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デザイナーこそ知るべきアート、サイエンス、クラフトの3つの視点
こんにちは。
株式会社レッドビジョン・クリエイティブチームのJun(@tabider555)です。
今回は山口周氏が書かれた『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』という本から、デザイナーも知っておきたいポイントをまとめてみました。
早速まいりましょう!
まずあなたに質問します。
10年後の未来がどうなっているか具体的にイメージできますか?
……10年後のことをイメージするのは難しいかもしれません。
では5年後の未来はイメージできますか?
……5年後ですら私達がどうなっているかなんて正確には分かりません。
2019年に翌年の東京五輪が延期する事を正確に予想できた人はいないはずです。
現在は不確かで複雑なVUCA(※)時代であり、未来のことを予測することは不可能。(※Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭字語)
産業革命前後で人々の生活が変わったように、これから近い将来は第四次産業革命によりビッグデータやAIといった情報技術でますます大きく変わります。
そのような時代の変革に必要になるのが、「直感」や「真・善・美」という視点であると本書では述べています。
■VUCA時代には3つの視点をバランス良くもつ必要がある
本書には度々、「アート」「サイエンス」「クラフト」というキーワードが登場します。
これらの3つの視点がとても重要になります。
・アート:直感、感性、美意識、クリエイティブ、ビジョン、哲学
・サイエンス:論理、分析、科学、データ
・クラフト:経験則、現実的、職人
日本において重視されるのは「サイエンス」と「クラフト」の側面です。
そして、デザイナーはどちらかというと、自身の感性に基づいたアート視点が強くでます。
しかしながらデザイナーは、クライアントや組織・チームに対して制作意図を言語化して説明するアカウンタビリティが求められます。
「なぜこの色を選んだのか?」
「なぜこの形なのか?」
「なぜここにレイアウトしたのか?」
さらにその説明は……
・論理的
・理性的
・数値的
・経験則的
・統計的
などの相手が十分に納得しうる情報を提供して、
ようやく「それなら大丈夫そうだ」と相手に思ってもらわなければ同意が得られず、プロジェクトが進行しません。
デザイナー自身が直感的に「これが良い」と思っても、ステークホルダーからの論理的かつ理性的な判断で不本意なものが最終形になることも少なくありません。
■「正解のコモディティ化」の中で勝つためには?
日本社会に渦巻くサイエンス(理論的、理性的)な判断では「より失敗しない正解」が量産され、その行き着く先は「正解のコモディティ化」であると本書では警鐘を鳴らしています。
正解のコモディティ化によって市場はレッドオーシャンとなります。
レッドオーシャンで勝つ方法は2つ(※)しかありません。
・より安い価格
・より早い提供
※他にもセグメントを変えてブルーオーシャンを狙う手法などもあります。
日本の大手家電メーカーが新興国メーカーにシェアを奪われている理由もここにあります。
現在、ブランドを確立しているグローバル企業ではサイエンスとクラフトの経営判断だけでは限界があると理解し、アートという他の2つと比べると劣後に扱われてしまいそうな要素を重要な経営判断軸に据えています。
実際にアート的な感性を持っているトップやディレクターを有する企業や組織が成功を収めているケースは最近、多く見られるようになってきました。
その代表はApple(スティーブ・ジョブズ氏)であったり、ユニクロ(佐藤可士和氏)であったり、江戸時代においては千利休だったりします。
例えば自動車メーカーのマツダは「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」という一貫したデザイン哲学を掲げて、CX-5に代表されるようなヒット製品を次々に生み出しています。
さらにワールド・カーデザイン・オブ・ザ・イヤーなど世界的な名誉あるデザイン賞なども次々取り続けています。
その背景には前田氏というトップから強力な権限を与えられたチーフデザイナーの存在があります。
どのような基準で、前田氏はデザインの良し悪しを判断しているのでしょうか?
一言で答えるのであれば「一目見て、イイものはイイ、ダメなものダメ」だということです。
本書で紹介されている田畑氏の判断軸は驚くほど直感的なものです。
■必要なのは美意識
「正解のコモディティ化」となっている現代において、アート視点のあるデザイナーの役割はますます高まっています。
そこにはブランド哲学を理解し、デザインという概念を人々の機能的便益における「問題解決」から、情緒的便益や自己実現的便益へと導く「感動提供」へとアップデートしていく必要があると感じます。
そのために必要なのが「美意識」です。
美意識という定義は単に「デザインが美しいモノ」という表面的な意味合いにとどまりません。
そこには「真・善・美」が含まれます。
ぜひ興味のある方は『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を読んでみてください。