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【名古屋旅】本と手紙と謎解きのクリスマス旅。

――作家と名乗っている僕のなかにある「本」という要素と、手紙で結ばれた僕とパートナーのなかにある「手紙」という要素と、ふたりの共通の趣味がである「謎解き」という要素が、今回の名古屋旅には詰め込まれていました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「本と手紙と謎解きのクリスマス旅。」というテーマで話していこうと思います。

前回に引き続き、クリスマスの2日間にパートナーと巡った名古屋旅について語っていきます。今回は、謎にまみれた聖なる日の話をしていこうと思います。


①「名古屋謎解き小旅行〜謎のうさぎと巡る地下旅」

名古屋に行くと決まり、いろいろと調べていたら、名古屋の街を歩きながら謎を解くイベントを見つけました。題して、「名古屋謎解き小旅行~謎のうさぎと巡る地下旅」です。

僕もパートナーも謎解き好きということもあり、これはいくしかない、と即決。2日目のメインイベントとなりました。

このイベントの何がいいかって、バスと地下鉄の1日乗車券をもらえるんですよ。これを使えば、バスも地下鉄も1日だけ乗り放題なのでお得な謎解きイベントなのです。

これから詳述していきますが、謎を解いていくと、いろんな名古屋の名所を辿ることになります。朝から始めて夜に終わる、1日かけて謎を解くイベントなのですが、その合間合間で観光したり、グルメを味わったりしていたので、飽きることなくずっと楽しめました。

ということで、聖なる日の名古屋旅、謎にまみれた後編です。


②名古屋市科学館

ちなみに今さらながら断っておきますが、謎解きのネタバレをするつもりは毛頭ないけれど、旅の行程を綴っていったら、自ずと若干のネタバレになってしまうので、まだお楽しみいただけていない方はご容赦ください。

ただ、謎の答えはもちろん公開しないし、名古屋に行ったらここは巡るよね、という名所ばかりですので、あまり心配しなくて大丈夫です。

まずは、謎解きのキットを確認するために近くの喫茶店へ。モーニングを頼んで、それを味わいながら、謎解きキットの中身を開封、確認しました。中身を見るだけでボリューミーな謎が待っていると予感しました。

次に向かったのは名古屋市科学館。実は僕がずっと行きたかった場所でした。ドーム内径35メートルの世界最大のプラネタリウムがあるからです。下の写真の球を見ていただければお分かりの通り、とにかくデカイ。

学芸員が「宇宙カレンダー」について解説していました。宇宙の歴史を365日のカレンダーに落とし込み、時間感覚を分かりやすくした内容です。

宇宙の暦に比べたら、僕らの人生なんて、夜空に浮かぶ六等星のようにちっぽけで見えにくいものだけれど、そのひとつひとつはどこかで誰かが見ていて、命や世界の美しさの一助になっている、なんてことを思いました。

プラネタリウムの後は科学の展示を見て回りました。体験型の展示もたくさんあって、子どもから大人まで楽しめる賑やかな空間がそこにありました。学校の理科の授業で習うようなことを、五感で学び取ることができるので、好奇心を掻き立てるにはもってこいの場所だと思いました。

前回の記事でもプラネタリウムを紹介しましたが、2日で2か所のプラネタリウムをはしごすることになるとは思いませんでしたが、星と親和性の高いクリスマスだし悪くないなと。


③名古屋城

次に訪れたのは、名古屋城でした。夕暮れが光で飾ってくれたこともあり、緑青色の屋根と白肌の壁がとても美しく見えました。空に反り立つ金色のしゃちほこも凛としていました。

最近気付いたんですが、僕は日本の建築物に対して心動かされることが多いみたいで、特に明治期につくられた「擬洋風(和洋折衷の建築様式)」の建造物を目にしたとき、分かりやすく心動かされました。もし将来自分で建物をつくるとしたら、それを意識したものになるのかなと妄想しています。


④「文喫 栄」

これは偶然なのですが、めちゃくちゃ良い感じの本屋さんがあったので立ち寄ったんです。中日ビルの2階に店を構える、本屋と読書のための喫茶店が融合した場所です。

普通の本屋さんのようにもちろん商品の本がずらっと並んでいるんですが、その奥には読書のできる喫茶スペースがありまして、1時間750円で利用できるんです。しかもドリンク飲み放題。本棚に囲まれながら、優雅な時間を過ごすことができます。

