しぜんのかがくep.67 12/27発酵食(主に納豆)、防災備蓄食の可能性
2024年、年末最後のnoteは、私の愛する発酵食品(主に納豆)についてです😊
納豆について
納豆がとにかく大好きなんですね。ほぼ毎日食べます。小杉食品(三重県桑名)やミツカンの納豆が私のメジャーですね。
よくある質問、「明日地球が滅亡するとしたら、何を食べますか?」と言われたら、私は「納豆とご飯」です。
今日は災害時の非常食にもなりえる、戦国時代は非常食でもあった納豆。今日は納豆づくしの話をします。納豆について紹介します。
納豆の起源
納豆は2種類に分けられます。
1.糸引納豆は、茹でた大豆に塩を加えずに納豆菌で発酵させたものです。秋の米の収穫期から、藁を使って納豆を仕込みます(茨城の水戸納豆解説)。麦わらには納豆菌である枯草菌(納豆菌(Bacillus subtilis natto)を使います。この菌は稲藁や枯草に生息しています。これが付着している藁に包んだ煮豆を発酵させるだけで納豆になります。※現在販売されている納豆は、純粋培養された納豆菌を使ってます。
1000年前の平安時代から納豆は食べられていたそうですよ。(参考:藤原明衝作の『新猿楽記(しんさるがくき)』)
2.塩辛納豆は、茹でたり蒸したりした大豆を麹菌で発酵させた後、塩水に浸して乾燥させたものです。もともと中国から伝わってきたもので、中国では調味料(豆豉(トウチ))として使われています。(中華料理に欠かせない豆板醤もそうですね!ソラマメを麹で半年発酵、唐辛子を加えて1ヶ月から数年発酵させて作ります。)
日本には、奈良時代に鑑真によって中国から伝わり、寺の精進料理の一つとして禅寺で作られるようになりました。寺納豆とも呼ばれています。今では京都府京都市の大徳寺と、京都府京田辺市の一休寺で作っています。
大徳寺納豆は、和菓子の大福餅や饅頭(まんじゅう)などで塩味を添えていますね。
静岡県浜松市の大福寺や法林寺で作られている納豆は浜名湖名物の「浜納豆」として販売されていますよ。
参考文献:納豆の起源 NHKブックス
調味料としての納豆
日本では納豆というと糸引納豆がメジャーですが、海外ではほとんどは糸を引かない納豆です。中国、東南アジアでは、バナナやイチジクの葉、シダ、竹籠などで自家製納豆を作っており、煎餅のようなものを乾燥させて、調味料として炒め物に入れます。自家製納豆を作る際も、家の決まった場所で作らないといい納豆ができない(その場所菌が棲みついている。)という話もあるそうです。※インドネシアのテンペも豆を発酵させる納豆の一種ですが、発酵は納豆菌ではなく白カビ(クモノスカビ)です。
私の友人がいるオランダでは、ミントの葉で納豆を作ったりする人もいるそうですよ。ご飯には合わないけど、オムレツの具に入れると合うかもしれませんね😊
納豆は防災食
まず、納豆の栄養面のお話をします。
大豆はそのまま食べるには消化が悪く(食物繊維が多い。サポニンなど消化に悪い)、基本的に加工食品にして食べます。
大豆は、タンパク質、脂質、糖質、ビタミンB1、ビタミンE、葉酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など、さまざまな栄養素が含まれています。 タンパク質が加工食品になることでアミノ酸となることで旨味成分が増えて美味しくなります。
納豆を食べることで、人の腸内でビタミンKが作られ、骨粗しょう症を防ぐことができます(骨にカルシウムが取り込まれるのを促す。カルシウムが尿中に排泄されるのを抑える。)。また、大豆に含まれているサポニンや大豆イソフラボンは、その化学構造から、女性ホルモンに似た作用となります。女性にとっても嬉しい効果ですね。
でも、プリン体が多く含まれているそうで、尿酸値が高い人は注意です。
あとは、地産地消の面でしょうか。納豆は、日本独自の昔からの健康食であると言えます。納豆を含め、伝統食である豆製品と米、発酵食(味噌、醤油など)を頂くだけで、栄養バランスの整った食事を摂ることも可能です。
ただ、災害時は工業生産化されてしまった納豆は手に入りにくくなることが考えられます。私の経験ですが、東日本大震災の時に、東京で納豆が店頭からしばらくなくなり、手に入りづらい状況が続きました。外国(フランスなど)で自家製ハチミツを作るように、日本でも昔ながらの味噌作り、梅干し作りのように、自家製の納豆作りが復活すると良いかもしれません。※納豆菌の発酵には、温度管理が大切(人肌より少し高い35度〜40度程度の温もり)なので、その維持がなかなか手作りするには難しいようです。
最近頂いたオススメ納豆
