題をふる
ルール2:子どもが話題に乗ってきたら、見逃さずに話題を広げる
ルール3:話を遮ったり、急かしたり、否定したりせずに最後まできく
ルール4:上から目線で話をしない(バカにしない・説教しない)
ルール5:話やすい環境を作る(車の中や食事中などリラックスした雰囲気で)
親が子どもに媚びへつらうことではなく、お互いを人間として尊重し合うと言うこと。敬意をもって丁寧な言葉で接する。
13歳〜 ティーンエイジャーの反抗期
思春期の反抗は大人へのステップ。不機嫌な時は関わらない。放っておき、受け流す。
ティーンエイジャーは忙しくさせておくことを心がける。多くの活動に参加させ、多様な人付き合いをしておくとイライラは分散される。
そして時間管理を教える。スケジュールを決め、守ることを家族のルールとする。(宿題・部活・遊ぶ・食事など)体を動かす活動をするとイライラは蓄積しない。
13歳〜 やる気のない子どもへの対処法
放置せず、出来るだけ早く子どもと向き合う機会を作る。
向き合うと言っても、命令したり説教をするのではない。
そもそもやる気がなくなったのは、親の過干渉のせい。子どもをコントロールしてきたせい。
まずは子どもを1人の人間として尊重し、ただ何か好きなことををしながら一緒に過ごす。小言はなしに。そうすると見落とした子どもの良い面が見えてくる。
親は子どもの強みを見つけて応援する応援団になる。
14歳〜 進学・進路の悩み
本当に自分の選択なのか?と問うてみる。
友達が行くからその学校に行きたい、などとなっていないか。
人生は選択の積み重ねだと言うこと、後で何が起きても人のせいにはできないこと。自分で選択するという意識が持てると、人に流されなくなる。
子どもが選択に迷っている時は、親としては難しい道の方をアドバイスする。学生時代の失敗は必ず取り戻すことができる。
14歳〜 アイデンティティの問題
ティーンエイジャーは、自分は誰なのか?と言う問いに明確に答えられない。自分のやりたいことが分からずに思い悩んでいる。なので、子どもの強みや興味を実社会で体験させる。父親の仕事を見たり聞いたりするのも良い。職場体験なども。
何となく進学、ではなく、自分と真剣に向き合う経験、自分の将来を真剣に考える経験を。
巻末特典 子育てQ & A 58
1:男児と女児の接し方を変えるべきか
→男児はおだてて育てる。女児は手本を示す。
2:子育ては田舎?都会?
→学校選択による。質が良い学校へ。
3:夫婦共働きでもいい?
→(時間と手間の)量より質。
4:祖父母に面倒を見てもらう
→良い。色んな人との関わりを。
5:夫が手伝ってくれない
→頼む、感謝する、おだてるのルーティーン。
6:パソコンは何歳から?
→6歳以下は1日1時間以内、小学生は2時間以内。操作する場所は、家族がいる居間や食卓。
7:子供部屋は何歳から?
→小学校高学年くらいかな。部屋に篭らせない。
【0〜6歳】
8:しつけを教えるタイミング
→家庭から社会へ出る3歳までの間。愛情が満たされていれば受け入れる。
9:2歳の息子が他の子とおもちゃをシェアしない
→一人遊びが多い子の特徴。ごっこ遊びでシェアや他人を気遣う事を学ばせる。
10:ゲームはさせてもいいか
→6歳未満は30分程度を目安にさせっぱなしはダメ。両親との関わりが多いほど、学力が増え外交的で情緒が安定する。
11:3歳娘が園の入り口で泣き喚く
→母子分離ができない子はママから捨てられるという恐怖がある。突き放さずスキンシップを。必ず迎えにくると安心を。
12:息子が引っ込み思案ですぐ泣く
→根拠のない自信不足。いつもと違うと怖がる。スキンシップを増やす。
13:癇癪を起こす4歳の息子
→欲求不満状態。子どもの行動に過干渉だと、ストレスが溜まる。親が手出しをせず気長に待つ。
14:5歳の息子、落ち着きがない
→押さえつけるとやる気を失う。勉強以外の強みを見つける
15:5歳の息子、嘘をつく
→何かを訴えたい気持ちを無視されたという不満の表れ。一方的に叱らず、対話とスキンシップを。
16:妻がいつも子どもを急き立てる
→お母さんをお父さんがもっとサポートする。母のストレスは父が解決する。
17:下の子が産まれて、上が荒れた
→ヤキモチのサインは見逃さない。スキンシップを増やす。
18:好き嫌いは治すべき?
