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リハビリの闇は動作分析の放棄から始まる part1 PT・OTのための動作分析
こんにちは。ReHub林です。
これまで、noteの「動作分析3つのコツ(上達するためのマインドセット)」や、YouTubeの「動作分析で最も重要なこと”バイアスを取っ払え”」などで動作障害の本質を捉えること、自身のバイアスに囚われないこと、反応を捉えること、などの重要性に触れてきました。
なぜ、口酸っぱくこれらの思考部分を伝えたいか?
それは、ヒトが間違える生き物だからです。
私が、養成校の教員だった頃、理学療法士を目指す学生達に2つのことを繰り返し伝えていました。
“セラピストは患者を良くも悪くもできる”
“正しくあり続けることよりも、間違いに気づけることの方が大切”
みんな、「正解」を欲しがります。
●●をすれば××が良くなるという答えが欲しいのです。
しかし、「正解」のレッテルを貼った治療に対して答え合わせすることを忘れてしまうことがあります。
それでは、患者が悪くなっても悪くなったと気づくことができないのです。
今回はそんな臨床の恐ろしさをお伝えします。
(注※ 決して心の穢れを吐き出したいワケではありません)
「麻痺側の支持性低下により」その1
「麻痺側の支持性低下により立位保持が不安定であるため、長下肢装具での歩行練習を継続していました。」
そう言われた患者は、確かに麻痺側の支持性が乏しかったです。
しかし、それ以上に問題だったのは、発症後半年以上経過しているのにも関わらず、背臥位や座位すらもまともにとれなかったのです。
座位でも立位でも麻痺側に大きくバランスを崩し転倒するのです。
背臥位や座位での姿勢反応を見れば、それがセラピストの治療によってできた二次的な障害であることはすぐに分かりました。
結局その方に麻痺側の支持性に集中的にアプローチしませんでしたが、1か月もしないうちに床上動作や移乗動作を自力で行えるようになりました。
力が入らない脚で支えるように誘導しておいて「支えて!頑張って!」と言い、麻痺側にバランスを崩すと「倒れないように姿勢を保って!頑張って!」と言う。
コントのように感じるのは私だけでしょうか?
「麻痺側の支持性低下により」その2
「麻痺側の支持性低下により、姿勢保持能が低下しています。ロボットリハと高座位でのリーチ動作によって赤核脊髄路が賦活し中枢部の筋力発揮を向上したことで、姿勢制御能も改善しています。」
そう言って片麻痺患者にアプローチしている理学療法士がいました。
しかし、そのセラピストが関わった後の方が、明らかに座位姿勢が崩れており、車椅子駆動も下手になっていました。
「なぜあの反応を見て中枢部の機能が改善したと思えたの?」
と問われると
「脳卒中リハの講習会で習ったから」
と言うのです。
理由に患者自身の話が入らないというのは、かなりヤバイです。
「ROM制限的に厳しいので」
上腕骨骨頭骨折後に、肩関節の拘縮が生じた患者が服を上手く脱げなくて困っていました。
「更衣に必要とされる角度がありません。ROM制限的に厳しいので、緩めで伸びやすい服を買ってください」
といった内容を、患者は前任の作業療法士からADL指導されました。
私は、「これまでのお気に入りの服を持ってきてください」と指示し、その服の着脱の中で再評価したところ、肩関節の動きが小さいことは当然でしたが、体幹や肩甲帯の反応も乏しかったのです。
結局、1回の介入でスムーズにお気に入りの服を着脱できるようになりました。
ダボダボの服はその後一回も着ることなく、無駄銭を使わせてしまいましたね。
まとめ
「リハビリの闇」いかがでしたか?
私は、これらの教訓を胸に、患者と相対する時、常に「自分が正しいか?」よりも「自分が間違っていないか?」と自問自答するようにしています。
そして「悪意の無い悪」を為さぬように見つめ直すようにしています。
みんな「患者を悪くしてやろう」なんて思っていないはずです。
「良くしてあげたい」と思っているはずです。
しかし、我々は神ではありません。
良くできなかった時に、間違っていると気づけることが大切です。
part2もお楽しみください。
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