明日、発売となります
忙しいからといって……
パワハラを受けたからといって……
誰かに裏切られたからといって……
心を病んでいる場合でもない。
もともと、人の世なんて魑魅魍魎で、やるかやられるかだ。
腹を決めて戦うしかなく、自分の人生についてクヨクヨ悩んだところで、一円にもならない。
自由に生きるとは、体が丈夫でメンタルも図太く、何がなんでも大金を得ることだ。
「最後のエロ本狂時代」より
時間は二十二時を過ぎようとしていた。
フロントガラスを打つ雨粒で、ラブホテル街のネオンが霞んで見える。
ふいに思う。どうして、僕はこの仕事を始めたのだろう。
フリーライターを目指していたわけではない。
そもそも僕は週刊誌やゴシップ誌が好きではない。
芸能人の下世話な話を面白おかしく書きなぐったり、街の少女たちの乱れた性実態をさも大げさにあおったりして、正しいことをしているとは思えない。
それなのに僕は毎日、仕事のことばかり考えている。
誰かのためではなく、ただ自分が面白い記事を書きたい一心で、無我夢中になっている。
「デートクラブ嬢 密着24時間ドキュメント」より
梨歩は僕の頭を抱き込むようにしてきた。土下座したことや、後頭部を踏まれたことは話していないのに、すべてわかっているかのように頭も撫でてきた。
しばらくそうしていると、梨歩が「怖かった?」と聞いてきた。僕は素直に「うん」と答え、あまり大きくない乳房に顔を擦り付けた。
僕はいつも思うのだが、
女性の持つ母性本能はこの地球上において、もっとも素晴らしい本能ではないだろうか。
どんなに格好悪い姿をさらしても、いや恰好悪いことをするほどしっかりと受け止めて、愛情を注いでくれるように思えてならない。
そのおかげで、男は一歩外に出れば、一心不乱になって戦えるのである。
「新大久保・風俗トラブル土下座事件」より
柚木怜の新刊『最後のエロ本狂時代~姉のような母のような黄色い花~」(匠芸社・シトラス文庫)が、明日発売となります。
こちらの作品は23歳でフリーランスとなった「僕」の、ライター奮闘記であります。
官能表現もたくさんある「オトナの小説」ですが、よかったらご一読していただけると嬉しいです。
表紙デザイン…彼女、
編集…若林育実
Special Thanks…菜奈、智くん、てっちゃん、マリオ
匠芸社・シトラス文庫
11月22日発売
定価 770円
【各種オンライン書店でご購入できます】
楽天ブックス
コミックシーモア
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ほかにも、「FANZAブックス」や「Google PLAY」「AMEBAマンガ」など、40以上のオンライン書店で発売されます。