
休職までのカウントダウン②産業医面談
ストレスチェックの結果により、産業医面談が実施されることになった。
産業医面談についてどのようなイメージをお持ちだろうか。
私はキャリア初期に人事を少し経験したことがあり、当時は産業医面談をコーディネートする先輩の業務を傍らで見ていた。
そのため、産業医が企業と労働者にとってどんな立ち位置で、面談の結果どんな調整がされるものなのか何となくの知識があった。
当時の先生は、わりと鮮やかな緑色のスーツを着用されていた。まだ新卒だった私は、「緑色か……」と広い社会の一端に触れた気がしたものである。
夫に産業医面談を受けることを告げてみた。
「ええんちゃう?」とフラットな反応。聞けば彼も以前、長時間勤務が抽出され人事に言われるがままに産業医面談を受けたことがあるらしい。
「ちなみにゴスロリやったで」と続いた。ゴスロリか……社会人10年目である私もまだまだ社会を知った気になるには早いようであった。
誰もが夫のように産業医に対しフラットな心象ではない。
産業医面談を受けるにあたり、面談の数日前に上長との面談がセッティングされた。うつの病歴も共有し、最近の職場の様子についても聞かれるがままに話した。あまりうまく話はできなかったかもしれない。「まぁ、あまり真に受けないほうが良いかも」とやんわりとした牽制があった。
気持ちは分かる。産業医面談を受ける社員の多くは、夫のように仕方なく呼ばれていくとか、仕事もままならぬ状態になってやむなくとか、とにかく(ストレスチェックの結果とはいえ)自分の意志で受けようと思う社員は少数派かもしれない。それが簡単に職場改善や休職など指示されてきてはたまったものではないだろう。
でも冷めた。子供っぽいかもしれないが、形だけでも良いから、マネジメントする立場から「気づいてやれなくてゴメン」とか、「よく話し合ってきてください」といった言葉かけをしてほしかった。理想の上司になるのも大変だ。この気持ちは自分のいつかに活かしたい。
この時点では自分が産業医面談に求めるものが何かも明らかではなく、ただ通院歴とストレスチェックの結果を踏まえて、今後の職業生活のアドバイスがもらえるといいな、くらいの気持ちで臨むことになった。
そしていざ産業医面談。
通院歴と現状ヘトヘトであることを伝えたところ、あっさり休職勧告が出た。
自分で面談を申し込んでおきながら休職を考えたことはこの時点までなく、「か、かかりつけ医と相談します」ともごもご面談終了となった。「産業医からそのような意見が出たことは伝えてくださいね」という念押しと共に。
ちなみに先生はいたってコンサバティブな出立ちであられ、私の産業医イメージはまた上書きされた。
産業医の世話にならないに越したことはないが、私の先入観を広げる意味でもう少しいろんな先生にも会ってみたくなった。