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3  思い出の初詣

思い出の初詣

今年も行く。
そういう事を毎年恒例って言うのを知った。


実家の初詣は少し変わっている。


まず、時期。

1月に行かない。
どんなに早くても2月。
遅いと4月になる事もある。


親の都合で時期が決まる。


次に、場所。

伊勢神宮と決まっている。
地元の神社に行ったとしてもそれは初詣とカウントしない。
今更ながら、地元の神様に失礼では?と思ってしまう。


そして、出発時間。

常滑から伊勢まで父の運転で行く。
しかも下道。
昼間行くと時間が掛かるので早朝、午前2時頃に出発する。
午前2時は朝ではなく、深夜だと思うのは僕だけだろうか。

そして今年も半分眠ったまま、
車の後部座席に乗り、そのまま横になって熟睡。

伊勢神宮に着くと起こしてくれる。

眠い目を頑張って開けて、
五十鈴川に掛かる宇治橋を渡る。


その頃にやっと明るくなってきたという事もあった。


神宮の中を歩いているのは僕たち家族4人だけ。
数年に1度、他の家族とすれ違う事もあった。


僕にとって伊勢神宮は借り切りが普通だった。
それが普通ではないのに気付いたのは、大人になってからだった。

自動車免許を取った後、ある事件が起きた。
5月になっても初詣の話がまったくないので、聞いてみた。
今年はいつ行くの?


母親は
「こないだ行ってきたよ。」
とさらっと答えた。

あとで聞かされたのだが
自分で運転できるのだから自分で行けばよいとの事。


たしかに、免許も車もあったから自分で行こうと思えば行ける。
けど、一言声を掛けてくれてもよかったのではと思う。


翌日、1人で初詣に行ってきた。


今まで、毎年行っていたのを止めたくなかった。
親に一人でも行けるんだと証明しかかった。
車を運転している間、ずっと両方が頭の中をグルングルンしていた。


翌年からは自分の家族と一緒に行く事になったから、
結局1人で行ったのは1回だけになった。


自分の家族で行く時は、普通に行っていた。時期以外は。
さすがにお正月三が日は伊勢神宮に行く気にはなれない。
人が多すぎる。

家族で行って感じた事は以外に大変だということ。
小さな子どもを連れての移動は、僕は苦手だった。


子どもの荷物を準備するのは嫁だけど、
その大量の荷物を運ぶのは僕の役割だったから。


自分が伊勢に連れて行ってもらっていた時は、
わがまま言いたい放題だった。


眠いに始まり、音がうるさい、振動があるから寝れない。
お腹すいた&トイレ行きたい。
そして、弟と車の中でケンカ。

想像しただけでも大変なのに、
毎年連れて行ってくれた。


何かを自分で継続した事がなかった僕に
毎年恒例という継続をくれた親だった。


本当にありがたい。


そのおかげかどうかわからないが、
今の僕は細く長く続ける事が比較的得意な気がする。


伊勢に行くのは35年で止めてしまったが、
家族で出かける、毎年恒例は今でも続けている。

かげがえのない思い出づくりのために。


僕に毎年恒例というプレゼントをくれた親に


心から感謝。

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