私とイチと将棋8
ちょうど一年ほど前の話です。
前回の2019年8月4日の大会と前後するが、8月3日にイチは将棋教室で6級に昇級している。
ちなみに最初に級を認定されたのは6月1日で7級からスタートだったので、はじめての昇級まで約2ヶ月かかった。しかし、月2回の教室なので、概ね順調に勝ち星を重ねての昇級だった。
その昇級もあり「交流戦ならそこそこ勝てるだろう」と考えていたところ、1勝3敗といまいちで、さらに今までやったことがない反則も飛び出し、私も小言を言ってしまった。
しかし、冷静に考えると大勢の小学生に囲まれて、親も近くにいない状態で4歳児が普段通り指すことができるほうがおかしいのだ。
私は自分もたいして強くもなく、うっかりも度々やらかしているのに、イチを責めたことを反省した。
さて、当のイチは将棋が嫌になってしまうということはなく、今までと変わらず詰め将棋などを黙々とこなしていた。また、夏休みで時間があるので将棋ウォーズでも対局を繰り返していた。
イチの将棋ウォーズの遊び方は独特で、色々試して、新しいエフェクトを発見してコレクションを増やすのを楽しんでいた。一番喜んだのは、ダイレクト向かい飛車を発見した時で、一時期よく指していた。
ただし、このコレクションは、エフェクトを出してさらに勝たないとコレクションに色がつかないので、マイナー戦法で勝つのはかなり大変だったようだ。つくつくぼうし戦法なんかもよく指して、よく負けていた。
この遊び方はゲーム内での昇級には縁遠いものだったが、字が読めないイチが様々な戦法の入り口を知るきっかけとしては、とても有意義だった。
おかげで将棋の幅が広がったように思う。
一つの戦法に絞って勉強するのがいいのか、色々な戦法を試してみるのがいいのか、人によって考え方や好みは異なるところだと思う。
例えば「1年後に初段になる」など明確な目標と達成時期の設定がある場合は、勉強するべき戦法を絞るほうが効率的だと思う。
しかし、イチの場合は4歳になったばかりという、ごく低年齢で将棋に出会っているので、特に目標は設定せず、自由に楽しんでもらえればいいという方針。
本音を言えば「それ勝ちにくそうだから、やめておいたら?」と言いたくなるのを堪えて…
長い目で見た時に、毎回、序盤から自分で考えて組み立てながら将棋を指した経験は財産になるはずだと信じて戦法について口出しはしなかった。
つづく