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どの道を歩くかで物語が変わってくる。

――どの記事から読むか、どのマガジンから読むのか、どの作品から読むのか、無限通りの体験の仕方がある


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「どの道を歩くかで物語が変わってくる。」というテーマで話していこうと思います。


🏨どの道を歩くかで物語が変わってくる

先日、完全没入体験ができるテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」に行ってきました。そのとき、常時運行している「IMMERSIVE STORIES~誰も知らなかった本当のヘンゼルとグレーテル~」というアトラクションを体験してきたんです。

かの有名な童話「ヘンゼルとグレーテル」の物語を歩きながら体験していくウォークスルー型のアトラクションで、「ヘンゼルとグレーテルの物語」と「魔女の物語」のふたつの楽しみ方を選べます。どちらの物語を選んでもいいのですが、どちらを選ぶかによって全く別の体験が待っているんです。

このアトラクションの面白いところは、どちらの物語を選んでもラストシーンは同じなんです。同じ部屋に辿り着き、同じ映像や演出を楽しむんです。それまでに体験してきた物語が違うから、同じラストシーンだとしても受け止め方が全く違うんですよね。……といいつつ、僕は「魔女の物語」しか体験していないので、想像で語っている部分はありますが(笑)

ただ、同じシーンを見ているとはいえ、物語の受け止め方が変わってくる体験に、とても惹かれるものがあったんですよね。


🏨受け手によって体験の変わるコンテンツが好き

僕も作品をつくる人だし、これからそれを生業としていきたい人ですから、自分が体験して心が動いたものに対してはしばらく思いを馳せ、どうして自分はここまで感動したのかを振り返ることが多いんです。

さっき紹介した「IMMERSIVE STORIES」を例に挙げれば、中身というより、別々の物語を体験した2組のグループが同じラストシーンを迎える仕組みに感動したんですよね。終盤、同じ部屋に合流するんですが、あのときがいちばん心が揺さぶられました。向こうのグループにとってはどんな物語になったんだろうと想像も膨らみました。

それを思ったときに、僕って物語の内容もさることながら、物語の構造とか、演出の仕方に心動かされることも多いなあと思ったんですよね。

たとえば、道尾秀介さんの『N』という本があります。これは、全部で6つの話が収録されているんですが、そのどの話から読んでも物語が成立する1冊何です。第1話から読み進めてもいいし、最後の話から読み進めてもいいんです。読む順番によって物語が変容する不思議な体験を味わうことができます。

『N』に関しては物語自体もめちゃくちゃ好きなんです。ただ、それ以上にどの順番から読んでも物語が成立するという構造に、そして読者ひとりひとりに寄り添った体験が設計されていることに惹かれたんです。


🏨noteの記事をどの順番で読むかで、人生という物語の体験の仕方も変わってくる。

どの角度から見るのか、どの道を歩くかによって、物語が変わっていくコンテンツが好きなんだと思います。

もっと話を広げれば、人生という物語においてもいえることで、どこを切り取るか、どう演出するかで、まわりの人たちの体験の仕方が変わってくるんですよね。

中学時代から付き合いのある親友、大学時代に知り合った友達、お世話になった先生、親、職場の上司、パートナー......今でも親交のある大切な人たちが何人もいますが、僕とどう出逢い、どう関わり、どんな日々を過ごしてきたかで、その人が体験する僕の人生の受け止め方って違うと思うんです。

僕は毎日noteの記事を書いているけれど、そこに記しているのは日々の出来事で、いってしまえば人生の断章です。

今この記事を読んでいるあなたは僕の記事を読むのが初めてかもしれないし、たまに読んでいるのかもしれないし、毎日のように読んでくれているのかもしれない。

初めての人にとっては、ここから僕の物語の体験が始まるわけだし、たまに読んでいる人にとっては、「あのときはこういうこと言ってたはずだけど、今はそういうこと考えてるのね」と物語の続きを感じられるはず。

そして、毎日のように読んでくれている人にとっては、些細な変化に気づいたら、どうして今僕がそれを語るのか、その背景までも把握しながら物語に触れてくれているのだと思います。

僕の周りでも、僕のnoteを読んでくれている人は少なくなくて、少なくとも僕の物語を体験してくれているんですよね。どの記事から読むか、どのマガジンから読むのか、どの作品から読むのか、無限通りの体験の仕方があると思います。

この記事の最後にいくつかおすすめの記事を載せておくので、せっかくの機会ですから、興味を持たれた記事をのぞいてみてください。最後まで読んでくださりありがとうございました。

20241106 横山黎


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