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【読書感想】わたしたちは銀のフォークと薬を手にして/島本理生

[ネタバレを含みます]

知世は素直で健気な女性で、椎名さんは優しくて穏やかで、そんなふたりの関係性がとても羨ましかった。

タイトルが気になりつつも手に取った本だったが、「薬」とはエイズのことだったのは驚きで。でも、そんな大きな病気を抱えながらも、幸せが溢れるふたりの描写が本当によかった。

とくに最終章の石垣島での旅行が、読んでいるこちらも本当に幸せで、ゆっくりと大切に読んだ。

私も、知世と椎名さんのようなささやかで揺るぎない幸せを手にしたい、そう思った。


◆読了日

2022年6月1日

◆読んだキッカケ

書店で見かけて。装丁とあらすじが気になった。

◆あらすじ

残業も休日出勤もいとわない仕事熱心なOLの知世。そんな彼女の楽しみは、仕事で出会った年上のエンジニア・椎名さんとの月二のデート。江の島の生しらす、雨の日の焼き鳥、御堂筋のホルモン、自宅での蟹鍋……。美味しいものを一緒に食べるだけの関係だったが、ある日、彼が抱える秘密を打ち明けられる。行方のわからない大人の恋を描いた恋愛小説。

◆覚えておきたいこと

世界が暮れなずむ。なぜか、絶望みたいだ、と思った。なにも欠けたものがない。
ゆるぎなく、無理もなく、満たされて、だけど私たちは確実にいつか死んでいく。それを自然と想像できるくらいに幸福だと気付き、希望とはなにか足りないときに抱くものなのだと悟った。
暖かな胸の中で、純度の高い絶望が揺れていた。この人と結婚するんだ、と思った。最後の迷いが波音に消えた。

◆おすすめポイント

アラサーの私には、主人公たちの恋愛模様に共感ばかりのお話でした。大きな秘密を抱えながらも、知世と椎名さんの穏やかで微笑ましい関係性にとても憧れ、キュンとしました。ここ最近で読んだ恋愛小説の中で一番お気に入りです。

◆おすすめ度

5/5

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