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#ゲーム
海外アートゲームシーンで静かに広がる開発ツール「Decker」の世界——シュールな見た目に留まらない、HyperCardの流れを汲むミニマルゲーム開発に向いたツール
広大なインターネットの世界には、ゲームを制作するためのさまざまな開発ツールが公開されている。UnityやUnreal Engineなど代表的なゲームエンジン以外にも、プログラミングの知識を深く必要とせずともゲームづくりを可能にするものは多く、独自の形式や制約の中からクリエイティブな表現が生み出されることも少なくない。本記事ではそんな開発ツールのひとつであり、アートゲーム的な手法とも親和性が高いDeckerについて、作品の具体例とともに紹介していく。 執筆 / ドラゴンワサビ
『Fears to Fathom』緊張と緩和、そしてオーラルヒストリーとしての心理ホラー。5作目を迎えた、恐怖の行方
「Fears to Fathom」は一人称視点のホラーゲームだ。現在までに5作品がリリースされており、いずれもSteamで1000件以上のレビューを獲得している人気シリーズだ。 このシリーズの特徴は、なんとプレイヤーからメールで物語を募集し、それを元にゲームを制作しているという点だ。開発者の元に届いた物語をそのまま再現しているのか、あるいは改変しているのか、はたまた複数のエピソードを組み合わせているのかは知る由もないが、少なくともそのゲームプレイは、現実のどこかで実在した出
実在するフィリピンの偉人たちによる、まさかのスタイリッシュな 2D対戦格闘ゲーム!『BAYANI:Fighting Game』
『BAYANI:Fighting Game』はフィリピンにまつわる歴史上の偉人たちをモチーフに作られた2D格闘ゲームだ。2019年Steamでアーリーアクセスとしてリリースされており、今年開催されたEVO JAPAN 2024ではアーケードプラットフォーム「exA-Arcadia」での稼働も発表されていた。 筆者が本作と出会ったのは2019年ラスベガスで開催された世界的格闘ゲーム大会「EVO 2019」だった。その会場の中でインディー開発による対戦ゲームが中心に出展されたブ
▼日常▼ファジーでファンタジーなチャイルドフッドメモリー『Five Years Old Memories』【月の裏側のビデオゲーム】
▲シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです 『Five Years Old Memories』は強く人に勧めたい、だけどできることなら自身の体験として多くを知らないまま触れてほしいと、同時に願いたくなる稀有な作品のひとつだ。まさに「体験」としか呼びようのない本作に漂う独自のプレイフィールは、どんな言葉をあてがおうとも説明し尽くしがたいむず痒い思いを抱かされる。 計7つのチャプターからなる本作は、それぞれに作者である小光氏が友人たちへ聞いた5歳ごろの記憶に関するイン
『Looped』終わりなき時の円環に閉じられた永遠の恋愛——に見せかけ、だらだら暮らすデタラメなカップルの日々を体験する
時の円環に閉じ込められ、永遠に繰り返される恋愛の時間。それは本当に幸福なのか、あるいは甘い地獄なのか。でも、別に本人はそこまで問題にしてないし、ふたりの関係で傷つくこともなく、けっこう普通に生活してたりする適当さ。考えてみれば、それこそが誰もが望む恋愛の形かもしれない……これが『Looped』で体験できるすべてだ。 ビデオゲームで恋愛の体験は、さまざまなかたちで作られてきた。プレイヤーが自分のスキルを磨いて相手に振り向いてもらうシミュレーションとか、すでに恋愛が成就し、ふた
▼日常▼膨大な数があるシミュレーターの世界には、なんと電子レンジでマカロニが温められる2分半をただ待つシミュレーターもある。『microwave simulator』【月の裏側のビデオゲーム】
▲シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです 多種多様な要素から構成されるビデオゲームを「時間の体験」という尺度から捉えた際、ある種の極北とも呼べる作品がいくつか存在する。最低限のインタラクティブ性は担保しつつ、プレイヤーが操作可能なインタラクションを「電子レンジのボタンを押す」一点に絞った『microwave simulator』も、そんなゲームのひとつだ。 冷凍食品を温める間の2分半を眺めて過ごす行為がゲームプレイの大部分を占める本作は、長大なボリュームやリッチ
英語圏を席巻するゲームエンジン「bitsy」のシーンについて——まるで日記や詩を作るみたいに、ゲームを作れるゲームエンジン
シーズンテーマ『日常』で特集しているテキストです bitsyとは、ミニマルなゲームエンジンです。ブラウザ上で動作し、プログラミングの知識もいらず、シンプルな操作でゲームを作れることを特徴としています。bitsyは開発の手軽さから、このエンジンのコミュニティが築かれていることも大きな特徴ですし、決められた期間にゲームを作って持ち寄るゲームジャムにおいてもしばしば利用されています。この記事では、bitsyを使って作られたゲームを「日常」というテーマからいくつか紹介します。 執
▼日常▼仕事のために生き急ぐな。ゆっくりした歩みから見える景色もある。『Gradually|じょじょに』【月の裏側のビデオゲーム】
▼シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです ランゲームの形式を用いたミニマルな体験を通じて、クリアまでの間にあるプレイの潜在的な豊かさを照らす『Gradually|じょじょに』。目標へ向かって急ぐことに焦りや不安を感じる、そんな人たちに「立ち止まってもいいんだよ」と温かく寄り添う短編ゲームです。 itch.ioの公式ページより、PCのブラウザでプレイできます。クリアまでおよそ5分程度ですが、そこには豊穣な体験に満ちています。 執筆 / ドラゴンワサビポテト 編集
▼日常▼あのサンフランシスコの電車の中で見た日々は。過ぎ去った日常を情緒的に描く短編『Commute』【月の裏側のビデオゲーム】
シーズンテーマ『日常』で特集しているタイトルです Star St. Germainによるゲーム『Commute』はサンフランシスコを舞台にしたインタラクティブ・フィクションです。リンク先のサイトにて、ブラウザでプレイできる情緒的な短編です。 本作はbitsyというシンプルなゲームエンジンをベースにしていながら、その枠を超えるようなリッチなアートと、ニュアンスに満ちた語りを魅力としています。操作方法はシンプルでありつつ、ゲームならではの効果もはっきりと感じさせる作品であり、同
▼言語▼文学から単語を探し、まさかの “Haiku(俳句)”を生み出す言語探索パズル『Haikuna』【月の裏側のビデオゲーム】
シーズンテーマ『言語』で特集しているタイトルです 『Haikuna』とは英文の中から単語を見つけ出し、日本の俳句——いや、 英語による“Haiku”を完成させるという、異色の単語探索ゲームだ。 本作は、英語による文学から、日本語による俳句を生み出すという、言語間の意味の違いから、別の可能性を見出していく一作でもある。英語と日本語、それぞれの言語で表現できる違いについて理解がある、翻訳などを行うゲーマーに遊んでみて欲しい一作でもある。 執筆 / ようげ 編集 / 葛西祝