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本を買う体験に特別を。

ーーただの売り買いで済ませない、購買体験を追求することに、売れる作家になるためのヒントが隠されている。そんなことを思いました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「本を買う体験に特別を。」というテーマで話していこうと思います。


📚梟書茶房の本の届け方

昨日のことになりますが、梟書茶房に行ってきました。東京池袋にあるブックカフェです。この店の特徴といえば、置かれている本の全てにカバーがついており、タイトルも作者も装丁も分からないようになっていること。

カバー表紙に書かれた推薦文を頼りに選書するのです。推薦文を読んで、読みたいと思った本を買う。この店ではそういった購買体験ができるのです。

推薦文を読んで「どんな本なんだろう?」と予想するだけで楽しいし、実際に買って、封を切って、手に取り、そして、本を読むという一連の流れが自然で、価値があるんですよね。

特に本が売れない時代といわれていますし、届け方、売り方は探る必要があるなと考えていて、僕自身物語を本にして届ける人だから、いろいろな打ち手を探ってきました。自分の経験も含めて、本を買う体験に特別を感じてもらうためにはどうすればいいのか、考えていこうと思います。

池袋にある「梟書茶房」

📚一箱本棚で本を買うということ

梟書茶房に行ったあとは、西日暮里にあるBOOK APARTMENTという店に行きました。ここでは、一箱本棚のシステムを取り入れている本屋さんなんです。

一箱本棚とは、自分のお気に入りの本を並べた小さな箱型の本棚のこと。それをいくつか並べて、大きな本棚をつくっていくんです。一箱本棚それぞれにオーナーがいて、その権利は月額制でお金を払うことで獲得できるって感じです。つまり、お金を払って、自分の本棚を本屋さんに置いてもらうって感じですね。

お金を払ってまで本棚を置いてもらうことにあまり価値を見出せない人もいるかと思いますが、本好き、読書好きの方からするとそうでもありません。自分が良いと思った本は紹介したい、より多くの人に読んで欲しいと思うし、自分の本がきっかけで新しい本との出逢いが生まれて欲しいと思う人は一定数います。また、その本棚で自分の書いた本を置くことで、認知を広げることもできるんです。

「あ、この本棚オーナーはこういう人なんだ」という気付きが、いつかの未来で実を結ぶことは十分にあり得ます。


西日暮里にある「BOOK APARTMENT」


話を戻しますが、一箱本棚で本を買う体験について考えてみます。

自分の本だけでなく、古本を売るという感覚で、自分の読んだ本に値札をつけて本棚に置くこともあります。実際、BOOK APARTMENTでは多分すべての本棚がそうでした。

本を開いてみると、栞のような値札が挟まっているんですが、その裏には本棚オーナーからのメッセージが書かれていて、その本についてのコメントが書かれてあったりするんです。もちろん全ての本がそういうわけじゃないけれど、そのコメントを見て、購買意欲が高まることは少なくありません。


📚本を買う体験に特別を

さっきも触れたように、僕は大学生作家として自分の本を売っているんですが、これまでに合計で250冊くらい売ってきました。

大きく分けて、Amazonで買ってくれる人と、僕から直接買ってくれる人の2通りなんですが、数でいうと、後者の方が圧倒的に多いんです。実際、これまで僕が手売りした数は221冊です。

手売りしていくなかで気づいたことがあって、それが今回のテーマにも繋がってくるんですが、やっぱり本を買うという体験にも特別感を求めた方がいいということ。

たとえば、買い手にとって「作者からの手売り」の何がいいかというと、その本をつくった人から直接買うことができ、なんならそこでコミュニケーションを取ることができる。あと、サインを求めることもできる。実際、まだ何者でもない僕にも、手売りの際、「サインを書いて!」とお願いすることは何度かありました。作者から直接買う醍醐味のひとつがそれだと思い、読者のニーズを満たすためにも、なるべくペンを持ち歩くことにしました。求められたときにすぐに書けるように。



本を買うってなかなかハードルの高い行動なんですよね。あらすじを読んだって、プロローグを読んだって、それでも購入に至るケースが全部じゃない。あまり本を読まない方からすればなおさらです。

だからこそ、買い手が手に取って買うかどうかを委ねるよりも、特別感を演出した方が良いと思うんです。そのヒントになるのが、コミュニケーション。

そりゃそうですよね。本の中身をさらっと読んでも購買に至らないなら、それ以外の部分で勝負するしかない。商売を突き詰めておけば、最後はやっぱり人です。

梟書茶房では、タイトルも表紙も装丁も隠されている本を、その推薦文を書いた人から紹介されるから買おうってなる。

BOOK APARTMENTでは、本棚オーナーの選書の雰囲気、値札の裏のコメントがあるから買おうってなる。

僕がずっとやってきた手売りは、その本をつくった人から直接書いたい、なんなら話したい、ついでにサインをもらいたいから買おうってなる。

ただの売り買いで済ませない、購買体験を追求することに、売れる作家になるためのヒントが隠されている。そんなことを思いました。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

20230810 横山黎


そういえば、BOOK APARTMENTで店番をしていた人が高校の同級生でした(笑) こんな偶然ある!? 本はステキな再会を連れてきてくれます☺️





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