"新しいなにか"を感じさせてくれる本
noteでは今年初めての記事!
今更ですが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします〜!
さて、冷蔵文庫は今年の1月から、吉祥寺にあるシェア型の本屋さん「ブックマンション」の仲間入りをさせていただいております!
そして今年一発目の活動として、吉祥寺のジュンク堂さんとブックマンションのコラボ企画に参加させていただきました!
この企画は2020年から開催されており、テーマに合わせた本を各棚主さんが選書しています。
ちなみに昨年12月の選書テーマは「人生を変えた本」。
私もちょうどこの時期にコピス吉祥寺にてイベントに出店した際、楽しい企画だな〜!とワクワクしながらこちらのコラボ棚を眺めておりました。
まさか翌月から自分も参加しているなんてその時は思ってもいなかった...!笑
こんな大きな本屋さんに自分が選んだ大切な本を並べていただけるなんて、まさに夢のような体験。機会をいただけて本当にありがたいです。
そんな、私にとって初めての選書となった1月のテーマは、
新しいなにかを感じさせてくれる本 。
新しい年を迎えた1月にぴったりなテーマです。
しかしお恥ずかしながら、私は普段からそこまで読書をする人間ではなかったので、そんな私が選書なんてしていいのだろうか...という不安もありました。
でも、読書は誰にでもひらかれたものだと教えてくれたのもまた読書です。
今回は、そんな読書を通じて本が教えてくれた、実は今までのふとした日常にあふれていた「気づき」を私なりの「新しい何か」と捉えて選書してみました。
個人的なミニテーマは、「当たり前って、おもしろい。」です。
普段は何も気にせずに過ごしていた日常にある景色やモノ、行動などは、一度視点を変えてみると知らなかった新しい世界が広がることがあります。
そんな、今まで「当たり前」と思っていたことや今まで疑問にすら感じなかったことに新しい発見や豊かさを与えてくれた10冊を選びました。
本を設置いただいてからだいぶ時間が経ってしまいましたが、今回選書した10冊について、この記事でご紹介できればなと思います!
① 痕跡本の世界
この本は、3年半ほど前に大学の卒業制作の実験として、冷蔵文庫を学内に置いたりしていたときに、所属していたゼミの教授が教えてくださった本でした。
「痕跡本」とは、名前の通り何かしらの痕跡のある本のこと。
古本屋さんなどで本を買うと、メモが残っていたり折り目がついていたり、何かが挟まっていたりしませんか?アレが痕跡本です!(笑)
通常、それらの痕跡が残されている本は、古本屋に出しても取り扱ってくれないことがあったり、ある意味、本の「汚れ」として扱われてしまうことも少なくないと思います。消費者としても、なるべくきれいな本が欲しいから、こういったメモが残っているような本はあえて買わないのではないでしょうか。
私も、以前はそのように本を見てしまっていました。
しかし、この本を読んで「痕跡本」の世界を知ってからは、むしろ痕跡本に出会いたい!!とすら思うように(笑)
本の中では、痕跡本があったその本のタイトルや写真とともに、なぜこのような痕跡が残っているのかを考察したり、"きっとこうであっただろう"というエピソードや妄想が満載です。私は終始ニヤニヤしながら、あまりの面白さ(衝撃の方が強いかもしれません...)に、あっという間に読み切ってしまいました。
写真も多く、さくっと読めるので、私のようにあまり読書しない人にもとってもおすすめです。
この世界を知れば、本に隠されたもうひとつの物語が楽しめる...かも?
ちなみに・・・
ちょうど昨日読んだ本にも、赤ペンの痕跡が!
確かメルカリで購入した本だったのですが、
「前の持ち主の方はペンで書き込み派だったのだな〜いつも赤ペンなのかな〜たまたまかな〜デザインやっていた人なのかな〜」なんて妄想が膨らんだり、
でもただ黒い線を引くのではなくて、赤い線で囲むことでみやすいなぁ〜と勝手に感心したり(笑)。読み終えるまでにいくつ痕跡があるのかもまた楽しみです!
② ウラからのぞけばオモテが見える
2冊目は、デザイナーであるnendoの佐藤オオキさんの作品や考え方がまとめられた本です。
※実はこの本は図書館で借りた本だったので、実物を持っておらず...棚の拡大写真で失礼します...(笑)
オオキさんの存在を知ったのは、まだデザインがなんなのかもよく分かっていない(今もそうかもですが...笑)、高校1年生ぐらいのとき。
情熱大陸か、プロフェッショナルだったか、何かの番組で紹介されていたのがきっかけでした。
その時紹介されていたのが、一本になるお箸や小さな村のようなハーゲンダッツのケーキ。
その中でも、とりわけ私が衝撃を受けたのは、スタバのマグカップでした。
一見、コーヒーが注がれたシンプルなマグカップに見えます。が!
