2024年6月の記事一覧
「百年の孤独」を探した八年間
子どもの頃から、何となく「隅っこ」めいた場所が好きだった。団地と団地の間の細い抜け道が、棕櫚の樹の陰にかかるところで、一瞬立ち止まって、ここは砂漠の中のオアシスなんだと想像する。メリーゴーラウンドや電車をひたすら目で追って、しまいには動いているのがあちらではなく、私の足の下の地面であるように錯覚し始める。前に訪れた場所を、丁寧にちょうど一年通らないようにして、程よく忘れたところでもう一度、季節の彼
もっとみる子どもの頃から、何となく「隅っこ」めいた場所が好きだった。団地と団地の間の細い抜け道が、棕櫚の樹の陰にかかるところで、一瞬立ち止まって、ここは砂漠の中のオアシスなんだと想像する。メリーゴーラウンドや電車をひたすら目で追って、しまいには動いているのがあちらではなく、私の足の下の地面であるように錯覚し始める。前に訪れた場所を、丁寧にちょうど一年通らないようにして、程よく忘れたところでもう一度、季節の彼
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