「雪割納豆」山形県米沢市
納豆とありますが、納豆菌(枯草菌)だけでなく、味噌などを作る麹菌で発酵させた納豆。ペースト状でご飯に乗せたり、酒のつまみにもなる。塩辛納豆に近いかも?たくさんは食べられないから少しずつご飯に乗せたり、お茶漬けにしたり。イラストの雪ん子は蓑を頭から被り、藁ぐつが可愛い。3ヶ月ほど日持ちもするので備蓄食としても良いですね(冷蔵庫は必須ですが)。
日の出納豆 神奈川県
北海道産鈴丸小粒大豆100%を使用。全国納豆鑑評会 小粒・極小粒部門優秀賞2大会連続受賞!(マニアックな賞で好き!)。豆自体の食感は柔らかく、粘りが強い。タレは甘さや塩分控えめ。そのまま頂いても食べやすい。容器のデザインは、紗綾形(さやがた)。梵字である『卍(まんじ)』の字を斜めに崩した組み合わせ。連続文の万字繫ぎは不断長久(ふだんちょうきゅう)を表すものとして家の繁栄や長寿などの意味を表すそう。卍自体の起源は石器時代のインドで、太陽が光を放つ様子を表している(諸説あり)もインド好きの私としては堪りません!卍はサンスクリット語です。調べたらヒンドゥーの神ビシュヌ神の胸毛の形だとか😊
美食家、魯山人の究極の納豆マシーン(セールで昔購入)で拵えた納豆を頂きました。魯山人は「納豆の拵え方」を本に記しています。この納豆マシーンはその拵え方を再現。納豆から糸がたくさんでて、掻き回すのが硬くなるまでよく練る(約305回)その後、醤油を加えてさらに練る(約119回)。計424回の練りが再現できるマシーンです。
※「魯山人味道(ろさんじんみどう)」という本に納豆の食べ方が書かれていますが、具体的な回数は書かれていません。タカラトミーの開発者の独自の数字です。
藁納豆は粘りが強く何度もかき混ぜ棒が外れ、何度も取り付け、魯山人の納豆がやっと完成。藁納豆は色が濃く、味も濃厚でした。私は小粒納豆が美味しいと思いました(小粒納豆とは、5mmくらい、中つぶが6mm,大粒は8mm。)
魯山人は納豆茶漬けもおすすめされていますね。
私は、Podcastのディレクターオススメの近所のお店で納豆茶漬けをいただきました。暖かい茶漬けも乙な味でしたよ。
納豆を食べるのは朝?夜?
私は夜に納豆をいただきますが、朝食べる方も多いのではないでしょうか?納豆には血栓を溶かす酵素「ナットウキナーゼ」や、良質なタンパク質、睡眠物質メラトニンを作る「トリプトファン」、リラックス作用のある「大豆ペプチド」、精神安定に役立つ「メチオニン」が入っています。夜は美肌や女性の体調を整え、含まれている成分による安眠も期待できると思います。納豆を朝食べると消化の良い良質なタンパク質になりますね。
ぼうさいひとこと 「他にもある、伝統的な保存できる発酵食、備蓄食」
チョコレート
私が毎日食べている明治チョコレート効果72%も発酵食ですね。チョコレートの材料であるカカオ豆をカカオポットごと、バナナの葉に包んで発酵させています。日持ちもしますので、備蓄食としてもいいですね。酵母、酢酸菌、乳酸菌によってあの絶妙なチョコレートらしい香りや味の素が生まれるようですよ。
味噌
味噌も保存食ですね。麹菌によって大豆を発酵させます。昨年、近所の子どもたちと一緒に作ってみました😊
梅干は発酵食品と思いがちですが、発酵ではありません。梅のクエン酸による酸味と塩分濃度の高さで腐らないのですね。日持ちがする(明確な賞味期限はない。塩分濃度18%以上だと半永久的)ので、10年前くらいまでは、梅の樽が、名古屋市の避難所備蓄となっていました。
マツコの知らない世界の番組(11月の防災グッズの世界)でも、「沢庵(タクアン)」が取り上げられていましたね。日持ちがして食物繊維もあり、食感があるものは災害食として優秀なのだそうです。
らっきょうも発酵食かつ備蓄食ですね。私は甘酢漬けを自宅で作りますが、3%程度の食塩水の中で、乳酸醗酵させてから甘酢に漬けると、最高に美味しくなりますよ。
おせちはハレの日の保存食。
佃煮や酢の物、煮物に焼物など、保存がきく数々の料理が詰められていますね。
おせちで保存性が高いのは、佃煮、酢の物、煮物、焼物の順です。田作りは冷暗所で10日間~2週間、たたきごぼうは冷蔵庫で1週間、紅白なますは冷蔵庫で1週間持ちますね。
ただの発酵食、備蓄食だけでは勿体無い、大事にしたい日本の食。昔から引き継がれてきた、日本の伝統食をいただいて、のんびりお正月をお過ごしくださいね。
⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
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