早期離床の重要性
早期離床とは?
急性期病院において、いかに早くベッドから起きれるようにして、元の生活に戻れるか?が重要になってきます。
離床は数十年前までは、医者から『術後に起こすなんてとんでもない』と言われてきた歴史があります。そのため、この2021年になっても早期離床に抵抗のあるスタッフや病院などがあるのも事実です。
ただ、今の現代においては『早く離床する為にはどうしたらいいか?』という考え方になっていると、私は考えます。
離床しない事で何が起こるのか?
安静臥床になることで、いくつかの障害が起こる可能性があります。
1.筋力低下と萎縮
動かなくなる事で、筋蛋白の合成低下や分解が起こります。
・1日臥床:1〜3%
・1週間臥床:10〜15%
・3〜5週間:50%
動かないだけで、これだけ筋力低下が起きてしまいます。いざ、起こそうとしてもこれだけ筋力低下した後だと、なかなか長時間起き続ける事が難しくなります。
2.起立性低血圧
長期臥床になると、交感神経の活動が低下すると言われています。その為、下肢の血管収縮が不十分になり心臓に帰ってくる静脈還流量が低下します。その結果、1回心拍出力が低下して脳血流が低下します。これにより、起立性低血圧が起こると言われています。
3.静脈血栓
下肢筋群(特に下腿三頭筋)は、筋ポンプ作用という重要な役割があり起きた時に血圧が下がらないように、筋収縮で心臓に戻し、血圧低下を防いでいます。
そのポンプ作用が低下する事で、血流の停滞や循環血漿量の減少が起きます。その結果、血液凝固能を亢進させ静脈血栓ができると言われています。
報告によると、安静臥床2週間で8〜12%、2〜4週間で15〜20%減少すると報告されています。
4.呼吸機能低下による、換気障害
長期臥床が続く事で筋力低下が起こると、先に説明しましたが、呼吸筋も同様に同じ現象が起きます。
さらに、肺の上には胸郭(肋骨)があり、それがしっかり動く事で肺も膨らみ、酸素が入りやすくなります。ですが、長期間背臥位になっていると背中側の肺や、胸郭の動きが制限されてしまいます。
そして、背臥位になる事で血流は背部へ、換気量は逆に集まります(重力の影響)。その結果、換気血流不均等が起こり、酸素化が悪くなります。
その他にもありますが、とりあえずこの4つは代表的な長期臥床の結果ではないでしょうか?
早期離床は安全か?
今の現代医療において、様々な治療や薬が出ています。そういった中で『早期離床』はもはや安全であると、私は考えます。
もちろん、状態が悪い方もいる為、常にNsやDrとの相談は必須です。やってみてどうか?というチャレンジも時に求められてきます。
だからこそ、ただ起こすだけでなく、『安全に、かつ効果的に』離床をする事が求められます。つまり、解剖生理運動学の知識が求められてきます。
今後は、急性期に必須な知識を掲載しようと考えていますので、お楽しみに!
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