入山章栄さん×秋元祥治さんが語り尽くした「一日イチ初体験」から始めるイノベーション【イベントリポート】
早稲田大ビジネススクールの入山章栄教授と岡崎ビジネスサポートセンター(オカビズ)チーフコーディネーターの秋元祥治さんによる対談イベント(主催・毎日新聞リファラバ編集部、共催・家業エイド)が8月2日、東京都渋谷区の「NN Shibuya Crossroads」で開かれました。「イノベーションが生まれる組織の作り方」をテーマに、会場とオンラインのハイブリッド形式で開催し、約170人が参加。入山さんと秋元さんの丁々発止のやり取りに聴き入っていました。
イノベーションは「天才だけ」のもの?
イベントの冒頭、「イノベーションとは一部の天才だけが生み出せるものなのか」と問われた入山さんは「小さなものでも良いから新しい価値を生むこと。身近なことで新しいチャレンジをして少しでも前に進んだら、それもイノベーションと思っていい」と答えた。
秋元さんは「(ある分野で)すごい人の『普通』は、本人にとっては『普通』だから自分では気づけない。本人も気づいていない良いところを生かしながら、日常の積み重ねの中で(イノベーションを)生み出していくことができる」と話した。
秋元さんは、イノベーションにつながる、ひらめきを生み出すポイントの一つに「雑多で圧倒的な情報に触れること」を挙げた。いつも利用している駅の手前の駅で降りてみるなど、「1日1初体験」を意識することが重要で、それによって新しいものが見えてくるという。「イノベーションの源泉は観察力」と強調した。
入山さんは、イノベーション研究の第一人者であるクレイトン・クリステンセン氏の著書を引用し、「イノベーションを起こせる人ほど、自分が分からない壁にぶち当たった時に、(その壁を乗り越えるすべを)自分で考えるよりも『誰が教えてくれるか』を考える。その人脈力がある人が強い」と語った。
さらに入山さんは、イノベーションが起きやすい国と起きにくい国があると指摘。日本では少し前まで、事業に失敗すると「人生の落後者」のように見られていた点に触れ、「ダウンサイド(失敗見込み)リスクを下げることが日本社会にとっては重要」と述べた。
専門領域をもう一つ持つ「結節点」に
司会の清水憲司・毎日新聞リファラバ編集長から「新しいことをやる時に、どういう工夫をしたら良いのか」と問われた秋元さんは「とにかくリスクを小さくしてやってみる。金をかけなければ文句も言われない。(それが)今できる一歩の踏み出し方」と語った。
会場の参加者からは「専門領域を持つことと、いろいろなことに触れることのバランス感覚を聞きたい」といった質問があった。入山さんは「好きなことを一つ徹底的に究めて、できればそこから離れた分野に別の専門を持つといい。いま世の中で強いのは(専門分野同士をつなぐ)結節点にいる人間であり、異なる専門性を持てば結節点に身を置くことができる」と答えた。
イベント参加者の感想
イベント終了後、参加者から寄せられた感想の一部を紹介します。
・入山先生と秋元さんという「知」と「実践」の結合のようなお話でしたが、多くの方が勇気づけられたのではないでしょうか。1人でも少しでもやれることを具体的にお示しいただき、ありがとうございました。
・とてもためになるセッションでした。今朝から早速弊社のSlackに「毎日1アイデア」チャンネルを作って社内でアイデアの共有を始めました。
・イノベーションは知財と知財のコラボレーションによって生まれるものであり、1人で考え生み出すより他の知見の融合から生み出される新たなものである。まずは自分としっかり向き合う必要を感じました。
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