『ホモソーシャルダンス』 - ミソジニーと家父長制|Purple Screen Feature vol.4
🎬 Purple Screen Features🎬
ジェンダーイシューに興味がある方、イベントに参加はできないけどセレクトされた映画を知りたい方、純粋に映画が好きな方etc...に向けて、REINGメンバーが毎月一本の映画をピックアップして皆さんにお届けします🎁
今月はREINGのEdoのおすすめです。
🎬今月の映画🎬
『ホモソーシャルダンス』("Homosocial Dancing") 2019
東海林毅監督が手掛けた「家父長制=ホモソーシャリティ」という非常に現実的なテーマを表現したショートムービー、『ホモソーシャルダンス』。
これは伝統的な映画とコンテンポラリーダンスを組み合わせ、11分間の美しい映像を実験的に作り出した催眠的な作品だ。
登場するのは人気者の女の子(「A」と呼ぶ)、彼女を囲むイケてる男子学生6人のグループ、その男子グループに入れない気弱な一人の男の子。気弱な男の子はAに恋をしているのだが、Aは彼を見下すように拒絶する。
すると仲間だったはずの6人の男子は彼女に反旗を翻し、連帯し、彼女の地位と社会的立場を奪ってまで家父長制を守ろうとするのだった。
学園ドラマパートと並行して映し出されるコンテンポラリーダンスパートでは、男子学生達はペニスの衣装を、Aはヴァギナの衣装を着ている。
このシーンでは、彼らが表象するジェンダーやセクシュアリティの違いが私たちにどのように作用し合い、誰が社会という輪の中に含まれているのかを示す。誰を守り誰を攻撃するか、誰に力を与え誰を拒絶するか。ペニスを持つ人々による家父長制は選択する上で、圧倒的な力を持つことを表現している。
また、冒頭で家父長制に支えられていた女性(A)の存在は、男性優位社会における女性のエンパワーメントや社会進出をどのように捉えるかについて、多くの問題を提起している。
女性が職場において成功するとき、男性的な特徴に倣っているから成功するのだろうか?
女が出世するためには「男の仲間入り」をしなければならないのだろうか?ビヨンセや浜崎あゆみなど、私たちが考える「女性のエンパワーメント」や「女子力」のアイコンも、周囲の男性(プロデューサー、マネージャー、広告代理店など)から支持を得ているから力を獲得できるのだろうか。
女性は本当に主体的に行動する自由を持つことができるのか。それとも、あっという間に壊されることを恐れて「男性を脅かさないフェミニズム」を見つけることを永遠に強いられていくのだろうか。
11分という限られた時間の中で、様々な社会問題を提起し不思議な感覚に陥らせる興味深い作品。
Recommender: Edo Oliver
Writer: Edo Oliver
Translator: Ai O’Higgins
Editor: Maki Kinoshita