実はコーヒーに見える部分はマグカップの裏面。
なにかを飲むものとしてマグカップは存在していますが、
そうではない状態=「モノの休み時間」をデザインするという発想に私は雷を撃たれたかのような衝撃と感動をおぼえ、デザインの素晴らしさを知ったのです。
番組で紹介されていた作品はもちろん、佐藤オオキさんという人となりも素敵だったので、とにかく気になって図書館で探して夢中で読みました。
それからというもの、私はデザインが大好きになって美術大学を目指し、今に至ります(笑)。
大学に進学してもやっぱりこのマグカップのことが忘れられず、どうしても手に入れたかったので必死に探しました。
当時の限定品だったのでもちろんスタバには売っておらず、ネットで探してもほとんど売り切れていて諦めていたのですが、何ヶ月かかけてついにメルカリで見つけた時は嬉しくて嬉しくて...!
飲んでいる時間も、そうでない時間もうれしい気持ちになれるマグカップ。
今でも大切に使っています。
何年経ってもこのマグカップとオオキさんの本は私の原点なので、今回の企画の最終日にこの本を自分に購入しようかな〜と思っています♩笑
③ 阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし
(このペースだと恐ろしく長い記事になってしまいそうなので、3冊目からは少し短めにご紹介します!笑)
3冊目は、最近ドラマにもなった「阿佐ヶ谷姉妹ののほほん二人暮らし」!
この本は、冷蔵文庫をはじめたばかりの時に友人が入れてくれた本です。
もともと阿佐ヶ谷姉妹が好きだったので、その時から気になりすぎて気になりすぎて...何ヶ月か前にようやく手に入れて読みました(笑)
以前から阿佐ヶ谷姉妹の上品で気さくなお笑いスタイルとお人柄が大好きなのですが、その二人の暮らし方も興味がありました。
そのお二人の阿佐ヶ谷でのささやかな日常が楽しくて、何度も読みながらふふふっと笑いながら読めます。
そして、「暮らしたい人と暮らす」ということに、年齢や性別なんて関係ないという当たり前なことに改めて立ち返ることができた、のほほんと素敵なエッセイです。
ちなみに・・・
この企画を開催しているのがジュンク堂の吉祥寺店ということもあり、中央線の限定カバーがついています!笑
④ 路上観察学入門
使わなくなった冷蔵庫を再利用した冷蔵文庫もそうなのですが、私は「既に世の中にあるものをいかに楽しめるか」を考えることに生きがいのようなものを感じています。
お散歩や路上観察もその一つ。
いつも何気なく通り過ぎている道やまちの景色は、「観察」という視点を持つだけで全く新しい世界になります。その感覚が楽しくて、自分でも日々インスタに記録をしてみたりしています。昨年は、初めてZINEも作ってみました。
そんな路上観察の師匠ともいえるような方々がまとめたこの「路上観察学入門」は、(もちろんとっても良い意味で)大人たちが真剣に、路上や日常の生活に無意識に残されたものや景色に向き合っています。
たとえば、ある団地のベランダの様子の記録(ある人の部屋では、うさぎがベランダを行ったり来たりしていたり、またある部屋では女性がベランダの洗濯機をじっと見ていたり...)や、飼っていた犬の破いた障子の図なんかもあります。
そんなところまで!?という視点に驚かされます。
そしてこの本もまた、路上観察への情熱や奥深さに圧倒されながら、そして敬意も込めてニヤニヤしながら読みました(笑)。
この本を片手に、ぜひ近所をお散歩していただきたい一冊です。
⑤ ここは今から倫理です。(1)
4冊目は漫画です。
私が「倫理」という世界に初めて触れたのは高校生のときの授業でした。
哲学や宗教を少し学んだその時に、なんとなく倫理っておもしろいなと思っていたのですが、この漫画に、そしてこの物語の倫理の教師である高柳先生に出会うまではその気持ちもしばらく忘れていました。
この漫画に出てくる高校生の生徒も、「選択で選ばないといけなかったからなんとなく倫理にした」「なんか楽そうだから」という理由でたまたま同じ教室に集まっていますが、みんなそれぞれ迷いや悩みを抱えています。そんな生徒たちに、高柳先生は倫理を通して向き合ってくれます。
倫理は「学ばずとも将来、困ることはない学問」とお話の中にもありますが、だからこそ学ぶことで自分自身や他人をいつか救う手助けになる気がします。
実際、私もこの漫画を読みながら、高柳先生の言葉を通じた倫理に何度も救われています。
こちらも昨年ドラマ化されておりましたが、原作もドラマもそれぞれ素敵で見入ってしまいました。
漫画は現在6巻まで出ているので、まず試しに1巻をいかがでしょう...!