→食卓の雰囲気改善を。小言を言わず楽しい雰囲気だと何でも食べるようになる。
19:妻にばかり子どもが懐いている
→どの子も母に一番愛着を感じる。父との関係は小学校からが重要。良き遊び相手に。
【7〜12歳】
20:小一息子に友達ができない
→何か一つ特技を磨く。そうするとその分野で友達が出来るし、人前で披露できれば自信がつく。
21:宿題をやりたがらない
→したがらないのはできないから。親と一緒に宿題をする。短時間で終わらせられるよう、分からない問題をずっと1人で解かせない。
22:勉強の見直しができない
→男の子に多いケアレスミス。正確さを追求するクセをつける。間違いを消さず、正しい答えが分かるまでやる。根気強くサポートする。
23:小3息子が5歳弟とケンカばかり
→下の子が産まれた時に手助けを頼まないと上の子は「ライバル」として認識する。お兄ちゃんに頼み事を増やすと自信がつき、兄弟喧嘩は減る。
24:学校でいじめられている
→いじめは多様性を受け入れられない社会で多く起こる。「気弱」は裏を返せば「優しい」になる。子どもの個性を守るため、学校に相談。子どもに問い詰めず雑談を増やしコミュニケーションをとる。
25:ゲームばかり欲しがる
→社会性を身につけるツールの一つ。しかし部屋にこもってのゲームはNG。暴力的なもの、刺激の強すぎるのもNG。中毒症状も起こらないように。
26:部屋に閉じこもってゲームばかり
→一人っ子に多いパターン。家庭のルールを一緒に決め、雑談を増やしコミュニケーションを。指示命令を減らす。
27:塾に通わせるべき?
→小学校レベルであれば親が見てあげることが理想。小4で内容が高度になっていくので注意。親だと子どもが甘えるので必要であれば手を借りる。
28:習い事を辞めたいと言っている
→ほとんどの場合うまくできないから。簡単には辞めさせない。どうするとうまくできるようになるかサポートする。
【13〜15歳】
29:中学に入り、学力が伸び悩む
→多感な時期になると様々な理由で伸び悩む。尻を叩かず必要なサポートを。
30:息子が毎日ゴロゴロ寝てばかり。
→強みを活かせる習い事やクラブ活動へ参加させる。自分の力だけでは難しい。子どもを忙しくさせる。
31:娘が「ウザい」など暴言を吐く
→反抗期は成長のプロセス。自立と甘えとの葛藤でイライラ。反抗期が過ぎるまで放っておく。ガミガミ言うとかえって長引く。
32:息子が悪い仲間と付き合っている
→暇になると悪い仲間と付き合いやすくなるので、忙しくさせる。何でも話せる親子関係を作る。
33:喫煙・飲酒をしている、どう接する?
→頭ごなしに叱るのではなく、いい親子関係を。それを維持できれば非行には走らない。子どもを忙しくさせる。そして強みを伸ばす。
34:娘がソーシャルメディアで遊んでいるようで心配
→止めるより、親子の会話を増やす。雑談の時間は減るが、何でも話し合える親子の関係を構築する。ソーシャルメディアはいじめにも使われるので、注意が必要。いじめのターゲットになる前に対策を。
35:娘に年上の彼氏が
→門限・メディア使用についての家庭でのルールを子どもと一緒に作る。子どもを忙しくさせ、夢中になれることがあれば、彼だけに夢中にはならない。
36:娘が化粧をして学校へ行く
→学校のルールを守りながら、容姿のコンプレックスを減らすことであれば認めても良いのでは。アメリカでは容姿も一つの自己表現。子どもの強みや良い面を伸ばすことにも目をむける。
37:息子がネットで有害サイトを見ている
→家庭内のメディア使用のルールを作る。
38:夜遊びで帰宅時間を守らない
→親が一方的に決めるのではなく、子どもと話し合ってルール作りを。
【16歳〜】
39:バイトがしたいと言い出した
→学業や課外活動に支障がない範囲で。社会経験は良いので、バイトの他にボランティアやサマーキャンプなどの活動も良い。学校と違う多様な人たちと切磋琢磨する経験を積ませる。
40:食事中も携帯を離さない
→食事は対話の時間、楽しい時間を心がける。家庭内のメディア使用のルールを決める。
41:友達とうまくいかず学校へ行きたがらない
→子どもには個性があり、合わない仲間と付き合う必要はない。親は子どもの個性を守る。いい面を活かせる習い事やクラブ活動を。
42:息子に彼女ができて成績が落ちた
→交際を否定せず、対話を増やす。自分の人生は自分で選択しいていると分かると、主体性を持って動けるようになる。
43:部活を続けるか悩んでいる
