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私のこと。(図書館司書編)

20代で北欧を旅してから、私は北欧関連の仕事をしたいと思っていた。
フィンランドのホームステイから帰ってきてからはデンマークのインテリア雑貨店で働いていたのだけど、願っていたポストにたどり着けないことを知り、これから何をして生きていこうか、文字通り、頭を抱えていた。

悩みが極度に達して、恩師に相談したら「図書館とか美術館っていいですよね~」とふわっと言われたのがきっかけで、求人を探し始めたらけっこうあって。
当時からライターの仕事をしたいと思っていたので、司書をしながらライターすればいいじゃん!と思って応募した。

公共図書館で働きながら資格を取ってみる

実際に働いてみると、けっこうおもしろかった。
(待遇面は悲しいほどにやりがい搾取だが…)

私のいた図書館では全員がすべての業務をローテーションで行うので、まずは一つ一つの仕事を覚えていった。
単調に思える仕事でも、日々新しい本との出会いがあったので宝探しをしている感覚だったように思う。

利用者の一人だった時は、静かで動かない”知の宝庫”という印象だったが、運営側に回ってみると、人々が行き交う、生きている(動的な)図書館の像が見えてきた。

一緒に働く人たちには司書資格を持っている人も多かったので、私も取ってみようかな…と思っていた時にコロナが来た。
フルタイムで働きながらできるか不安だったけれど、シフトを調整してもらいながらなんとかやってみようと思い、出願を済ませた後のことだった。

その後、みるみるうちに社会が閉ざされていき、うちの図書館も休館した。
自宅待機という名のおうち時間が与えられ、私は幸運にも給料をもらいながら資格勉強に励んだ。

より深めるための転職

同僚たちにはほんとにラッキーだったね!と言われ続けたが、本当にそうだった。
結果、半年ほどですべての科目を履修し、晴れて資格ありの司書に。
コロナの「全閉鎖」が少しずつ開けてきた頃だった。

そのまま公共図書館にいてもよかったんだけど、やはり待遇面での不満が出てきたり、
せっかく学んだことをもっと深められる場所はないかと探していたら、専門図書館の求人を見つけた。

信頼していた上司にも相談し、受けてみたら採用との連絡が。
道が開けるってこういうことだなーと思う。

専門職としての司書

専門図書館ってどんな人たちが働いてるんだろう…?(キラキラ)みたいな浮かれた気持ちだったが、
至って落ち着いた人たちの集まりだった。(そりゃそうか…)

自分の担当業務がくっきりと線引きされていて、公共図書館とは真反対。
ちょっと窮屈な思いもした。

来館者は少なく、郵送や大学図書館とのやりとりが大半だったので、人と話せない…
しかもみんな真面目だから雑談が事務所内で起こらないううう…!だった。

私って人と話したい性格だったんだな、
専門性を磨くためにここに来たけど、違ってたのかな…と思っていた矢先、担当入れ替えがあり目録作成業務が回ってきた。

これが、とっても難しかったしおもしろかった。

当時担当していた資料は、寄贈されたものばかりで書誌が存在しないものが大半。
大抵の場合、新しく出版される資料はNACSIS-CATなどを利用して書誌データをダウンロードすればいいのだが、そうはいかない。

もちろん細かいマニュアル通りに作らないといけないので創造性は必要とされていないが、新しいモノをイチから作ることが純粋に楽しかった。

先輩に教えてもらいながら、毎日心でうんうん唸りながら作業していた。(もちろん事務所内は静かなので声は出せない!)

他にもアーカイブの知識が豊富なパート職員さんに話を聞いたり、
収集している分野が女性やジェンダーだったので、社会的にも関心が高いテーマについて読み、新しい考え方を取り入れることもでき刺激的だった。

もうちょっとここで働きたかったのだが、結婚で退職することに。
(まさか自分が結婚によって失業するとは…とも思ったが私なりに納得して決めた)

ひとつの柱として

これまで自分なりに前に進もうとしてきたし、やりたい!という思いを大切にしてきたと思う。

私が図書館で働こうと思った当時は、専門職として司書を選択したし、長く働けられる職業として選んだけれど雇用面での限界も突き付けられた。
(ジェンダーの分野でも図書館司書の女性の比率が高いこと、また待遇面についての調査がある)

それらの現実を踏まえた上で、
さあこれから私は司書の仕事をどう位置づけよう?と考えている。

図書館の社会的役割は大きいと思うし、将来もっと自由な創造の場として開発されてほしい。
先日新婚旅行で行ってきたノルウェー・オスロの図書館はすばらしかった。(この記事のサムネはその時に撮影したもの)

北欧に行くとつい図書館に足が伸びるのですが、
知を蓄えることは新たな創造の準備段階であって、決して贅沢ではないし、
必ずその人の中で息づき、新しいカタチを成すと思っています。

そんな可能性あふれる空間に、これからも何かしらの方法で関わっていたい。
図書館を愛する者として、司書はこれからも私の柱のひとつです。

※また長くなってしまいました。読んでいただき、ありがとうございます!

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