令和ビデオゲーム・グラウンドゼロ——アートハウス・ビデオゲームメディア
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ひとりの開発者が、大不況下のゲーム産業の絶望に晒され、アートハウスゲームの祭典で希望を探す——「A MAZE」ドキュメンタリー『Weired Games Manifesto』紹介【アートハウス・ゲームシーン】
いま、ビデオゲーム大手の産業、そして大手の企業は個人にとってどれだけ信用が置けるものなのか? このメディアはアートハウス・ゲームを扱うことに特化しているので、通常のゲーム産業について言及することを度外視しているようなところはある。だけど、実際には両者は繋がっていて無関係ではない。 インディーが活況となるずっと以前からアートハウスゲームは存在している。ゲーム産業がなんらかのビジネスとしての傾向を強める一方で、産業としての方法から目を背け、ゲームが持つ特異な可能性を追求したり
¥500【レビュー】『東京珈琲パンデチカ』・コロナ禍でおいしいコーヒーを淹れるゲームは、当時、将来を悲観して焼身自殺した飲食店店主のことを忘れさせることができるのか?
『東京珈琲パンデチカ』をクリアまでひと通り体験して思うことは、「人間はとてつもない危機に見舞われたとて、やれることが限られる」ということだったりする。これはあまり作り手が想定した見方ではないかもしれないけれども。 コロナが蔓延した街で、お客が減ったとしても飲食店はご飯を作ることができることのほとんどだし、喫茶店はコーヒーを作ることがやれることのほとんどである。ただし、店の外に広がる社会にアクセスすることをあきらめたならばだ。 いまや残酷な現実を体験できるゲームジャンルでホ
¥300【NEWS】ゲーム中の画面で映画を作る特殊ジャンル「マシニマ」がここまで来た。『Day Z』のプレイヤーに960時間以上密着したゲーム内ドキュメンタリー映画『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』が11月30日に公開。
ドキュメンタリー映画『ニッツ・アイランド 非人間のレポート』が11月30日よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開を予定している。本作はオンライン・ゲーム『DayZ』内に963時間潜入し撮影されたドキュメンタリー映画である。 エキエム・バルビエ、ギレム・コース、カンタン・レルグアルクの3人で監督し、本作は作られた。彼らはインタビュアー、技師、カメラマンの役割を担い、チームでサバイバルしながら、遭遇したプレイヤーたちにインタビューを重ねていった。 暴虐の限りを尽く
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【NEWS】路上販売でわずかな金を稼ぎ、生き、人生を知るシミュレーション『Cart life』が完全版の開発に向け、itch.ioにて資金援助を募集。2012年のインディーで最大の評価を得た路上の伝説が、再生に向かう。
2012年は『Hotline miami』や『Gone Home』など、インディーゲームのクラシックとなるタイトルが多数リリースされた歴史的な1年だった。 その年にて、数あるクラシックを押しのけ、インディーゲームイベントの老舗であるIndependent Games Festivalにて最高賞を得たタイトルがあった。そのゲームは、誰も殺したりしないし、家族がすべて消えた家で謎を解いたりもしない世界——ドラマチックで、刺激的なことは起きない、我々がよく知る日常そのものを、新鮮
海外アートゲームシーンで静かに広がる開発ツール「Decker」の世界——シュールな見た目に留まらない、HyperCardの流れを汲むミニマルゲーム開発に向いたツール
広大なインターネットの世界には、ゲームを制作するためのさまざまな開発ツールが公開されている。UnityやUnreal Engineなど代表的なゲームエンジン以外にも、プログラミングの知識を深く必要とせずともゲームづくりを可能にするものは多く、独自の形式や制約の中からクリエイティブな表現が生み出されることも少なくない。本記事ではそんな開発ツールのひとつであり、アートゲーム的な手法とも親和性が高いDeckerについて、作品の具体例とともに紹介していく。 執筆 / ドラゴンワサビ
¥300『Fears to Fathom』緊張と緩和、そしてオーラルヒストリーとしての心理ホラー。5作目を迎えた、恐怖の行方
「Fears to Fathom」は一人称視点のホラーゲームだ。現在までに5作品がリリースされており、いずれもSteamで1000件以上のレビューを獲得している人気シリーズだ。 このシリーズの特徴は、なんとプレイヤーからメールで物語を募集し、それを元にゲームを制作しているという点だ。開発者の元に届いた物語をそのまま再現しているのか、あるいは改変しているのか、はたまた複数のエピソードを組み合わせているのかは知る由もないが、少なくともそのゲームプレイは、現実のどこかで実在した出
