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永遠の憧れ、オニヤンマ

「憧れど 追いつけぬ夢 おにやんま」
愚作だけど一句詠んでみた。先日、久しぶりにオニヤンマに出会った。相変わらず、スイスイと泳ぐように目の前を通り過ぎては、上手すぎる一旦停止。キレのいい動きだった。

オニヤンマは子どもの頃から憧れの存在。出会うと心ときめき必死で追った。赤トンボやしおからトンボみたいに、つかまえて真近くで見つめたかったのだ。その勇ましくも美しいカッコいい姿を。
そしてそれは今でも変わらない。さすがに、つかまえようとは思わないが、なぜか追いかけてしまう。足の衰えを忘れて心だけ少年の日に戻るのだ。

この感覚は誰にでも通じるものなのだろうか‥。少なくとも弟と私の間では共有できるはずだ。残念ながら夫はその話を聞いて「変なのぉ」と言った。え、そおなの? はて、なぜだろう。この辺りではあたりまえにしょっちゅう出会えたというのか、あのオニヤンマ様に‥。「いや別に〜」と言うから理由は不明のままだ。

先日出会ったオニヤンマ様は、とくに大きくて素敵なオーラを放っていた。私としてはすぐそばの植木や木々で一休みしてほしいのだが、そのオニヤンマ様は電線に止まり、まるで鉄棒にぶら下がる体操選手のように静止していた。


照りつける太陽に耐えながら、飛び立つのを待った。気づかれてここを嫌いになられても困るし、隣の家の方から見て不審に思われても面倒なので、あまり近寄れない。
5分ばかり経っただろうか‥。私はこの写真1枚で納得し、さよならを告げた。「あぁ、いつ見ても男前なオニヤンマ様。また会えるのを楽しみにしています。」

ちょうどこの度、母の参加する俳句の会からの依頼で、いくつか句を応募しなくてはならなくなったので、せめて、この日のことを句にしておこうと、遠いあの日の記憶へと帰らせてくれたオニヤンマ様とのひとときを詠んでみたのがこの句だ。
「憧れど 追いつけぬ夢 おにやんま」

夢とは様々な「夢」に及ぶ。私のピアノ練習、ドビュッシーの『夢』もそう♬   レベル不相応な曲への挑戦。なかなか自分のものにできぬが、追うことはきっとあきらめない。

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