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ジョン・スチュワート・ミル

 ジョン・スチュワート・ミルはイギリスの学者で政治家(1806―1873)。古典的リベラリズムや古典派経済学など動で知られる。

ジョン・スチュワート・ミルの生涯


 ジョン・スチュワート・ミルはイギリスのロンドンで経済学者のジェームズ・ミルの長男として生まれた。幼少期より、父から英才教育を受けた。
 たとえば、ミルは3歳からギリシャ語、8歳からラテン語を学んだ。12歳になるまでには、代数やユークリッド幾何学を学んだ。

 父ミルは功利主義理論の大成者ベンサムと親しい友人となっていた。J.S.ミルもまたベンサムの著作を読み、大きな影響を受けた。
 1823年、J.S.ミルはイギリス東インド会社に入った。この会社では、上司の父ミルのもとで働いた。
 1826年、20歳の頃に、ミルはいわゆる精神の危機を経験した。従来信奉してきたベンサムの功利主義にたいして大きな疑念を抱くようになったのである。
 この時期に、ミルは哲学者コールリッジや歴史家カーライルなどの著作に影響を受けた。
 たとえば、コールリッジの哲学から、ミルは歴史と状況の多様性が重要であることを学んだ。その影響は、たとえば父ジョン・ミルへのミルの批判にみられた。
 この頃、ミルはジャーナリストとしても活動した。
 1840年代には、ミルは代表作となる著作を刊行していった。『論理学大系』 では、演繹法と帰納法の使用にかんして論じた。
 ミルはカーライルや社会学者コントらと交流を持つようになった。ミルがカーライルの著作の原稿を不注意で燃やしてしまった事件は有名である。日本で浮世絵となったほどだ。

 ハリエット・テイラーとの恋愛

 1830年頃には、ミルは将来の妻となるハリエット・テイラーと出会い、恋に落ちた。ハリエットは既婚者だったので、両者の結婚は1851年になってからだった。
 二人は様々な議論を行った。1858年、ハリエットが没した。

 ミルの思想的発展:リベラリズムの理論家

 1859年、ミルは『自由論』を公刊した。本書もミルの代表作の一つであり、リベラリズムの古典として知られる。ミルは本書がハリエットのおかげだという。

 1863年、ミルは『功利主義論』を公刊した。本書において、ミルがベンサムの功利主義をどのように批判的に吸収したかがみてとれる。なお、ミルが功利主義と決別したわけではなく、最後まで功利主義の価値観を擁護していた点も重要である。

 『自由論』により、ミルはリベラリズムの古典的論者として広く認知されている。リベラリズムは各人の根本的な自由を平等に認めようとする。
 だが、ミルは同時に帝国主義的な側面ももっていた。彼自身が非文明的な社会とみなす地域については、別の考えを示す。その背景には、ミルがイギリスの東インド会社で働いていたことがあった。

 晩年

 1865年から、ミルは下院議員に選出された。ミルは特に亡き妻ハリエットの影響で、女性の解放運動に取り組んだ。
 1851年、ハリエットは『 女性の解放』を公刊し、この運動の主導者の一人になっていたのである。1869年、ミルは『女性の隷従』を公刊した。これは女性への差別の慣習を様々な視点で批判した。

 『女性の隷従』はすぐさまヨーロッパでベストセラーとなった。フランス語やドイツ語、イタリア語やロシア語などに翻訳された。
 ミルは1873年に没した。

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 発展編では、ミルの生涯についてより詳しく説明しています。さらに、思想の説明をより詳細に行っています。上述の浮世絵も見れます。ミルの功利主義論、帝国主義や社会主義そしてフェミニズムとの関係が理解できます。
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おすすめ参考文献

関口正司『J・S・ミル : 自由を探究した思想家』中央公論新社, 2023

菊川忠夫『J.S.ミル』清水書院, 2015

Warren Breckman(ed.), The Cambridge history of modern European thought, Cambridge University Press, 2021

Gareth Stedman Jones(ed.), The Cambridge history of nineteenth-century political thought, Cambridge University Press, 2013

※『自由論』の原文はGutenbergで無料で入手できる。
https://www.gutenberg.org/ebooks/34901

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