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春のカミーノ

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書籍で好評いただいたエッセイ「星に導かれて巡礼の旅へ」の続編です。熊野の皆地笠をかぶった三羽ガラスが、2019年春のカミーノを歩きます!
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#小説

春のカミーノ① 〜Girls Just Want To Have Fun

2019年5月16日、早朝4時35分。 熊野名産の皆地笠(みなちがさ)に、お揃いのヤタガ…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ③ 〜サン=ジャン=ピエ=ド=ポーからオリソンへ

そういえば、3年前のピレネー越えもひどい雨だった。皆地笠(みなちがさ)から滴るしずくを拭…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ④ ~オリソンからピレネー越えへ

昨夜の嵐も巡礼者たちの告白も、すべて夢であったかのような青空だった。カミーノは人生の縮図…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑤ 〜ピレネー越えからロンセスバージェスへ

ケルンの十字架のあたりには、巡礼者を惑わす魔物が潜んでいたのだと、私は今でも信じている。…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑥ 〜ロンセスバージェスからスビリへ

漢方薬がよく効いたせいか、私は少し寝過ごしてしまった。いや、オスタルの夕食で出された巡礼…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑦ ~スビリからパンプローナへ

三日三晩、降り続いた雨はようやく上がった。こんなに降るなんて年に何度もないのよと、宿のお…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑧ ~パンプローナからペルドン峠へ

ナバーラ名産パチャランのおかげで二日酔いにはならなかったが、久しぶりに悪夢をみた。意識の深い深いところまでブクブク沈んでいって、そこから一気に浮上してぽっかり目覚めた、そんな感じだった。 この十年くらいの間に出会った人たちが、次から次へと、これでもかというくらい出てきて、私は軽くうなされた。会いたい人も会いたくない人も、女も男もごちゃ混ぜだった。 悪夢をみるのは良い兆し。カミーノを歩いているときであれば、なおさらだ。自分ではどうしようもない、心に溜まった澱のようなものを、

春のカミーノ⑨ ~プエンテ・ラ・レイナ(王妃の橋)にて

大変残念なことに、プエンテ・ラ・レイナの旧市街は、東西にかなり細長く伸びていた。そして私…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑩ ~プエンテ・ラ・レイナからエステージャへ

毎度のことながら、私たちはまた飲み過ぎてしまった。締めにナバーラ名産のコケモモ酒、パチャ…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑪ ~エステージャからロス・アルコスへ

カミーノ沿いに点在する、無数の町や村の中でも、エステージャはとりわけスピリチュアルな印象…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑫ ~ロス・アルコスからビアーナへ

3年前の取材で訪れたときから、ロス・アルコスは気になる村だった。エステージャのようにスピ…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑬ ~ビアーナからログローニョへ

ビアーナのホテルの朝食ビュッフェには、卵料理がふんだんに用意されていた。トルティージャは…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑭ ~ログローニョからナヘラへ

古来「星の道」と呼ばれるカミーノで出会い、ともに歩いた人というのは、自分の鏡であり、先生…

髙森玲子
3年前
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春のカミーノ⑮ 最終話 ~ナヘラからサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダへ

「今日は、先に出発するね」決意をこめた表情でMiwakoが言った。春のカミーノを歩き始めて、11日目の朝──三羽ガラスの巡礼、最終日である。 最後の日くらい、仲間に迷惑かけたくないのだという。今日の行程は、ナヘラからサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダまでの21.3km。幸い、ほぼ一本道なので迷う心配はなさそうだ。 後半のシルエーニャから先、ラスト7kmは今回の旅で一番のハイライトの絶景だ。ここはぜひ一緒に歩きたい。菜の花畑をバックにサックスを吹くMiwakoを、動画で撮