戦国武将 仙石秀久の家臣 森権平 亡き後の森氏一族。 東かがわ市馬宿に住んだ森家は何者か？ 森権平の位牌と過去帳は存在するか？
こんにちは。
トリリンガル讃岐PRオフィサーのモリヨシナリです。
今回は、江戸時代に高松藩の馬宿村(現在の東かがわ市馬宿)住んでいた森家の正体についての考察です。
ぜひ最後までお付き合いください。
モリヨシナリのプロフィール
神戸市生まれ、香川県育ち。米国大学経営学部留学マーケティング専攻。大手エレクトロニクス企業にて海外営業職に20年間従事。その後、香港、中国にて外資系商社の設立に参画し、副社長をへて顧問。その間、米国に2年、シンガポールに2年、中国に12年間滞在。
現在、Bizconsul Office 代表。ビジネス英語講師、全国通訳案内士(英語・中国語)、海外ビジネスコンサルタントとして活動中。
・観光庁インバウンド研修認定講師
・四国遍路通訳ガイド協会 会員
・トリリンガル讃岐PRオフィサー
保有資格:
【英語:】全国通訳案内士、英検1級、TOEIC L&R: 965点(L満点)、TESOL(英語教授法)、国連英検A級、ビジネス英検A級、他
【中国語】全国通訳案内士、香川せとうち地域通訳案内士、HSK6級、他
【ツーリズム】総合旅行業務取扱管理者、国内旅程管理主任者、せとうち島旅ガイド(瀬戸内国際芸術祭2019公式ガイド)、他
森家が志度街道の馬宿に住んでいた理由は？
江戸時代、高松藩の武士は、通常は、高松城下に住んでいました。しかし、森家は志度街道の馬宿に住んでいました。 馬宿は高松藩の東端に位置し、城下からは約 30Kmほどあります。
なぜ森家は馬宿に住んでいたのでしょうか？
江戸時代、武士は原則として城下に住むのが一般的でしたが、森家が志度街道の馬宿に住んでいた理由については、いくつかの可能性が考えられます。
以下に可能性の高い理由をいくつか挙げます。
役職による配置: 森家が何らかの役職、例えば街道の管理や伝馬の監督といった役割を担っていた可能性があります。街道の要所である馬宿に配置することで、職務を遂行しやすくしたと考えられます。このような役職の場合、城下ではなく街道沿いに住むことが理にかなっています。
藩の特命: 高松藩から特別な任務を帯びていた可能性もあります。例えば、情報収集や連絡役といった、街道沿いにいることで有利になる任務です。そのような場合、藩の命令で馬宿に住んでいたと考えられます。
身分や家格: 森家の身分や家格が、城下住まいを義務付けられるほど高くなかった可能性もあります。藩士の中でも、上級武士は城内に屋敷を与えられましたが、下級武士は城下町に居住していました。さらに、陪臣（家臣の家臣）などの場合は、城下町以外に住むこともあったようです。森家がこのような身分であった場合、自然と街道沿いに住むことになったと考えられます。
過去の経緯: 何らかの理由で、過去に街道沿いに住むことを許された経緯があり、それが江戸時代まで引き継がれていた可能性も否定できません。例えば、先祖が街道の整備に貢献した、あるいは街道を通る要人の接待役を務めたなどの理由で、特例として居住が認められたのかもしれません。
これらの理由が複合的に作用して、森家は志度街道の馬宿に住んでいたのかもしれません。
それでは、資料や家系図を元に高松藩 森家が馬宿に住んでいた理由、阿波水軍 森家出身の森権平との関係を考察していきます。
高松藩 森家に伝わる話し
