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瑠璃の部屋247

ジェネレーションXを読んだ。1960年代のしらけ世代の日常を小説にしている。
ところどころに、造語の解説がある。

例えば、
[投票遮断]
いかに弱々しいものであろうと、単に投票しないことによって、現状の政治システムに異議を提示しようとする試み。

そういえば、記事にこんなのがあった。
「政治家は、全体の投票率を上げたいとは思っていない」

自分に投票する人が増えて欲しいだけな訳で、それは演説を聞きにくる人々であり、自分の影響力が及ぶ人々の投票率を上げたい訳で。

政治を広く見て、投票する人々が増えると困る。落ちるかも知れないから。

ま、ここで熱く語ったところで的外れなことしか言えないから。

話を戻すと。

大学の職業交換プログラムで。
社長が「酒でも飲んで話をしよう」と社長室に誘ってくれた。
当たり障りのない話の後、
自分の持っているもので、いちばん貴重なものは何かと訊かれ。
貴重なは持っていませんと答えた。
すると、財産は動かせるものであり、絵画なり宝石なり貴金属に換えておくことが肝腎だと。
で、召使に命じて金庫を持って来させ、ダイアルを合わせて。扉を開いた。
「これがわたしの、いちばん貴重なだ」

それを見て、詩人リルケの言葉が浮かんできた
「我々はみんな、一通の手紙を内にもって生まれ、自分自身に忠実である場合にだけ、死ぬ前にそれを読ませてもらえる」

耳で燃えるような血がこう言うんだ。ぼく自身も、何か似たような間違いを冒す危険にさらされている。
家を一軒破壊してきたかのように息を荒らげて、ぼくはビルから逃げ出して・・・

この本の最後、愛情の圧力(と表現しているけど、実際は知恵遅れの子供達の抱擁)に潰されそうになる主人公。
善意からか、子供達を引き剥がそうとした紳士が、それを中断し。なすがままにさせる。主人公の気持ちを察したのだろう。
ぼくは、ありがとうと言ったかどうか想い出せない。と締めくくっている。

文中で使う新造用語の説明があり、そこを読むだけでも楽しい。
あと、自然食品に関する記述が散見される。
最近になって言われているけど、日本が周回遅れなだけらしい。

さて、「愛情の圧力」って読んだように思って書いたのだけど、今、見直したら、そんな表現どこにもなかった。

それから、社長の金庫の中に何が入っていたか。
モンローが下着をつけずにスカートを上げた写真。
はぁ・・・・日本人って、そういうイメージなんだね。


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