上腕骨外側部痛の原因はこれだ!!
□はじめに
肩関節疾患患者において必ずと言っていいほどあるのが,「上腕骨外側部痛」だと思います.
皆さんはその原因を何だと思いますか?
若手セラピストに聞くと,「三角筋の痛みだとも思います!」と回答することが多かったです.
本当にそれだけなんでしょうか??(同じように考えてた人はいますか?)
確かに三角筋の痛みもあると思います!
ちゃんとその痛みが出る機序も説明できますか?
患者さんが痛いからといって三角筋をリリースすれば痛みが取れましたか?そうではないパターンもあったはずです!!
実は上腕骨外側部痛は多岐に渡ります!
本日は上腕骨外側部痛をテーマにお話ししていきたいと思います!!
□上腕骨外側部痛の痛みの種類
上腕骨外側部痛の痛みの種類は大きく分けて3種類考えられます.
1,三角筋の痛み
三角筋は肩関節屈曲・外転運動において非常に大きな回転モーメントを発揮する筋肉です.ただその運動は三角筋などのアウターマッスルと腱板筋群などのインナーマッスルとの共同的な収縮が必要になります.
それがいわゆる”フォースカップル”になります.
ーフォースカップとは?ー
2つ以上の筋が対となり同時に反対方向の力を生むときに生じる対の力のことを言います.
これを踏まえると,外転運動時の前額面上からみた場合,三角筋と棘上筋の共同運動が非常に大切になってきます.
どちらかの作用が低下すると関節窩に対する上腕骨の支点形成力が弱くなり,外転運動ができなくなります.
そして,このフォースカップル機構が三角筋の痛みを考える上で非常に重要になってきます.
肩関節疾患患者の多くは,フォースカップル機構が破綻しています.
原因は様々ですが,腱板筋群の機能低下が起こり,外転運動時に相対的に三角筋の負荷が高まります.
すると,三角筋の過緊張や筋攣縮など起こり,疼痛が出現します.
2,三角筋下滑液包・肩峰下滑液包の痛み
三角筋下滑液包は,三角筋と棘上筋および上腕骨頭との間の摩擦を緩衝する役割を担っている組織です.
肩峰下滑液包は,肩峰下だけでなく三角筋下まで広がり,それぞれの組織との緩衝材として役割を担っている.
つまり,これらの組織にストレスがかかるとこで,上腕骨外側部に痛みを出現させていることがわかります.
3,腋窩神経の痛み
腋窩神経は上腕骨外側面の方まで分布しています.
下記の写真を見てもらうとわかりますが,三角筋にも分布しているため,先ほど説明した通り,三角筋の筋緊張や筋攣縮が起こると同時に腋窩神経にもストレスがかかり,腋窩神経由来の疼痛が出現することも考えられます.
また,腋窩神経はQLS(四辺形間隙)と呼ばれる部位を通ることで知られています.
ー四辺形間隙とは?ー
肩関節後部にあり,上腕骨外科頸の内側,上腕骨三頭筋長頭の外側縁,小円筋の下縁,大円筋の上縁で形成されています.
そして,この間には腋窩神経と後上腕回旋動脈が通過しています.
この部位は,肩関節屈曲・水平内転運動によって圧縮ストレスを受けるのでその運動で上腕骨外側部に痛みが出る場合はQLSの圧縮ストレスによる腋窩神経の痛みを疑った方がいいです!
□まとめ
本日は上腕骨外側部痛の痛みの原因について紹介しました.
原因としては,三角筋・肩峰下/肩峰下滑液包・腋窩神経が原因で痛みがで出ることが考えられます.
後日それぞれの痛みの鑑別の仕方について紹介していきたいと思います.
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