また、「おくりもの展~あなたの『笑顔』を想う時間~」という展示がありまして、この展示のひとつの企画として、名前も顔も知らない誰かに手紙を書くというものがあったのです。自分が手紙を書いて投函することで、誰かの書いた手紙を読むことができるというもの。この企画を発見するやいなや、手紙でつながった僕とパートナーは「やろう」と声を揃えました。

全く知らない人に手紙を書くという経験は初めてのことでした。誰が読むのか分からないけれど、そしてその人がどこの誰なのか分からないけれど、孤独を感じることはなくて、きっと読んでくれる誰かのことを想いながら、言葉を選んでいきました。

書き終えた手紙を投函して、僕は誰かからの手紙を一通受け取りました。内容はもちろん明かさないけれど、そこに綴られているのはとても温かい言葉でした。僕と同じように、本と手紙が好きな人だと分かりました。

昨日の記事でもセレンディピティ(偶然がもたらす幸せ)に言及しましたが、こういう小さな奇跡が起こり得るのがクリスマスという日ですよね。


⑤大名古屋酒場 坊主 名駅店

さて、すっかり夜も更け、僕らの旅の物語もエピローグを迎えていました。朝から始めた謎はどうにかこうにか最終ステップまで辿り着いたので、名古屋駅近くの飲食店でご飯を食べながら、最後の謎を解くことにしました。

立ち寄ったのは「大名古屋酒場 坊主 名駅店」という居酒屋で、名古屋飯を一遍に味わえる場所でした。手羽先や名古屋コーチンの焼き鳥などを食べました。

僕とパートナーがお互いに知恵を持ち合わせて挑んだ謎解き、どうにかやっつけることができました。最後の大謎は名古屋らしさがあって解きごたえのあるものでした。最後の「アレ」が完成するときは声を上げたものです。是非、この感動をみなさんも味わってください。

今回の名古屋旅を振り返って思うのは、やっぱり僕は物語を生きていたいんだなってことでした。

作家と名乗っている僕のなかにある「本」という要素と、手紙で結ばれた僕とパートナーのなかにある「手紙」という要素と、ふたりの共通の趣味がである「謎解き」という要素が、今回の名古屋旅には詰め込まれていました。

もちろん意図してそうしたといえばそうなのですが、例えば「文喫 栄」は謎解きをしていた果てで偶然見つけて辿り着いたんです。しかもそこで見ず知らずの誰かに手紙を書くという展示があるなんてこんな偶然ないじゃないですか。そんな風に、今回の名古屋旅では計らずもふたり好みの物語が紡がれていったんですよね。

ちなみに、1日目の夜、眠る前に、僕はパートナーに贈るクリスマスプレゼントを枕のそばに置いておいたんです。先に眠ったパートナーを横目に、翌朝見つけたときの顔を想像しながら、そっと。

翌朝起きたら、パートナーが「枕の下に何かあるね」って切り出して、寝ぼけていた僕は「そうそう、枕の下に……」と反応しながら、(いや、待てよ、僕は枕の下に置いていないぞ)と理性が追いかけてくるのを悟りました。

枕の下には、パートナーからのプレゼントがあったんです。

パートナーからのプレゼントは本でした。かくいう僕が贈ったのは、前夜に急いでつくった自作の絵本。『Christmas Letter』という絵のない絵本です。

ほら、ここでも本、手紙、謎解き。

そんな偶然がもたらす幸せがこの2日間にはたくさんありました。やっぱり自分たちの関心のあるものを選んで動いていると思いがけない幸せを手繰り寄せることができるんだなと思ったのと同時に、僕らはそういう段階まで辿り着いたんだなと、ふたりの旅路に思いを馳せました。

去年のふみの月に始まったふたりの物語は、まだまだ旅の途中。本のページをめくるように、手紙を綴るように、謎を解くように、二人三脚、ひとつの物語を旅していけたらいいな。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20211227  横山黎



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