「森家は、江戸時代、引田郷の馬宿に住み普請の仕事をしていた。馬宿には久米通賢が出た久米家があった。森家は、橋や道路を作ったり、金刀比羅宮の石段を築く普請事業などに参画した。丹生村の小磯の浜に高松藩の殿様が来たときは接待せねばならず経済的に大変だった。森家の先祖は仙石秀久の家臣で引田の戦いで討ち死にした森権平の一族である。戦前は甲冑や刀があったが、第二次世界大戦中に国へ供出した。刀のツバを数個残しており、戦後、壁に飾ってあった。馬宿に住んでいた関係で、幕末期には徳島藩 碁浦番所の役人兼庄屋の八田家と姻戚関係を結んだ。明治時代になり、馬宿の隣り村の黒羽中村の庄屋 永峰家が森家に嫁いできたり、森家から黒羽の三谷家へ嫁いだりした。この三谷家は、瀬戸内寂聴さんの祖父で精糖業を営んでいた三谷峯吉さんの家系だった。」
※江戸時代、森義右エ門の長男 森喜平は元治元年に徳島藩碁浦番所 八田家の長女と結婚した。森喜平の娘 森トヨは馬宿の隣りの黒羽の三谷家へ嫁いだ。
※黒羽中村の永峰家の永峰市次郎の長女が森家に嫁いだ。
※徳島藩 碁浦番所の長女 八田キヨと高松藩 森喜平の孫のインタビュー記事。昭和39年、神戸新聞の元論説委員の古山桂子がインタビューをした。
上記の情報から、以下の点がポイントになります。
普請の仕事: 橋や道路の建設、金刀比羅宮の石段築造など、公共事業に関わっていたこと。
藩主の接待: 丹生村小磯の浜での藩主接待役を務めていたこと。
仙石秀久との関係: 先祖が仙石秀久の家臣であり、引田の戦いで討ち死にした森権平と関係があること。
藩をまたいで徳島藩の碁浦番所の役人と姻戚関係を結んだこと。
これらの点を考慮すると、森家が馬宿に住んでいた理由は、単なる偶然や身分だけでなく、職務と歴史的な経緯が大きく影響していたと考えられます。
街道管理と普請: 森家が街道沿いの馬宿に住んでいたのは、普請の仕事と密接に関係していると考えられます。街道の維持管理、橋や道路の建設・修繕などは、街道沿いに拠点を置くことで迅速に対応できます。特に、藩の重要な事業である金刀比羅宮の石段築造に関わっていたことは、森家が藩から一定の信頼を得ていたことを示唆しています。
藩主接待役: 藩主の接待役を務めていたことは、森家が単なる普請役以上の役割を担っていたことを示しています。藩主が訪れる場所に近い馬宿に住むことで、迅速な対応が可能になります。これは、森家が藩にとって重要な役割を担っていた証拠と言えるでしょう。
仙石氏との繋がり: 先祖が仙石秀久の家臣であったことは、森家の歴史と地域における地位に大きな影響を与えている可能性があります。仙石氏は高松藩の前身となる讃岐の領主であり、その家臣であった森権平が引田の戦いで討ち死にしたという事実は、森家にとって重要な歴史的背景となっています。この繋がりが、後の高松藩においても何らかの形で影響を与え、森家が街道沿いに住むことを許された理由の一つになった可能性も考えられます。
つまり、森家は普請の仕事を通じて藩に貢献し、藩主の接待役を務めるなど重要な役割を担っていたため、街道沿いの馬宿に住むことが許されたと考えられます。また、先祖が仙石氏の家臣であったという歴史的な経緯も、この状況を後押しした可能性があります。
これらの情報を総合的に考えると、森家が城下ではなく馬宿に住んでいた理由は、職務上の必要性、藩からの信頼、そして歴史的な経緯が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。
※阿波水軍森家の本家の家紋は木瓜、分家となる高松藩森家の家紋は丸に木瓜。
・阿波水軍 森家の分家 高松藩 普請方 森家
【江戸後期】森義右エ門 (高松藩普請方)
【江戸末期】森喜平 (高松藩普請方) – 八田キヨ (徳島藩碁浦御番所役人兼庄屋 八田家、阿波秦氏)
