Hiiragi Fujiwara (怜明堂文庫®︎)

怜明堂文庫のシナリオライター。 専門は薬事と法学で、大学卒業後は医療機関の他に業界団体のライティング活動に従事。分野を跨いだコピー作成が強み。 Noteでは宇宙開発にまつわるあれこれを心の赴くままにゆるりと書いています。

Hiiragi Fujiwara (怜明堂文庫®︎)

怜明堂文庫のシナリオライター。 専門は薬事と法学で、大学卒業後は医療機関の他に業界団体のライティング活動に従事。分野を跨いだコピー作成が強み。 Noteでは宇宙開発にまつわるあれこれを心の赴くままにゆるりと書いています。

最近の記事

月の地理学_クレーターの大きさを測ってみよう!

「はァー、だりぃー。」 「どうしたのリコちゃん?」 「ウチの会社の健康保険組合があるだろ?そこが今度の月面マラソンに参加しろって言ってきたんだよ。」 「あぁ、この宇宙産業健保からの手紙ね。そういえば私のところには入ってなかったわね。」 「この前の健康診断の検査結果が悪いとかなんとかで、健康を維持するために参加しなきゃ来年度から保険料上げるって、鬼だろこれ。」 「ちょっとリコちゃんの検査結果かしてみて。」 「ほらよ。」 「あぁ〜・・これはダメなやつだ。」 「ダメってなんだよ?」

    • ペンシルロケット_Made in Japanロケットのルーツ

      「ちょっとリコちゃん!宇宙船の航行中にガラクタ浮かしたらダメじゃない!」 「ガラクタとは何だ!私の新作メカの立体設計モデルだぞ?」 「新作メカって、大きなロケットブースターを4つも・・それをガ◯ダムみたいなメカの背中に付けてるの?」 「巨大な燃料タンク、えげつない推力、火を吹くロケットエンジンにスーパーロボット!ロマンだろう?」 「はいはい、こんなに大きなプラモが浮いていたら船内でケスラーシンドローム(大事故)しちゃうから片付けましょうね。」 「だアーッ、クレアそんな持ち方す

      • 宇宙で農業を始めるには?(宇宙と農業①)

        「リコちゃんさっきから何の本読んでるの?」 「あぁ、農業の本だよ。イネでも何でも空に向かってピューって伸びてる草木がスマートでかっこいだろ?」 「空に向かってピューっ?」 「ほら月面は地球の6分の1しかない低重力環境だし、国際宇宙ステーション(ISS)みたいな宇宙空間だとほぼ無重力じゃん?上とか下っていう概念が少ない環境だから植物も地球にいる時みたいに勢いよく上にまっすぐ伸びるって力に欠けるんだよ。」 「確かに・・地球だったらとりあえず上に伸びればお日さまの光を浴びることが出

        • 「宇宙の仕事」が身近になるイベント!(宇宙のイベント①)

          「好奇心よ、宇宙へ向かえ!」 「わわっ、どうしたのリコちゃん?」 「クレア、いよいよ私達の待ち望んだ宇宙開拓時代がやって来るぞ。このチラシを見てみるんだ。」 「なになに・・?「HELLO SPACE WORK!NIHONBASHI 2022」開催?」 「ニホンって言えばクレアの地元だろ?宇宙の仕事の就職相談会か?」 「そうではないけれど、宇宙でのお仕事を体験出来るイベントみたい。例えばメタバースっていう仮想現実空間でリアルな宇宙遊泳が楽しめるって書いてあるわね。」 「何それや

          月で一番大きな山はどこ? (宇宙の地理学①)

          「うーん・・やっぱムズいかなぁ」 「リコちゃん、何の本を読んでるの?」 「あぁ、”月の登山ガイド”だよ。さっき宇宙ステーションのキオスクで売ってたから衝動買いしたんだが・・」 「へぇー、月にも山がいっぱいあるのね。てっきり月面にはクレーターと平野があるだけかと思ってたよ。」 「おーおー、クレアの今の発言で月に住む全ルナリエン(月出身者)を敵に回したぜ。」 「わぁ、リコちゃんごめんごめん。」 「クレア、月で一番大きな山ってどこか知ってるか?」 「え・・富士山とか?そんな訳ないよ

