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【エッセイ詩人】レールの上の冒険者



僕達は線路沿いを旅する冒険者


旅は始まったばかりだ、この先何が待ち受けているか分からない

ただ道を進むだけの目的のない旅

不安と期待、ただ得られるものはきっとある

さっき冒険者と言ったけれど、本当はピクニック?ハイキング、そんな感じかもしれない

でもあえて僕たちは冒険者に成りきるつもりだ

リュックには食料と水、キャンプ用具とランタン、ナイフとサバイバル用具もちゃんとある

格好と見た目は冒険者だ、見た目は大事だ


給水塔が見えてきた


なんだか冒険者の気分になってきた

いいかもしれない、少し休憩しよう


僕たちは給水塔を眺めながら、これからの旅について語りあった


目的地へのルート、夜のキャンプ、何を食べるかなど様々だ

気分はまさしく冒険者、地図を広げてルートを確認

「天候は?コンパスの方角はどうだ…」

「夕暮れ時にはキャンプ地へつくはずだ」

「今夜は満月になる」

「いいキャンプが出来そうだ」

「それを言うならいい冒険が出来そうだな」

「この冒険って…」


まだまだ冒険は始まったばかりなのに…


でもそれらしくなってきた


僕らは引かれたレールの上をただ走るだけの人生を送っていた


だから今度は自分たちでレールを引いてみよう、そう思ったんだ


線路は引かれているけれど、僕たちは汽車ではない


脱線したって大丈夫


僕たちは脱線しても走れるんだ


汽笛を鳴らしながら僕らは走る


脱線しながら走る


これが本当の自由、それを経験しに来たようなものだ


僕らはレールから外れた


レールの上の冒険者!



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