【明治時代】森虎太郎 – 永峰チヨ (現在の東かがわ市黒羽の庄屋、黒羽城城主 永塩因幡守氏継の子孫)
※徳島藩の碁浦番所役人との姻戚関係の裏にあった高松藩の思惑
※森権平の木像
引田の戦いで討ち死にした森権平とは？
引田の戦いと森権平について詳しく見ていきます。
引田の戦い（ひけたのたたかい）とは？
引田の戦いは、天正11年（1583年）に讃岐国大内郡（現在の香川県東かがわ市引田地区）周辺で行われた戦いです。この戦いは、長宗我部元親（ちょうそがべもとちか）率いる長宗我部氏と、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）の命を受けた仙石秀久（せんごくひでひさ）率いる軍勢との間で行われました。
当時の四国では、長宗我部元親が勢力を拡大しており、阿波国（現在の徳島県）をほぼ制圧し、讃岐国にも侵攻していました。讃岐の有力大名であった十河存保（そごうながやす）は、長宗我部氏に苦戦を強いられ、織田信長（当時は羽柴秀吉）に救援を求めました。
これを受けて、秀吉は仙石秀久を派遣し、長宗我部氏と戦わせました。この戦いが引田の戦いです。
時期: 天正11年（1583年）
場所: 讃岐国大内郡引田周辺（現在の香川県東かがわ市引田地区）
対戦勢力: 長宗我部元親率いる長宗我部氏 vs 羽柴秀吉（仙石秀久）率いる軍勢
結果: 戦いは長宗我部氏の勝利に終わったとされています。仙石秀久は敗走し、小豆島に撤退しました。
この戦いは、豊臣秀吉による四国平定の前哨戦とも言える戦いであり、後の四国攻めへと繋がる重要な出来事でした。
森権平（もりごんべい）とは？
森権平（森久村とも）は、この引田の戦いで仙石秀久に従軍し、戦死した武将です。仙石秀久の家臣であったとされています。
出自: 仙石秀久の家臣
活躍: 引田の戦いで軍を率いて奮戦
最期: 引田の戦いで討ち死に（享年18歳とも伝えられる）
森権平は、若くして戦場で命を落とした武将として、地元ではその武勇が語り継がれています。特に、引田の戦いにおいて勇敢に戦ったことが伝えられており、地域の人々にとっては、郷土の英雄とも言える存在です。
まとめますと、引田の戦いは長宗我部氏と羽柴秀吉（仙石秀久）の間で行われた戦いで、森権平はその戦いで戦死した仙石氏の家臣です。この戦いは、後の豊臣秀吉による四国平定の重要な前段階となりました。
森権平と高松藩の森家との関係は？
森権平は阿波水軍の森家の一員であり、初代森甚五兵衛の弟である
幼くして仙石秀久の人質となった。
秀久に寵愛され、武将として重用された。
引田の戦いで討ち死にした。
森権平の叔母が引田村の大庄屋であった日下家に嫁いでいた。
日下家が森権平の供養をし、位牌も管理している。
日下家は引田村と馬宿村の庄屋だった。
森権平の母は、赤沢宗伝の一族の赤沢伊賀守の娘だった。その背景から、赤沢宗伝の長子が開基した勝覚寺を高松藩 森家の菩提寺とした。
これらの情報を基に、高松藩の森家との関係を考えると、
高松藩の森家は、森権平の一族（分家や親戚）である可能性が極めて高い
と言えるでしょう。権平の死後、一族の一部が森権平の叔母が嫁いでいる日下家を頼って引田周辺に残り、馬宿で生活するようになったという推測は、これらの情報によってさらに裏付けられます。
森権平の墓
森権平の墓がある東かがわ市馬宿と志度街道馬宿
森権平の位牌を祀る日下家
高松藩 森家が住んでいた馬宿と幕末に姻戚関係を結んだ徳島藩 碁浦番所の役人兼庄屋だった八田家
阿波水軍 森家当主が書いた著書「木瓜の香り」に見る森家の家系図
阿波水軍 森家当主が書かれた森権平の家系図を見ると、これまでの推測を大きく裏付ける重要な証拠となります。