          月で一番大きな山はどこ? (宇宙の地理学①)

          赤く染まった月からはどんな地球の姿が見えるのか?(奇跡の天体イベント②)

          「あー・・どうしたものかなぁ。」 「どうしたのリコちゃん?」 「皆既月食の時に月が赤くなるのは分かったんだけどさ、そもそも月面で生活してるウチらは月食の時何が見えるんだろうな?」 「確かにあまり考えたことは無かったわね。」 「地球にぶつかって屈折して飛んできた赤い太陽の光が月面に反射するわけだから、月食中は月の大地も月面基地も、宇宙服を着ている私達も真っ赤になる訳だ・・つまり月面でも地球みたいに夕焼けが見れるってことか?」 「うーん、それはちょっと違うと思う。そもそも月面は大

          赤く染まった月からはどんな地球の姿が見えるのか?(奇跡の天体イベント②)

          月食のあれこれ (奇跡の天体イベント①)

          「ねぇリコちゃん、地球では月食のイベントがあったみたいよ?」 「あァ?月食なんて日常茶飯事だろ。ほら、地球の周回軌道を回りますー、地球の影が月を覆いますー。」 「そんなねぇ、地球に住んでる人は宇宙にいる時みたいに高速で飛び回ってないからそんな頻繁に見ることはできないのよ。」 「クレアの地元はニッポンだったか?あの縦長の島国な。」 「そうなの。皆既月食は日本でも何年かに一度見れるか見れないかというほどレアなのよ?ほら、さっき親戚が撮影してくれた写真があるからこれを見て欲しいの。

          月食のあれこれ (奇跡の天体イベント①)

          宇宙のごみ問題-スペースデブリ (宇宙と生活①)

          「あー、だめだぁ。またこの航路が使用禁止だよう。」 「どうしたんだクレア?」 「地球から月の宇宙港に帰ろうにも、最短のルートが通行止めなんだ。」 「道路も何もない宇宙に通行止めなんて変な話だな。他のルートは通れるんだから、太陽風バーストとかじゃないんだろう?」 「うーん、どうやら不法投棄された廃衛星に何かしらの物体が衝突したみたいね。」 「衝突って交通事故みたいなものか?それに何かしらの物体って、一体何なんだよ。」 「大抵の人工衛星や小天体ならオブジェクトコードが付けられてる

          宇宙のごみ問題-スペースデブリ (宇宙と生活①)

          天空の秘剣とツタンカーメン(宇宙とマテリアル①)

          「ねぇリコちゃん、一体何の本を読んでるの?」 「あぁ?地球の歴史だよ。この前中古本のサイトで買ったのが届いたんだ。」 「それって中学や高校で使う社会資料集じゃない。リコちゃん社会の科目にも興味があるの?」 「いや、私って月面生まれだからさ。こういう海とか草原って言うのか?そういった写真を見るのが好きなんだよ。月にはないからな。しかしこの王サマ、いいセンスしてるよな。このエジプトとかいう所のゴールドマスク・オブ・ジ・ファラオなんかもパンクなデザインで好きだぞ。」 「ゴールドマス

          天空の秘剣とツタンカーメン(宇宙とマテリアル①)

          宇宙食とフリーズドライ (宇宙食の雑学⑥)

          「しまったー、イチゴがミイラになってる。」 「リコちゃんどうしたの?・・うわ、何これ?」 「どう見たって冷凍イチゴだろ。多少黒ずんで干からびてるけれどな。たのしみにずーっととっておいたやつなのに、もう立ち直れないな。・・食べちゃおうかな。」 「食べたらお腹壊しちゃうって。だからあれほど冷凍庫のフタと施錠はアイス食べた後しっかり閉めてねって言ってたのに。リコちゃんが寝た後に確認したら案の定開けっぱなしだからいつも閉めてるんだからね。」 「あー、どうせ自動で閉まるからいいかなと思