→高校になると、自分の技能レベルがわかる。そこで辞めようと思うが、親は継続して頑張る事を勧めてあげて。諦めないという選択が、これからの人生に与える影響は大きい。
44:海外旅行に行きたい
→広い世界を経験することは必ず人生にとってのプラスの経験となる。
45:大学受験を控えているが目標がなく進路選択ができない
→強みを活かせられるように親がサポートする
【進学・進路について】
46:子どもを伸び伸び育てたいが、早期教育は必要か
→今の社会は何事も先取りで、そう考えるとある程度は必要。建前では就学前に勉強を教える必要はないと言いたいが、本音では基礎学力と学習習慣をつけて小学校に送り込む必要がある。
47:何歳から勉強させるのがいいか
→大切なのは学習習慣作り、学習に向き合う態度。
48:小学校受験はさせるべきか
→受験するならば4〜5歳から準備を。「自信」「考える力」「コミュニケーション力」の土台を作る。合格にとらわれ過ぎ詰め込むと、発達に悪影響があり、自信を失う。小学校受験では親子関係も詳しく見られる。好奇心旺盛で素直で自信に満ち溢れ、誰とでもコミュニケーションが取れる子に育てれば受験で成功する可能性は高くなる。
49:日本の学校では個性が潰れないか?
→子どもの個性は親が守るもの。先生とのコミュニケーションを密にして、先生に子どものことをもっと知ってもらう。子どもの特性が分かれば、先生からより適切な指導が期待できる。学校任せにせず、必ず親が関わる。
50:インターナショナルスクールはどうか?
→海外と同じ教育が受けられる場所。将来海外へ移住予定・日本の教育に疑問・海外の大学へ進学などの目的があればその選択はある。ただし、両親のどちらかが英語が話せること、さらに海外の学校のシステムに馴染みがあることが重要。両親の継続的なサポートがなければ意味はない。
51:中学は公立と私立どちら?
→効率の最大のメリットは学費が安い。私立を選ぶメリットは環境。内容が充実している。独自の建学精神に基づいた教育をしているので、家庭の教育方針に合った学校を選ぶことができる。学校選びは多様性にも目をむける。留学・音楽・スポーツに力を入れているなど。
52:一貫教育で大学まで行くのはどうか?
→受験は、将来の目標について真剣に考えるプロセスがある。それがないのは不安。そして多様な価値観がない(同じメンバー・同じ考えなど)。一貫校へ行ったとしても、多様な人との関わりがある場を持っておく。
53:国内の大学はどこがおすすめか
→名前や偏差値ではなく、子どもの強みと将来のキャリアプランを視野に入れて選択。学部でリサーチする。
54:勉強が嫌いなので大学にはいかないという
→子どもが学業面で家庭のサポートが受けられないと嫌いになる。無理に大学に行かせるのではなく、やりたいことを尊重する。大学は様々なバックグラウンドを持った人が集まる。その出会いや交流は必ず人生の肥やしになるので、その重要性を教えてあげる。
55:子どもがミュージシャンになりたいと言い出した
→自分の強みに気づいた。親の仕事は強みを伸ばしてあげること。本気で活動し始めると、同じようにミュージシャンを目指す人との交流がある。そんな経験ができるのは良いこと。
56:声優になりたい。専門学校という選択肢は?
→欧米では、総合大学は芸術系の学部もあるので、芸術系の仕事を志す多くの学生は大学に進学する。大学で一般教養を学びつつ、専門分野を極めていく。大学では多様な人と触れ合うことができる。
57:受験に失敗した、どうすべき?
→受験は一つの通過点、人生のゴールではない。いくらでも巻き返しはできる。親は子どもが目標を達成できるまでサポートを。
58:子どもに会社を継がせたい、どんな教育が必要?
→継がせたいなら、学生時代にその職業を経験させることが大切。継ぐか否かは子どもの意思に任せる。多くの実業家の子どもは、お金やビジネスの教育を受けて育つことが多く、結果ビジネスの道に進むケースが多い。
一冊を要約しましたが、この中でも何度も何度も繰り返すキーワードがあります。
そのキーワードから、なんとなく子育ての外してはいけないポイントみたいなのが見えてきました。
こんな感じですかね。
何度も出てきました。
確かに、これをやっている家庭はそこまで大きな問題はない気がします。
全部「1人の人間として尊重する」というところから出来る項目ですよね。
貴重なアドバイスでした。
船津さん、ありがとうございました。
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