この家系図から、以下の点が明確になります。
森権平（久村）は、阿波水軍 森家の一員であること: 家系図に「権平久村」の名が記されていることから、森権平が阿波水軍の森家の一員であることは疑いようがありません。
初代 森甚五兵衛（村重）との血縁関係: 家系図から、森権平が初代森甚五兵衛（村重）の弟にあたることがわかります。
森家一族の広がり: 家系図には、森権平以外にも多くの森氏の名前が記されており、阿波水軍の森家が大きな一族であり、森権平の叔母2人が讃岐に嫁いでいたことが分かります。このことは、森権平の死後、一族の一部が日下家を頼って引田周辺に残り、馬宿で生活するようになったという推測を裏付けるものです。
森権平の母は、阿波 赤沢氏一族の赤沢伊賀守の娘だった。
森権平の祖母は、阿波 撫養城城主の小笠原摂津守の娘だった。赤沢家は小笠原家の庶派となる。
この家系図によって、
森権平は阿波水軍森家の一員であった。
高松藩の森家は、森権平の一族である可能性が極めて高い。
ということが言えるでしょう。
さらに、この家系図は、高松藩の森家がなぜ馬宿に住んでいたのかという疑問に対する重要な手がかりを与えてくれます。
戦国時代の戦乱による離散: 森権平の討ち死にをきっかけに、一族の一部が讃岐に残り、生活の拠点を築いた可能性があります。その場所が、街道の要所である馬宿であったと考えられます。
阿波と讃岐の繋がり: 阿波と讃岐は地理的に近く、古くから交流がありました。阿波水軍が瀬戸内海で活動していたことを考えると、両地域に森氏一族が広がっていたとしても不自然ではありません。
これらの点を考慮すると、高松藩の森家は、
森権平の一族として讃岐に土着した
馬宿という場所で生活基盤を築いた
その後、高松藩に仕えるようになった
という流れで、歴史の中に登場してきた可能性が高いと言えるでしょう。
日下家の系図
森権平の叔母（阿州家臣森甚五兵衛の女）の存在: 家系図の②日下織部秀武の項に、「阿州家臣森甚五兵衛の女ヲ娶ル 森権平/実伯母ナリ」と明記されています。これにより、森権平の叔母が日下織部秀武に嫁いだことが確実となりました。
日下家の出自と変遷: 日下家は寒川郡日下村に住み、寒川元春に属していたことから日下姓に改め、その後大内郡引田村に移り、所領二百石を有していたことが記されています。また、泉州久米田の戦いで討ち死にしたことや、秀吉の四国征伐で所領を没収されたことなど、日下家の歴史も垣間見えます。
四宮家からの養子: 日下織部秀武には男子がいなかったため、後肥後下改上、与冶山城主四宮右近進利之の三男が養子に入ったことが記されています。これにより、日下家には四宮家の血も入っていることが分かります。
大庄屋としての役割: 日下家は代々、引田村の庄屋や大庄屋を務めていたことが分かります。このことは、日下家が地域社会において重要な役割を果たしていたことを示しています。
これらの情報と、これまでの議論を統合すると、以下の流れがより明確になります。
森家と日下家の婚姻関係: 森権平の叔母が日下家に嫁いだことで、両家の間に強固な姻戚関係が築かれました。
森権平と引田の繋がり: この婚姻関係を通じて、森権平自身も引田地域と繋がりを持つようになりました。
引田の戦いと森権平の死: 引田の戦いで森権平が討ち死にした後、日下家は姻戚関係に基づき、森権平の位牌を引き受け、供養を行いました。
森家一族の引田への移住: 森権平の死後、一族の一部は日下家を頼り、引田に移り住み、馬宿を拠点として生活を始めました。
