
【読書感想】やっと本当の自分に出会えた~統合失調症メッセージ~を読み終えたお話
はじめに
私がこの本を読もうとしたキッカケは統合失調症について非常に興味があるためこの本を取った
統合失調症は否認の病気なので投薬治療を継続することが非常に難しい
本書は病気に対して否認することは少なく
自分にあった薬と出会え寛解へと向かっていく希望を貰える本だと思う
兄も弟も息子も統合失調症
著者の息子と兄と弟が統合失調症である
兄が統合失調症を抱えていても結婚できたと書いてあり
安堵したのもつかの間、少し読み進むと衝動で自殺したと・・・
えぇ…統合失調症でも幸せに生きてるのかなと期待したのに…
そして、もう少し読み進めると弟も自殺未遂…
息子も自殺未遂…
やっぱりこの病気は難しい…と序盤から思うことになった
前読んだ書籍で遺伝の関係性は確実性はないみたいな事が書いてあったけど
流石にこの境遇を見ると ”絶対、遺伝は関係してるよ”
とは思ってしまう。
弟さんも精神病棟で手足を縛られ、新薬の恩恵も受けれないまま亡くなる事となる
悲しいと思う
入院していたなら投薬治療もできただろうにその時はまだ新薬が浸透していなかったとのことだ
息子である一郎さんの起因はいじめ?
一郎さんが高校で不登校になりいじめられていたことが分かる
著者の弟を家に外泊させると
嫁さんが息子も弟と同じようなにた感じになるの…
と嫁さんから相談される、この時にはもう前兆がでていたのか?
それとも、統合失調症の弟と接することによって、色々有る起因の要因の一つになったのか?
一郎さんはイジメがキッカケで発病したみたいである
私が読んだ本では、受験や、男女関係、アニメ、政治などで起因した実体験があったので発病の起因要素は人それなのだろう
しかし、偏りはみられるような気がする
一郎さんの自殺未遂
手首を切って自殺を図る
そして、嫁も一家心中を考えるほどに
父は自殺、兄も自殺、弟は自殺未遂、息子も自殺未遂
こんな境遇あるのだろうか
私が今まで見て聞いてきたなかでも、これほどまでも境遇の人は見たことも聞いたことも無かった
なんて言っていいか分からなくなる…
父(著者)の努力
否認したい気持ち
息子が弟兄みたいに息子が統合失調症と言われるのが怖かったとのこと
そんな人は多いのではないだろうか?
疾患当事者は病気を否認することが多いのは当たり前として
家族もまた否認したいのだ
しかし、息子の体調に合わせてキャッチボールをしたり、外に連れ出そうとする著者の努力には非常に息子に対する愛を感じられた
幻聴・幻覚が現れる
ある日の雨の日に上半身裸で道走っている一郎さんほ発見する
「〇〇が呼んでいる!」とどこかに向かう息子の様子を発見しなだめる
ここでも現れた統合失調症の幻聴幻覚
統合失調症でも幻覚がない症状はあるのだろうか?
ここで著者は息子が統合失調症(分裂病)と確信する
そして病院で医者は声をひそめて
「今、笑いました。これは分裂病の笑いです、今はっきりしました。」
と言われる
そんな判断基準あるんだ…
父もうつ病に
父も味覚障害と抑うつになり学校で倒れることに
そりゃなるよね…と思った
ここまでうつ病にならなかったのが不思議なくらいだ
父のうつ病の改善
不眠であった父だが、自分に合う睡眠薬に出会うことで快眠できるようになりみるみる内によくなる
やはり人間睡眠だ!
