自分が描いた本を直接届ける、という夢が叶った日のこと。
もし仮に、将来的に福岡で友人ができたとして
「今度、東京とか神奈川に行くんだけど
どこか美味しいご飯屋さん知ってる?」
と聞かれたら(どんな状況)
「えっと、私的には美味しいんだけど、でも福岡って美食の県だしお口に合うかどうかっていうか。いや、なんていうかちょっと心配かも」
という前置きを必ずつけよう。
今、爪を切りながら決心したくらいには美食で溢れていた福岡から無事帰還したあたくしです。
どもっ。
初日の飛行機の欠航から始まり、
なかなかヒヤヒヤした今回の福岡旅。
結果的には楽しくて、美味しくて。
そしてなんていうんだろう。
心温まる時間を過ごせました。
2年前はほぼ不可能だった外食が少しずつできるようになった最近。水炊き、もつ鍋、ごま鯖、うどん。美味しいグルメを満喫できた嬉しさ。
大学で同じサークルで、就職後に福岡配属になった友人と久しぶりの再会。一緒にお酒を飲んで話して
人生って楽しいね〜と夜遅くまで映画を観た至福の時間。
そして、何より。
新しい挑戦でもあった福岡文学フリマに出店する。
そして自分の本を、手渡しで誰かに届ける。
また1つ夢が叶った瞬間を過ごせました。
6月に完成した『始発に乗る人々』、に加え、以前noteで執筆した小説『余命一年の天使と出会った話。』を加筆修正したもの。今印刷できる最大冊数を詰めて会場へと向かいました。
100人いて100人に刺さる小説でなくていい。
100人中1人が「読んでみようかな」と思う作品だったらいい。
たとえ売れなくても、私がこの本を描き、製本に向けて編集して印刷所に向かった時間を自分だけは肯定してあげよう。そう約束して、会場での準備を行いました。
結果、2つの小説を合わせて計8冊。
大切な本がお客さんの元へと飛び立ちました。
福岡に行くことは誰にでもできたとしても、福岡で自分が0から作った本を販売することは私にしかできない。そう考えると、嬉しいなあ。よく頑張ったなあ自分、と素直に思います。
さらに、本を売るという形以外でも沢山の方とご縁をいただけたことは福岡文学フリマでの時間をさらに豊かにしてくれました。
お隣のブースで販売していた女の子。「同い年だね」と言いながら、お互いの本が売れたときは喜び合いました。
本を購入してくださったイラストレーターの方が
紹介してくださった、俳句を詠む方との出会い。
購入した俳句集のページをめくるのが楽しいです。
以前知り合った同い年のイラストを描く方とお知り合いでデザイン会社を経営されている方に思いがけず出会えたときは驚きと嬉しさでずっとニコニコしちゃいました。
福岡の太宰府で雑貨屋さんを開かれているご夫婦。お2人の空気感が素敵でした。また福岡に行く理由ができました。
始発に乗る人々での表現。
「大丈夫、きっと大丈夫だ」
をずっと心の中で唱えながら過ごしていた出発前。
想像以上の大丈夫と、それを上回るよかったな、が
今の私を包み込んでくれています。その余韻に浸っています。
明日からもまたずっと描き続けます。
私を1番私らしくいさせてくれる時間が「描く」時間だな、と今の段階では思います。願わくば私の文章が、表現が。自分と、別の誰かの人生の選択肢を少しだけ広げてくれることを祈って。
れいちゃんのぼっち飯の中の人
筧玲奈