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強制捜査

タイトル:強制捜査 特命捜査対策室椎名真帆
著者:山邑圭
出版社:角川文庫


荻窪東署捜査一課特命捜査対策室第七係から、その日有沢が警察庁に戻ることになっていた。しかし、その日も重丸係長はいない。
真帆が配属した時から単独行動をしている重丸。いつもの事ではあるのだが、最近では真帆も週2回しか顔を合わせていなかった。

七係と言えば閑職と言われるが、敏腕刑事と呼ばれていた重丸は2年前の事件によってここに来た。巡査一人を負傷させ、犯人を取り逃がす大失態を犯した重丸だったが、未解決事件としてファイルにも載っていない。

同日に起きた葛飾区の事件の裏側であった、世田谷の誘拐強盗事件とは、そして捜査関係者が隠そうとしている理由は何なのか。真帆と有沢は、周囲の関係者を巻き込みながら独自で捜査を進めていくと、ある学習塾の闇にぶち当たった。

有沢自身が過去この塾に通い、さらに他の警察の子供達も入校した、実績ある塾ではあるが、果たしてこれは偶然なのか。そして、誘拐強盗事件の犯人とされている男の正体は何者なのか。


何も考えずに読める、電車の中で読みたくなるような、日曜の昼下がりにテレビで放送されている刑事ドラマが好きな人におすすめ。

この特命捜査対策室椎名真帆のシリーズは『刑事に向かない女』からスタートして第5弾に当たる。この真帆さん、父は刑事で母はいない。しかし、母の辛い思い出によって、大きな傷を抱えている。基本、捜査の話がメインでストーリーは進んでいくが、端々にほの暗さが付きまとう。

とはいえ、小柄で童顔、見た目が刑事に見えないというイメージ設定は、聞き取りをするときには相手を警戒させない武器ともいえ、大人のキリリとし有沢さんとの対局のイメージ設定と絶妙にマッチしている。

真帆は伯母の曜子と長年暮らしているが、こちらとのコンビの距離感も良い雰囲気となっている。親子のような関係でありながら、あくまで伯母と姪。そして大人同士というので良い関係を築いていた。スカッとしたい刑事ものが読みたいときにどうぞ!


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