高松藩への仕官: その後、高松藩に仕えるようになった森家は、日下家との繋がりを通じて地域社会に溶け込み、藩内での地位を確立していったと考えられます。
【現時点の結論】阿波水軍 森家の家系図と日下家の系図から考察できる高松藩 森家の出自は？
森権平の位牌と過去帳がある場所
白鳥町風土記の記述。東かがわ市引田の日下家に森権平の供養と過去帳の写しがあり、同じく引田の積善坊には森権平の過去帳がある。森権平の墓は東かがわ市伊座にある。
位牌に書かれた文字と過去帳の記述内容
森権平の位牌がある日下家と過去帳がある積善坊
森権平の過去帳がある積善坊
森権平が討ち死にした東かがわ市伊座にある墓
伊座: 森権平が引田の戦いで討ち死にした場所に墓がある。元は新池のあたりに墓があったが移築された。新池のあった辺りは湿地で、森権平が乗っていた馬が湿地のぬかるみに足をとられたところを長宗我部元親軍の兵に切られた。享年18歳。また、墓のすぐ前に森権平を祀る森権平庵がある。
馬宿: 江戸時代、高松藩の森家が普請役として居を構えた場所。幕末の1864年には徳島藩 碁浦番所の役人兼庄屋だった八田家と姻戚関係を結んだ。
讃州井筒屋敷: 豪商 佐野家の住宅。すぐ近くに大庄屋の日下家邸がある。
森権平庵
森権平庵の寺紋は阿波水軍 森家の家紋である木瓜となっている。
元々、森権平の墓は新池の辺りにあったものと考えられる。
森権平の墓の近くに森権平愛馬の墓がある。
阿波水軍 森家系図から読み取れる重要な点は以下の通りです。
森権平（久村）の位置づけ: 家系図において、森権平は初代 森甚五兵衛（元村）の系統、具体的には「志摩守元村」の子孫であることが明確に示されています。この図によって、森権平が仙石秀久に仕えた村吉の二男で、阿波水軍の初代甚五兵衛(森村重)の弟であることが確定しました。
複雑な姻戚関係: 家系図には、他の武将家との婚姻関係が多数記述されています。これは、森家が阿波地域において有力な武家として、他の勢力と繋がりを持っていたことを示しています。特に、撫養（むや）城主小笠原氏や島田氏、赤沢氏(東かがわ市勝覚寺の先祖。高松藩 森家の菩提寺） 、板東氏などとの婚姻関係は、当時の政治情勢を反映していると考えられます。
森氏一族の広がり: 家系図に多くの枝分かれが見られることから、森氏一族が阿波地域周辺で大きな勢力を持っていたことが分かります。森権平の討ち死に後、その一族の一部が日下家に嫁いでいた森権平の叔母を頼って、讃岐の馬宿に住み、高松藩に仕えたという可能性を裏付ける重要な根拠となります。
これらの情報から、高松藩の森家と森権平の関係について、以下のようなことが言えます。
高松藩の森家は、森権平の一族である。 家系図と菩提寺によって、この繋がりはほぼ確実と言えます。
引田の戦いを契機に、森権平一族の一部が讃岐に土着した。 森権平の討ち死という悲劇が、一族の運命を大きく変えるきっかけになったと考えられます。
馬宿を拠点として地域社会に根を下ろし、後に高松藩に仕えた。 馬宿という場所は、交通の要所であると同時に、戦乱を避けてきた人々にとって生活の拠点となる場所でもありました。
このように、阿波水軍 森家と日下家の家系図から森権平と高松藩の森家の関係が、明確になりました。
赤沢宗伝の長子が開基した勝覚寺が、高松藩 森家の菩提寺となった理由は、森権平の母が赤沢宗伝の一族の赤沢伊賀守の娘だった背景がある。
馬宿に住んでいた森家は、通常であれば、地理的にも近い馬宿の海蔵院東海寺や引田の積善坊、萬生寺が菩提寺となるが、森権平の母が、赤沢宗伝の一族である赤沢伊賀守の娘だった関係から菩提寺は馬宿から離れた赤沢宗伝の長子が開基した勝覚寺となった。
