【詩】『蒼空』
屋上の世界は 棘のある言葉も
夢のない大人の声も 届かない自由な場所
進路希望用紙 ポケットから取り出して
好きな形に折って 遠い未来へ飛ばした
秘密の預け先が見つからなくて
我が子のように 大事に抱える
自分の機嫌の取り方さえ知らないのに
他人のために生きている
蒼空を仰ぐんだよ
忙しなく廻る地球を抱きしめる 優しい空を
たとえ一人で涙しても あなたは独りじゃない
同じように見上げている誰かと繋がっているから
綺麗な言葉が 綺麗事に変わったのは
いつからだったかな もう戻れないのかな
報われる夢も終わらない恋も
本気で信じて 追いかけていた
まだ無責任な日々を繰り返していたいのに
ひとつずつ あきらめる
窮屈な教室で
おまじないしながら 黒板の日付を書き換える
淡い希望でごまかしても あの日の祈りだって
飛行機雲になって やがて彼方へ消えていくだけ
人生の天気予報
明日は嵐だと耳にしても どうせ外れるから
蒼空を仰ぐんだよ
忙しなく廻る地球を抱きしめる 優しい空を
たとえ一人で涙しても あなたは独りじゃない
同じように見上げている誰かと繋がっているから
きっとどこかで会えるから
――――――――――
昔から、蒼空を眺めるのが好きだった。悲しいとき、辛いとき、現実を忘れたいとき、空とおしゃべりをしていた。
一人になりたいんだけど独りだと思いたくない、そんなときも仰いだ。一人で見上げても、同じように見上げている誰かと繋がっているような気がして、孤独じゃなかったからだ。
空に形はない。輪郭もない。僕たちが「空」と呼んでいるだけで実在しない不思議な存在。
いつだって僕らのことを見てくれている。嬉しいときも、悲しいときも、生きることに疲れたときも。
どんなときだって、空は見上げればそこにある。
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