離床における"一番の弊害"
先日は、『離床の重要性』というテーマでお話させていただきましたが、今回は早期離床・長時間の離床をする上で、どんな要素が弊害となるかを書きたいと思います。
1.結論
いきなり結論を言ってしまうと、『自分自身』だと私は考えています。
他のスタッフが協力してくれないとか、主治医がなかなか離床の許可を出してくれないとか、、、、
と思っていた方もいるのではないでしょうか?
私自身の経験なのですが、3年目くらいの時に、離床時間を長くしようとして、看護師さんに「車椅子で30分くらい起こしててもいいですか?」と言ってその時は「いいですよ」と言ってくれました。
ここまでは、多分みなさんも経験があると思います。
2.何が起きたか?
私の話に戻ります。
その後どうなったかというと、10分後にはベッドに戻っていたのです。その時の私は「なんで❗️❗️」と心の中で叫びました。
「30分起こしてって言ったのに。。。」
ですが、今考えると『あの時自分の対応は正しかったのかな?』と感じています。後から聞いた話では、「患者さんがしんどそうなのに、起こし続けるのは可愛そうだった」と言っていたそうです。
その瞬間、自分がいかに自分のことだけしか考えていないかを知りました。
3.何をすべきだったか?
早期離床は今や、当たり前に行われる時代となりました。だからこそ、専門的に考える必要があります。
私の対応は、「〜やっててください」といっただけで、『説明と納得』が全くなかったのだと感じています。私自身は、患者様には常に『説明と納得』を意識して業務にあたってきました。
ですが、スタッフに対しては「これくらいわかるだろう」という思いで、伝えていたのだと感じました。
日々多忙な業務に追われている、看護師さんの気持ちを考えてなかったのです。
4.離床はチームワーク
離床はまさしく『チームワーク』であり、1人ではできません。
なぜ冒頭で自分自身を『弊害』と言ったか?
自分の介入時間だけやっても、それ以外の時間を考慮していなければ意味はありません。通常人は、7〜8時間ほど寝てそれ以外は起きています。人によって違いはありますが、10時間以上は起きているのではないでしょうか?
リハビリテーションは、1日最大でも3時間までしか介入できません。しかも現在は介入単位数に制限が出てきています。
それを考えると、入院期間中はリハビリだけでは十分な離床時間を確保できないので、多職種の協力が絶対に必要になってきます。
特に協力が必須である看護師さんですが、みなさんは看護師さんの1日の業務内容を知っていますか?
バイタル測定、身体のケア、検査、入浴、食事介助、排泄誘導、カンファレンス、カルテ、薬剤の確認、業務報告・・・
など挙げればキリがないくらいの業務量を抱えています。
私は、それを知らず昔は「〜しててください」と言ってしまってました。上手く行かない事を、他職種せいにしていた自分がいました。本当に反省しなければいけません。
今私がどうしているかと言うと、まず看護師さんとのコミュニケーションをしっかり取り、『自分の事を信頼してもらう』と『相手の事を知る(業務なども含めて)』から始めるようにしました。
すると自然と看護師さんの方から『せっかく起こしたから、私が見とくよ❗️』『この人、自宅に帰るのが目標だからきついけど頑張らないとね❗️』と声をかけて頂けるようになりました。
もちろん、時には離床をしなければいけない理由を、相手の事を考え納得していただいた上で、お願いするようにしています。
5.最後に
信頼関係とは、友達のような関係ではなく『医療現場のプロ』としての関係だと私は思っています。
特に急性期のような、数時間単位で状態が変わる可能性がある現場では、スタッフ同士の信頼関係や医療人としての知識・技術が必要になります。
あるアンケート調査では、リハ職種に求める項目として、薬剤関連や内部疾患系のフィジカルアセスメントなども『必須』であると感じているそうです(医師・看護師の90%以上)
だからこそ、お互いの職域を理解し、『共通言語』を増やす事が早期離床・長時間離床を可能にし、患者様の人生をより良くする事ができると考えます。
上手く行かない事があったら、他者ではなくまずは『自分自身』に目を向けてみませんか?少し違う見え方が出てくるかもしれません。
読んでいただき、ありがとうございます😊次回は、フィジカルアセスメントの『聴診』について書いてみようと思います。