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ブックレヴュー:『名探偵のままでいて』 by 小西マサテル

小西マサテルの『名探偵のままでいて』は、読者をミステリーの世界へと誘う魅力的な作品です。

この小説は、レビー小体型認知症を患う祖父と、彼の孫娘の楓が織り成す物語で、日常に潜む謎を解き明かしていきます。

祖父はかつての鋭い洞察力を取り戻し、孫娘が持ち込むさまざまな謎を解決していく様子が描かれています。

この作品は、第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、シリーズ累計20万部を突破するなど、その人気と評価の高さを証明しています。

物語の中で、祖父が抱える認知症という病と、それにも負けない強い知性との間で繰り広げられるドラマは、読者に深い感動を与えます。

また、楓のキャラクターは27歳という共感しやすい年齢で、彼女を通じて読者は物語に引き込まれます。

小西マサテルは、放送作家としての経験を活かし、読みやすい文章と魅力的なキャラクター造形で、ミステリー愛に溢れた作品を創り上げています。

彼の作品は、ミステリーの真相だけでなく、登場人物たちの人間性や、古典ミステリーへの敬愛も感じさせるものです。

『名探偵のままでいて』は、ただのミステリー小説に留まらず、認知症という重いテーマを扱いながらも、その中に温かさと優しさを織り交ぜた作品です。

読後感は爽やかで、人生の大切な部分に光を当てるような作品と言えるでしょう。興味を持った方は、ぜひ手に取って読んでみてください。

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