睡眠・運動・食事、基本これだ
父の猛勉強
父親は病気についての猛勉強を始め、家族会にも入り、講演も受ける、敵を知らなければ戦えないということだ
嫁の死
嫁さんが膵炎でなくなる
優しい嫁、母が亡くなり、一郎さんと父との病気への戦いが始まるのである
一郎さんを救った液剤リスパダール
新規抗精神病薬へのスイッチング
薬のスイッチングとは、投与中の薬剤を変更すること
しかし薬を変更するには現状を変えるということでもあり
不安になるだろう
しかし、一郎さんはより良いQOLを目指して新薬である液剤リスパダールを試した
服用した瞬間ぱぁ~と明るくなったとのこと
ここからどんどん寛解へと向かっていく
一郎さんの薬を試す行為が人生を変える1つのキーパーツだったのだろう
しかしスイッチングには医師の理解が必要である
つまりは医者ガチャもかなり必要となるのだろう
一郎さんは薬ガチャにも続き、医者ガチャも当てたのだろう
私も合う合わないの睡眠薬が存在する
合う睡眠薬まで色々試した
不眠が改善されることにより生活のQOLがドン!と上がった
やはり、人間睡眠だ!
アメリカでは統合失調症を回復できると思っているのは8割、日本は2割
なんでこんなに違うんだろうか・・・
統合失調症の起因はなに?
統合失調症は遺伝?
遺伝はいくつかある原因の1つに過ぎない
親が統合失調症で子供が統合失調症の病気の場合は5〜10%
兄弟の場合は5%弱
前回読んだ書籍では遺伝かどうかは確証はないと書かれていたが
やはりどう考えても関与はしているとしか思えない
統合失調症の罹患率はおよそ1%なので十分大きい数値が出ているのではないだろうか
脆弱性とは?
個人のもっている素因の他に、個人が、受けるストレスの強弱にも関係してくる
脆弱性とは個人がもつ病気のなりやすさ
前兆的な変化を引き起こす弱点があり
①異性問題
②お金
③名誉
④身体の調子
これらは普通の人でも弱点だが特に統合失調症はこのような出来事が引き金になりやすい
周りの統合失調症に対する理解があるとないとでこんなに違う
退院後に当事者に温かい目を向ける家族では再発率20%
厳しい目では60%
もうこれは、間違いないだろう
周りの環境で変わる
病気に理解のない家族が「お前は根性が足りない!気合で治せ!」
などと言っていると症状が悪化するに決まっている
環境により大幅に左右されてしまうのだ
著者は病気に対する理解を深め息子である一郎さんに素晴らしい環境を与えたと思う
病気に理解のない家族の元の環境に置かれるなら
病院で入院していたほうが安全なのでは?
と思うのは当たり前である
統合失調症の妄想への理解
妄想が認められる場合、当事者は周りに受け入れられたいと思 っていますが、一方でなかなか受け入れてもらえないという意識があります。
自分なりに説明しようと思うと妄想になるのです。
このような場合、大切なことは、周りに受け入れられたいと思っているのだけれども、受け入れられないと感じている当事者を理解することです。
そうすることで、当事者が話している意味がわかってきます。
しかし、家族は長い時間、当事者と生活をともにしてきています。
そうすると冷静に考えれば、言っていることがバラバラだと思える話でも、そうは思えなかったりします。(本書から引用)
これが本当に難しい、統合失調症の脳内の思考がどうなってるか
当事者でも混乱しているのに第三者が分かるのはかなり困難であろう
「なんで?どうしてそうなるの?」といえば、向こうも混乱してて分からないのだ
妄想症状が出ている状態の人に対しどう接すれば良いのだろう?
否定せずに傾聴し、肯定すればいいのだろうか?
分からない
ブレインバンクとは?
ブレインバンクというものが何なのか私は恥ずかしながら知らなかった
早い話が死後の脳を提供する機関である
しかしブレインバンクでは日本は大幅に遅れている、それは宗教や倫理観、
病気に苦しんだのに今度は死後脳を提供するのか?
このような気持ちがあるみたいだ
気持ちは分かる
私も生きてるうちに自分の身体にメスを入れるのは怖い
だから死後でも抵抗があるのだろう
さいごに
著者である上森徳男さんの置かれた境遇に絶句して読み進めた書籍であったが
著者の病気に対する知識を勉強する努力、息子に与える環境作り
一郎さんの病気を改善しようとする努力、様々な試行、医者の理解、
これらの努力を裏切らず寛解の方向へ向かったのだろう
今までの書籍の体験記であった、病気の否認、投薬治療の拒否
などが少ない、希望のあふれる書籍だった
しかし
2006年に書かれたものなので現在の医学はもっと進歩しているのかもしれない
おわり