          宇宙食とフリーズドライ (宇宙食の雑学⑥)

          宇宙食と乾燥技術 (宇宙食の雑学⑤)

          「うへぇーッ、不味い!」 「どうしたのリコちゃん?って、ちょっとちょっと!一体何してるの?」 「何してるって、飯を食ってるんだよ。ただ、いつもお湯を注いで中の四角いブロックみたいなのを溶かしてから飲むスープって食品があるだろ?袋の中身を開けて、この四角い物体をそのまま食ったらさぞ旨み成分も凝集されてるんだろうなと思って中身を食ってみたんだ。」 「それで、味はどうだった?」 「超しょっぱい。無理。」 「だよねー。」 「しかしこのスープの素って言うのか?微細な多孔質の四角い物体。

          宇宙食と乾燥技術 (宇宙食の雑学⑤)

          宇宙日本食(宇宙食の雑学④)

          「なぁクレア、聞きたいことがあるんだが。」 「どうしたのリコちゃん?」 「いつもクレアが夕飯に飲んでるスープのパックなんだけど、私も飲んでみたんだ。しかし何だ、コンソメでもなければ中華の鶏ガラスープでもなく、茶色くて濁ったしょっぱい・・」 「あぁ、それはミソスープ(お味噌汁)ね。」 「ミソ?それもこれもクレアの生まれた日本とかいう国の食べ物なのか?」 「そうそう。味噌は大豆や米、小麦などに塩と麹を合わせて作った発酵食品なの。」 「発酵というと、イギリスやオーストラリアのマーマ

          宇宙日本食(宇宙食の雑学④)

          宇宙でカップラーメンは食べられるのか?(宇宙食の雑学③)

          「なぁクレア、あのドラマに出てる”お湯をコップに入れたらラーメンができる地球の食べ物って何だっけ?」 「あぁ、それはカップラーメンね。」 「カップラーメン?コップにでも入っているのか?」 「そういえば宇宙にはコップにお湯やお水を入れるなんて事しないからね。お湯を容器の中に入れると、中に入っている乾いた麺が元に戻って麺状の食べ物になるものよ。」 「あぁ、それならこのパウチに入っている・・」 「そう、最近はお湯を注ぐ口のついた密封袋に入った形でラーメンの宇宙食も登場してるわね。で

          宇宙でカップラーメンは食べられるのか?(宇宙食の雑学③)

          宇宙サンドイッチ1965(宇宙食の雑学②)

          「何だこれ?歯磨き粉チューブみたいな形、こんな宇宙食誰が買ったんだ?」 「私だよー。」 「クレア、君が悪食なのは前から知っていたが流石にこれは無いだろ。どう見たってこの形は歯磨き粉・・歯ブラシのお供だろう? 「リコちゃん、これもれっきとした宇宙食なの。それもこのデザインは1960年代の復刻版なんだから!歴史があるの。権威があるのよ!」 「そうは言ってもよぉ、こんなに沢山買い込んで・・どうすんだよ、これ。」 「これはアップルソース味でしょ?それでもってこれはビーフグレービー、そ

          宇宙サンドイッチ1965(宇宙食の雑学②)

          無重力と宇宙食のカンケイ (宇宙食の雑学①)

          「あー、もう!またやっちまったよ。」 「リコちゃん一体どうしたの?」 「どうしたもこうしたも、この前宇宙船を操縦しがてら食べようと買った宇宙ビスケットが飛んでどこかへ行っちまったんだよ。」 「あー、月の宇宙港に戻ってからじゃないと見つからないパターンだね。」 「この無重力っていうの?体が軽くなるから便利なんだけど、重力がないと食事をするにもウ○チをするにもいちいち制約があって不便なんだよなぁ。」 「そうだよね。でもリコちゃんが生まれた月面よりも地球の方が重力はもっときついよ?

          無重力と宇宙食のカンケイ (宇宙食の雑学①)