玲香の本棚

読んだ本の感想を書いています

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最近の記事

【読書感想文】西の魔女が死んだ/梨木香歩

[ネタバレを含みます] おばあちゃんが教えてくれたことはマインドフルネスそのものだった。 ◆読了日2024年2月21日 ◆読んだキッカケ優しい小説が読みたくて。以前からいつか読もうと思っていた。 ◆あらすじ◆覚えておきたい内容◆おすすめ度3/5

    • 【読書感想文】虹の岬の喫茶店/森沢明夫

      [ネタバレを含みます] 喫茶店の店主、悦子さんが素敵だった。特に泥棒が入ってきた時、お客さんとして迎え入れていたところが懐が深いと思ったが、それでも本当は怖くてマグカップを割ってしまったという人間味のあるところもまた良い。 壁にかかっているという虹の絵。その美しさや神々しさがこちらにも伝わってきた。 ◆読了日2024年2月15日 ◆読んだキッカケ優しい小説が読みたくて。 ◆あらすじ◆おすすめ度2/5

      • 【読書感想文】スーツケースの半分は/近藤史恵

        [ネタバレを含みます]  これは読んでよかった。自分も幸運のスーツケースで旅をした気分になった。そして主人公と共になにか少し変われたような気がした。この小説に出てくる人たちはみなこの青いスーツケースとともに旅をして、なにか大切なことに気づく。  最後に出てくるスーツケースの真の持ち主、加奈子が素敵だった。入院だって旅のひとつ。たぶん、いつか死ぬこともまた旅のひとつだと思っているんだろうな。  前半はアラサー女性4人グループのそれぞれがこのスーツケースと共に旅に出る話。ア

        • 【読書感想文】大人になったら、/畑野智美

          [ネタバレを含みます] 正社員であることの責任と、ひとりの女としての今後のこと。自分と重ね合わせて読んだ。周りの目や元カレのこと、結婚して子供がいる友人たちなど、自分の状況と重なる部分が多くあった。 自分も相手も一人で生きている大人。だけど完璧な人間ではない。それを認め合って、支え合って、生きていくことが大事なんだろう。 主人公のメイは悩みながらも本当にしっかり仕事をしていて偉いなぁ、自分も頑張ろう、と思えた。 ◆読了日2023年6月18日 ◆読んだキッカケ書店で見

          【書評】シンプルで合理的な人生設計/橘玲

          論理的に幸せな人生とは何かについて論じている本。金融資本(お金)、人的資本(能力)、社会資本(家族、友人)の数が多いほど幸せだと筆者は定義している。 ◆読了日2023年5月 ◆読んだキッカケ書店で見かけてタイトルに惹かれて。 ◆覚えておきたい内容・もっとも効果的に幸せになる方法はお金持ちになること。独身なら年収800万円、世帯なら年収1500万円の閾値に至るまでは効果が高い。 ・(完璧な答えを探したり、あらゆるリスクを回避したりする戦略より)適度なリスクを取り、トライ

          【書評】シンプルで合理的な人生設計/橘玲

          【読書感想文】パラレルワールド・ラブストーリー/東野圭吾

          [ネタバレを含みます] この作品が1995年に書かれた作品だと言うことに驚いた。2023年の今読んでも違和感はまったくない。そして、東野圭吾さんだけにまさに理系小説だった。 2つの時間軸が交互に語られていく。片方は社会人2年目で企業内研究機関にいる自分、そしてもう片方は社会人3年目で会社で働く自分。ヒロインが親友の彼女か、自分の彼女か、その点が決定的に矛盾していた。 真相は、親友が彼女を諦めるために自分の研究成果を使って故意に昏睡状態になり、そのことで自責の念にかられた

          【読書感想文】パラレルワールド・ラブストーリー/東野圭吾

          【書評】誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則/ジム・ドノヴァン

          日本語のタイトルはザ・自己啓発な感じになっているけど、内容はとても良かった。見開き1ページに1項目が載っているので読みやすい。 本書は人生の目標を達成するための具体的な方法が書いてある。よく引き寄せの法則などで言われている、「目標を達成した自分を明確にイメージする」「目標は現在進行形(私は〇〇である)で書く」「目標を達成した状態を表す写真を集めて毎日見る(宝の地図)」などの方法がまとめられている。 書いてあること自体は他の本にもあるかもしれないけど、本書は項目ごとによくま

          【書評】誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則/ジム・ドノヴァン

          【書評・要約】入社1年目の教科書/岩瀬大輔

          初心を取り戻したくてこの本を読んだ。一番大事なことは最初に書かれていた。仕事においてはこれが全てと言っても過言ではない。 頼まれたことは必ずやり切る 50点で構わないから早く出せ つまらない仕事はない 何年経っても、仕事への情熱や基礎となる部分は変わらないだろう。入社6年目にして、仕事にはだいぶ慣れてきた。この機に、本書を読んで仕事への向き合い方を改めて考えられたような気がする。 ◆読了日2023年3月9日 ◆読んだキッカケ入社6年目にして、社会人として働くことの

