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この料理家のレシピが天才すぎる⑧『クア・アイナ』のようなフライドポテト編/高山惠
フードコーディネーターの資格を取得して早15年。noteでは自分ではなく大好きな料理家の方や全農広報部さんなどのレシピを紹介していましたが、実は私も長きに渡って研究し、「これが一番美味しい!」と自分なりに胸を張れるレシピがあります。それは「フライドポテト」です。
【高山惠 プロフィール】
ライターとして現在は雑誌「DIME」「BE-PAL」(小学館)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、他さまざまなWEB媒体で執筆。
フードコーディネーターの資格を取得し、「食」のコーディネートも行う。
この連載は、前回2022年6月期のシリーズ第2弾です。
私には理想とするフライドポテト像があるんです
フライドポテトはジャガイモを切って粉をつけ、油で揚げれば完成するシンプルな料理。正直レシピも何もありません。でも私には理想のフライドポテト像があり、それに近づけるべく試行錯誤していた時期がありました。それは以下のものです。
・サクっとしている
・軽い食感
・芋感が残っている
そんな私が一番好きなファーストフードのポテトは、ハワイアングルメバーガーレストラン『クア・アイナ』のフレンチフライ。まさにサクッとしていて軽い食感、きちんと芋感が残っている理想のポテトです。ファンも多く、これだけを目的で来るお客さんも多そうですが、千葉県で在宅勤務が中心の私にとってそれはかなりハードルが高い。なんとか自分でクア・アイナに近いフレンチフライを作れないものだろうか? こうして理想のポテトレシピを試行錯誤する時期がはじまりました。
ポイントは小麦粉と片栗粉の配分、そして…
まず考えたのは衣のサクサク感。通常フライドポテトは小麦粉を使って揚げることが多いですが、これだけだと私が理想としているサクサク感は出ません。そこで考えたのは、小麦粉のかわりに片栗粉を使うこと。片栗粉を揚げ物の衣に使うと素材の水分を吸収したでんぷんが糊化しますが、さらに加熱が進むことで水分が蒸発。独特のサクサクとした食感となるのです。
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が、いざつくってみると、片栗粉が明らかにムラとなってしまいました。確かにサクサクとして美味しいのですが、軽い食感という意味では物足りない。
ならば今度は小麦粉とブレンドする方法を試してみることにしました。小麦粉は水分を含むと粘り気のあるグルテンを作り出しますが、揚げ物の衣にすると強力な網目となって素材をしっかり覆う役割を果たします。つまり片栗粉に小麦粉を加えることで、片栗粉だけだと発生するムラをなくすことが可能となるのです。
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いろいろ試行錯誤の結果、片栗粉3、小麦粉1くらいの割合でじゃがいもにまぶすと、私が求めるサクサク感と軽い食感が実現できることが分かりました。ちなみに片栗粉ではなく米粉を使ってもサクサクとした食感になりますが、お米特有の風味が気になる人もいるかもしれません。何より、米粉をわざわざ購入するのが面倒くさいというデメリットもあります。
また衣をつけた状態のまま一晩冷凍庫に入れて冷凍すると、よりサクサクとした食感が楽しめることも分かりました。こうやって作った自家製のフライドポテトは本当に美味しいんです! レシピというほどのレシピではないですが、ぜひ試してほしい自信作です。
子どものおやつや、お酒のつまみとしてもオススメですよ。
これから私もライターとして、フードコーディネーターとして、自分にできることは何だろうと問いつつ、日々料理を作り続けていきます。ひとまず今回でこのシリーズはいったん区切りとさせていただきますが、また天才レシピに出会ったら連載を再開させたいと思っています。
その時はよろしくどうぞ。ぜひまたお会いしましょう!
(おわり)