¥300【アートハウス・ゲーム・シーン】アメリカのプレイフルスペース「LIKELIKE」。改装したガレージで月に一夜だけ現れる実験的ゲームの催し。五感を通じてディープな作品に出会う
エンターテインメントとしての遊戯性を持ちながら、ゲームというメディア表現そのものの可能性を拡張する実験的な作品群の魅力を、リアルな場に集って楽しむムーブメントが世界の各地で起きている。 本記事では、そうした流れの中でも極めてユニークかつ柔軟な取り組みを続けるアメリカのプレイフルスペース「LIKELIKE」について、その多彩な活動の軌跡に迫りつつ紹介したい。 執筆 / ドラゴンワサビポテト 編集 / 葛西祝 住宅地で行われる、作家的なゲームや特殊なアプローチで見せるイベン
¥300▼インディースポーツ▼バスケの暴力スキャンダルADV『Watch Me Jump』。女子バスケットボールの本場・WNBAで才能を持つ、憤りを抱える選手の醜聞を認めるか、否定するのか。
▼シーズンテーマ『インディースポーツ』で特集しているタイトルです▼ 概ねスポーツにおける選手のほとんどの存在は、試合のパフォーマンスを観るまで完結してしまう。しかしゲームセットを告げられた後にも、あまり語られることがない選手たちの物語がある。そんなことは頭でわかっているのだが、なかなか想像はしづらいものだ。 そんな試合の外での物語を強く観客に想像させる機会が、とても悪いかたちで存在する。スキャンダルである。不倫をはじめとしたセックススキャンダルから、プライベートでの暴力沙
¥300その動きで物語と世界を伝えろ。プレイステーションで実現していた、コンテンポラリーダンスとしてのゲーム——『バウンド:王国の欠片』や『detuned グミ先輩の不思議空間』などを振り返って
ビデオゲームとはゲームプレイによるアクションこそが、なにより物語や世界観を雄弁に表現してくれるものだ。 そんなアクションは、危険地帯をジャンプしてクリアしたり、膨大な敵を華麗なコンボで叩きのめしたりするといった動きがほとんどだった。しかしビデオゲームが年数を重ね、広い表現を目指す中で、現実のあるジャンルのアクションを模したみたいな実験的なタイトルが出てくる。 そこで、まさかのダンスによって物語を表現するジャンル、コンテンポラリーダンスを扱っているとしか思えない、特異なタイ
¥300実在するフィリピンの偉人たちによる、まさかのスタイリッシュな 2D対戦格闘ゲーム!『BAYANI:Fighting Game』
『BAYANI:Fighting Game』はフィリピンにまつわる歴史上の偉人たちをモチーフに作られた2D格闘ゲームだ。2019年Steamでアーリーアクセスとしてリリースされており、今年開催されたEVO JAPAN 2024ではアーケードプラットフォーム「exA-Arcadia」での稼働も発表されていた。 筆者が本作と出会ったのは2019年ラスベガスで開催された世界的格闘ゲーム大会「EVO 2019」だった。その会場の中でインディー開発による対戦ゲームが中心に出展されたブ
¥300『Playing Kafka』— “カフカの小説とは、笑いと恐怖のコントだった”と無料で気づけるゲーム。プレイヤー自身が得体の知れないシステムとなり、『審判』や『城』の主人公の運命を操作するかのようなADV
文学とビデオゲームの関係ということでは、数ある古典的な小説家のなかでもフランツ・カフカの小説ほどビデオゲームにインスパイアを与えたものはないように思う。しかし、ここまでの不条理文学の古典となりすぎることで、固いイメージが少なくないだろう。 『Playing Kafka』はそうではなく、「あの小説はよく考えたらコメディとホラーが混ざり合ったコントみたいなものだったのではないか?」と、ビデオゲームの力によってかの古典を再解釈させる力を持つ一作なのである。 そんな再解釈を無料で
¥300▼日常▼ファジーでファンタジーなチャイルドフッドメモリー『Five Years Old Memories』【月の裏側のビデオゲーム】
▲シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです 『Five Years Old Memories』は強く人に勧めたい、だけどできることなら自身の体験として多くを知らないまま触れてほしいと、同時に願いたくなる稀有な作品のひとつだ。まさに「体験」としか呼びようのない本作に漂う独自のプレイフィールは、どんな言葉をあてがおうとも説明し尽くしがたいむず痒い思いを抱かされる。 計7つのチャプターからなる本作は、それぞれに作者である小光氏が友人たちへ聞いた5歳ごろの記憶に関するイン
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