          【書評・要約】入社1年目の教科書/岩瀬大輔

          【読書感想文】仮面山荘殺人事件/東野圭吾

          [ネタバレを含みます] これは・・・!最後の展開が最高に面白かった。事前情報なしで読んでよかった。 実は話の語り手が犯人だったというオチは、最近のミステリーではよくあるパターンかもしれないけど、それでもよく出来た作品だった。 主人公以外の全員がグルですべてが演技だったと分かった後の、主人公の滑稽さよ。愉快な音楽でも流れてきそうな雰囲気だ。この芝居を企てた動機も、主人公が婚約者を殺したという証拠がなく罪を暴くためというしっかりした理由があった。わざわざ役者を雇ったというのも、

          【読書感想文】仮面山荘殺人事件/東野圭吾

          【読書感想文】新世界より/貴志祐介

          [ネタバレを含みます]  綿密に練られた壮大なファンタジーだった。戦いのシーンがとても臨場感があって素晴らしかった。ホラー小説も書く筆者なこともあって、悪鬼が迫るシーンのぞくぞく感が凄かった。  覚以外の1班の皆がいなくなって、両親も失って。覚までをも失うのは絶対に嫌だと思った早季は、最終兵器の効果を止めた。ここが一番のクライマックスだった。  早季が富子さんの跡を継ぐなんて、最初は早季自身と同様に信じられなかったけれど、最後はやはり早季こそがこの町のリーダーになるべき

          【読書感想文】新世界より/貴志祐介

          【読了記録】バラ色の人生の送り方/ドミニック・グロシュー

          【読了記録】バラ色の人生の送り方/ドミニック・グロシュー

          【読了記録】限りある時間の使い方/オリバー・バークマン

          【読了記録】限りある時間の使い方/オリバー・バークマン

          【読書感想文】すべて真夜中の恋人たち/川上未映子

          [ネタバレを含みます]  独特の雰囲気の小説だった。あえてひらがなを多く使っているところが、この小説の優しい雰囲気を補完している。周りの自己主張の強い女性たちから言葉のサンドバックのように言いたいことを聞かされる主人公の冬子。それとは対照的に、ゆっくりとしたペースでしっかりと冬子の話を聞いてくれたのが、三束さんだった。この世界でひとりぼっちの冬子。三束さんにぶつける思い。あなたを愛しています。静かでありながら、とても情熱的だった。  この小説のテーマは光だった。  三束

          【読書感想文】すべて真夜中の恋人たち/川上未映子

          【読書感想】元彼の遺言状/新川帆立

          [ネタバレを含みます] エンタメ性の強い作品で面白かった。主人公の剣持麗子が現代に生きる女性像を代表しているような人で、いわゆる高学歴・バリキャリ女子。お金のために働いていて、上司にも歯に衣着せぬ物言いをする。最近の女子は、こういう女性に憧れる人が多いと思う。(剣持麗子の場合はすこし振り切れすぎているが。)まさに新時代のエンタメ小説だった。 さて、本書はただのエンタメ小説ではなくミステリー小説の分類でもあるのだが、トリックの真相もしっかりと組み立てられていた。著者は弁護士

          【読書感想】元彼の遺言状/新川帆立

          【読書感想】サファイア/湊かなえ

          [ネタバレを含みます] 私にとって初めての湊かなえさん作品。とてもよかった。 帯にあるとおり「すべて恩返しの物語」なのだが、湊かなえさんらしいウィットに富んだ作品もあれば、心温まるラストの話もあり、すべて異なる読後感を味わえた。 唯一、「サファイア」と「ガーネット」は連作となっている。事故死した恋人は、彼がアルバイトをしていた指輪の悪徳商法で騙された女性の恨みを買って殺されたのではないか。そう疑っていた主人公だったが、ガーネットの章で指輪を買った女性からの手紙をもらい、

          【読書感想】サファイア/湊かなえ

          【読書感想】凍りのくじら/辻村深月

          [ネタバレを含みます] いろいろな伏線を散りばめておいて、最後に一気に回収する。辻村さんらしい作品でした。 辻村さんはサイコパスを描くのが本当にうまくて、理帆子の元カレの若尾がストーカーになっていく様子が怖かった。若尾は「鍵のない夢を見る」の雄大とタイプが似ている。辻村さんは私生活でそういう男性と付き合ったことがあるのだろうか…と考えてしまった。 まわりの人にSF(すこし・なんとか)と名づけて、自分から距離を置いてしまう理帆子。そして自分のことは「すこし・不在」だという

          【読書感想】凍りのくじら/辻村深月