八つ墓村

著者:横溝正史
出版社:角川
初版:昭和46年

あらすじ

遠き昔、8人の落ち武者が襲われ黄金を奪われた伝説のある八つ墓村。そこでは数十年前にある男が発狂し32人もの村人を虐殺するという事件が起きていた。主人公は突如現れた村の遣いに、その大量殺人犯の息子であることを知らされる。大正の時代を舞台に描かれるホラーミステリ。

印象に残ったセンテンスなど

冒頭から積み重なっていく謎と村ならではの閉塞感。
金田一耕助が非常に頼もしい。もちろん本人の目的としては事件の解決であり、例えば姉の春代などの時は失敗したと言っているが。
ラストの章”大団円”は本当に大団円でよかった。

巻末の解説など

巻末にはなし。
ネットの感想まとめ:金田一耕助は何もしていない、作中でも自ら言っている。鍾乳洞の描写などスケールが大きく圧巻。

感想

横溝正史作品の中でも有名なのは"八墓村"か"犬神家の一族"だろう。そこで初めての横溝作品として八墓村を選んだ。内容としてはホラーだと思っていたが、その実探偵もののミステリであってこれは以前に読んだ刀城言耶シリーズのひとつと同じであった。
内容として、宝の地図が出てきたりして読者も宝探しに参加しているかのようなワクワクを感じる。村と村人に対して物語の前半と後半で全く違う印象が抱かれる。初っ端から村人に避けられてはいたが、事件の進行に伴って偏見が確固としてくるのに対し、主人公の探索によって村の理解度は増していく。
ラストの大団円は読んでいて嬉しくなるほどハッピーエンドだ。

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