⑥ マイパブリックとグランドレベル
(こちらの写真も、以前図書館で借りた時の写真になるので古い&他の本と一緒に写ってしまっておりますが、ご了承ください〜笑)
「マイパブリック」とは造語で、”自分で作る公共”のこと。
この本を書かれた田中元子さん率いる「グランドレベル」は、地域のカフェのような、でも公民館のようなコインランドリー「喫茶ランドリー」という居場所を作ったり、公園で無料のコーヒーのふるまいをされたり...公共性を意識した心地よいまちの居場所づくりをされています。
そんなグランドレベルの活動の他にも、日本や世界のさまざまな事例を知ることができますし、公共やまちづくり、そして自分自身のあたりまえを見直すきっかけにもなる本だと思います。
この本も、何年経っても手元に置いておきたいなぁと思う本なので、今後ジュンク堂に行った際に購入する予定です!(笑)
⑦ 断片的なものの社会学
社会学者である岸政彦さんが、ふだんの生活や研究の際に出会った出来事や思いが断片的に記されたエッセイです。
社会学とはこうである、といったことを明確に教えてくれるわけではありませんが、私たちが過ごす上で実は感じていたかもしれない気づきや不安や矛盾などを、深くまで潜って言葉にしてくれています。
中には、路上の植木鉢から捉える人間のコミュニケーションの話も。
この本において、"どこがどうよかったか"を具体的に言葉にするのは難しいのですが、自分はどうだろう?と考えられるような、心地よい余白が残ります。
だから手元において何度も読み返したい、そんな不思議な本です。
※諸事情でいま本の写真がこれしかないのですが、表紙の写真も素敵なのでまた改めて更新します...!
⑧ 13歳からのアート思考
会社の同僚の方が「読んでなかったらぜひ読んで欲しい!」と貸してくださった本。(一緒に写っているのは、その時に一緒にくださったラムネのお菓子です♩笑)
私は美術大学に通ってはいたものの、「アート」というものがいまいちよくわからないでいました。極端な話、ピカソの絵ってなにがいいんだろう?みたいな...(笑)。
なんなら、わからなすぎて苦手意識をもっていました。
それでも大学に入学して学んだり体験していくうちに、じんわりと絵画や現代美術のようなアートを受け入れられるようになって、美術館にいくのも楽しくなったのですが、それが何故なのかわからなかったのです。なにかあるけど、自分では言葉にできない...
そんなときに出会ったのがこの本でした。
私が4年間かけてなんとなく掴めてきた感覚が全て言語化されていたし、むしろそれ以上の気づきがぎゅっと詰まった一冊でした。
「アート」という言葉をきいて、私のように距離をとっている人もいるかもしれないけれど、もっと身近で日常にあるものだし、そこに"正解"なんてものは存在しない。考え方ひとつで、人生や生活を豊かにしてくれる存在なのだなと改めて気付かされました。
そして、私が美術館に行くのがだんだん好きになったのは、作品を通して作者の想いを考察したりすることで、自分の考えを改めたり、新しい自分を知れるからかも、と思ったりしました。
タイトルに「13歳からの」とありますが、アートってよくわからない、と思っているあらゆる世代の方にぜひ読んでいただきたい...!
とても優しい語り口で、写真などもたくさんあってわかりやすいです。
そしてこの本を読むと、もれなく美術館に行きたくなります!(笑)
⑨ もじ鉄
撮り鉄、乗り鉄、、、鉄道好きにはいろいろありますが、「もじ鉄」はいかがでしょうか?
「もじ鉄」とは、鉄道と駅の看板・文字が好きな人のこと。
いつも通勤や通学でつかっている駅の看板、じっくり見てみると、実は鉄道会社や地域によって使われている文字(フォント)が違ったり、看板のデザインも様々。
この本では、北海道から沖縄まで、日本全国のそんな鉄道の「もじ」や「デザイン」が楽しく解説されています。
毎日使う駅はもちろん、旅先などでお気に入りの駅を見つけるのも楽しいかもしれません...♪
旅のお供にもぴったりな一冊です。
⑩ ヘンテコノミクス
最後の10冊目は、行動経済学が漫画で学べる「ヘンテコノミクス」!
(この本だけ手持ちの写真がなかったので、こちらのページから画像お借りしています)
私もそうだったのですが、「行動経済学」ってなんだ?と思われた方、まったく知らない方には大変わかりやすく学べる本です。
例えば外食でAセットとBセットで迷っているときなど、普段の何気ない判断や行動が、実は無意識のうちに行動経済学とつながっているんだなぁと気付かされます。人間の、ある種の性質のような部分を知れる本でもあると思います。
人間とはなんて不思議でヘンテコな生き物...!
でもこのヘンテコな性質を知っているだけでも、日常生活やお仕事など様々なことに活かせそうだなと感じました。
また、絵本のように大きな漫画になっていて気軽に読めるので、お子様にもおすすめの一冊です✨
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・・・ということで、今回選書した10冊を紹介させていただきました!
やっぱり長くなってしまった。。。笑
かなり支離滅裂な部分もあったかと思いますが、読んでくださりありがとうございました。
1月も後半となり、あと1週間ほどでこのコラボ企画も終了してしまうのですが、ぜひジュンク堂書店吉祥寺店に足を運んでいただき、棚を見ていただけるとうれしいです。(なかなかコロナで外出も難しいところではありますが...!涙)
ほかの棚主さんが選書された本も、どれも興味がそそられるものばかりで、棚の前にいるだけでも楽しいです。
棚主の数だけ「新しい何かを感じさせる本」が揃っておりますので、ぜひ新しい本との出会いを楽しんでいただけますと幸いです♩