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学ぶ楽しさ
俄かに美術や美術史に興味が湧き連日とあるYouTube チャンネルを観ている。
キッカケはiPadで描いている拙いイラストなのだが、ロボットもどきのような初代キャラクターに飽きて次に選んだ題材が「エンジェル」であり、エンジェルとキューピッドの違いも微妙に分かっていない状況で巷に溢れている両者がただ可愛いからという理由で選んだものの「それで良いのかお前?」と問い糺す内なる声にハッとしてとりあえず手当たり次第曖昧なものは調べようと思い立った、という次第である。
そもそも小学生でも知っている子が多いであろう「エンジェルは宗教・キューピッドはギリシャ神話」の事実すら知らなかった己の無知さには呆れる。しかし、興味が無かったからそうなった訳で仕方ないなぁと苦笑しながらも無知とは恐ろしいものだと改めて思う。曲がりなりにも世のために働いている身としては無知は致命傷。そんなことも知らずに先生してるなんて恥を知れ!と罵られてもグゥの音も出ない。
海よりも深く反省した小生、勉強の仕方もとうの昔に忘れているので闇雲に知識を詰め込んでいる最中。何を観ても何を聴いても何を読んでも新鮮で楽しいのである。この感覚を学生時代に持ち得ていたら今頃どんなに博学で人徳者になっていたであろうか。。。過ぎたるは及ばざるが如し。別に誰に勉強せい!と叱られた訳でも無いので何のプレッシャーも無く楽しく学ばせて頂こうと思う。
さて、そのチャンネルのお陰でヴィーナスとウェヌスとアフロディテが同じ女神の呼称だと知ったり、大好きなパウル・クレーが非常に面倒臭い人だったと分かったり、ゴシック建築が何故あそこまで尖り続けたのかを知ったり、生理的に受け付けないと決めつけていたクリムトやボスやセザンヌやゴヤを少しだけ好きになったりしている。総じて言えることは、頑なな思い込みを取っ払い第一印象やトラウマで判断せず俯瞰で物事を見て様々な関連性を紐解くと世の中は本当に面白く学ぶ意欲も増すということ。
僕の場合はお絵描きだったが、取っ掛かりは何でも良いと思う。身近な例で言えば、ダンスレッスンを受けていて振付の中に登場する不可解なポーズが実はルネサンスからの潮流であるマニエリスムの影響を色濃く受けたファッションモデルのポーズだと知ったら美術やファッションへの興味が開けるかも知れないし、不自然な体勢を可能にする人体の構造に興味が湧いて機能解剖学を学び始める人がいるかもしれない。とは言え、そんな事例は稀で「あー、今日も楽しく踊れてスッキリ〜♪」が殆どだとは思うが。誰も彼も美意識の塊みたいになっちゃったらそれこそカルチャーセンターに皆大挙して押し寄せパンクしてしまう危険もあるのでこの程度で良いのだとも思う。
僕のケースはダンスという古代から脈々と受け継がれてきた「人は何故踊りたいと思うのか?」というテーマや美術との密接な関係性がありながらそれらを完璧に無視して長年携わってきてしまった後悔から大慌てで今貪るように学んでいるだけなので、これを他人に押し付ける気はさらさら無い。
でも、学ぶ楽しさは是非沢山の方々と共有したいなぁと思う。博物館や美術館の学芸員レベルの教養を身に付ける必要は無くて、今何気なく手にしているモノがギリシャやローマ由来のモノだと知ったら楽しくないですか?ぐらいのことで良いと思う。
ちなみに僕に豊かな生活を与えてくれているチャンネルはこちら。