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【読書感想文】スーツケースの半分は/近藤史恵
[ネタバレを含みます]
これは読んでよかった。自分も幸運のスーツケースで旅をした気分になった。そして主人公と共になにか少し変われたような気がした。この小説に出てくる人たちはみなこの青いスーツケースとともに旅をして、なにか大切なことに気づく。
最後に出てくるスーツケースの真の持ち主、加奈子が素敵だった。入院だって旅のひとつ。たぶん、いつか死ぬこともまた旅のひとつだと思っているんだろうな。
前半はアラサー女性4人グループのそれぞれがこのスーツケースと共に旅に出る話。アラサー女性ならではの悩み、4人のそれぞれの人との距離感や境遇など、まるで自分とそっくりで、「あぁ分かる」となった。
近藤史恵さんの海外の描写がリアルで、本当に素敵だ。その国の気候や空気まで感じられる。
◆読了日
2024年2月7日
◆読んだキッカケ
メルカリで偶然見かけてタイトルが気になったから。
近藤史恵さんの海外の描写が好きで、これも読んでみたいと思った。
◆あらすじ
人生は、一人旅。明日はどこへ行こう?
相棒は青いスーツケースただ一つ。
今日も残りの半分に、温かいドラマが詰まってゆく――
心がふわっと軽くなる、幸せつなぐ物語。
三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで見つけた青いスーツケースに一目惚れ、衝動買いをしてしまう。
そのとき、彼女の中で何かが変わった。心配性な夫の反対を押し切り、憧れのNYへ初めての一人旅を決意する。
出発を直前にして、過去のある記憶が蘇り、不安に駆られる真美。
しかし、鞄のポケットから見つけた「あなたの旅に、幸多かれ」というメッセージに背中を押され、真美はNYへ旅立った。
やがてその鞄は友人たちへとバトンされ、世界中を旅するうちに、“幸運のスーツケース"と呼ばれるようになってゆく――。
大丈夫。一歩踏み出せば、どこへだって行ける。
NY、香港、アブダビ、パリ、シュトゥットガルト……新しい自分に出会う、切なく優しい旅ものがたり。
◆覚えておきたい内容
家から離れて遠くに行くのが旅ならば、入院だって一緒でしょう。楽しくて優雅なだけが旅じゃないって岡田くんが教えてくれた。
◆おすすめポイント
アラサー女性におすすめしたい。あるスーツケースを通して、それとともに旅する人たちが大切なことに気づく、短編集。
◆おすすめ度
5/5