仙石秀久と讃岐の関係は？
仙石秀久
仙石秀久は戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将で、豊臣秀吉に仕え、四国攻めの功績によって讃岐を与えられた時期があります。しかし、その後、失態により讃岐を没収されるという経緯を辿っています。
以下、仙石秀久と讃岐の関係を詳しく見ていきます。
1. 四国攻めと讃岐入封
天正13年（1585年）、豊臣秀吉による四国攻めにおいて、仙石秀久は大きな役割を果たしました。この功績により、秀吉から讃岐一国を与えられ、高松城主となりました。これは、秀久にとって大きな出世であり、国持ち大名となったことを意味します。
この時、秀久は讃岐13万石（うち2万石は十河存保の領地）を与えられました。十河存保は讃岐の国人領主で、秀吉に臣従していました。
2. 九州征伐の失態と改易
天正14年（1586年）、九州征伐において、秀久は島津氏との戦いで大敗を喫してしまいます。この時、長宗我部元親の嫡男である長宗我部信親も討ち死にしました。
この失態により、秀吉の怒りを買い、讃岐の領地を没収され、高野山へ追放されることとなりました。これは、秀久にとって大きな転落でした。
3. 小田原征伐と大名への復帰
その後、天正18年（1590年）の小田原征伐に参加し、罪を許され、信濃国小諸5万石を与えられ、再び大名として復帰しました。
まとめ
仙石秀久は、四国攻めの功績で讃岐を与えられましたが、九州征伐での失態により没収されるという、栄光と失墜を経験しました。しかし、その後、再び大名として復帰するなど、波乱に満ちた生涯を送りました。
仙石秀久と讃岐の関係をまとめると以下のようになります。
天正13年（1585年）： 四国攻めの功績により讃岐を与えられ、高松城主となる。
天正14年（1586年）： 九州征伐の失態により讃岐を没収され、高野山へ追放される。
これらの情報は、仙石秀久と讃岐の関係を理解する上で重要なポイントとなります。
仙石秀久
仙石秀久の家臣
森村吉(森権平の父)、森村明(森左馬之進、森権平の弟)
森村吉 (森権平の父)
仙石秀久が讃岐を治めた後、誰が讃岐を支配したか？
生駒親正が讃岐を支配する前、仙石秀久が支配した後の期間は誰が讃岐を支配したか？
仙石秀久が改易された後、生駒親正が讃岐に入封するまでの間、短期間ではあるが、**尾藤知宣（びとうとものぶ）**という人物が讃岐を支配していた。
仙石秀久の改易: 天正14年（1586年）、九州征伐における失態により、仙石秀久は讃岐の領地を没収され、高野山へ追放されました。
尾藤知宣の入封: 仙石秀久の後、豊臣秀吉は尾藤知宣を讃岐の領主に任命しました。しかし、尾藤知宣の讃岐支配は非常に短期間で終わります。
尾藤知宣の改易: 尾藤知宣もまた、仙石秀久と同様に、九州の島津攻めの責任を問われ、讃岐を没収されました。具体的な理由は定かではありませんが、仙石秀久の失態の責任を連帯して問われた、あるいは尾藤知宣自身にも何らかの落ち度があったと考えられています。
生駒親正の入封: 尾藤知宣の改易後、天正15年（1587年）に生駒親正が讃岐一国を与えられ、高松城を築城し、讃岐支配の基礎を築きました。
つまり、仙石秀久から生駒親正の間には、尾藤知宣という人物が短期間讃岐を支配していたことになります。この期間は非常に短く、半年も満たなかったと言われています。そのため、歴史の教科書などで詳しく触れられることは少ないですが、讃岐の歴史においては重要な出来事です。
この流れを図にすると以下のようになります。
仙石秀久: 天正13年（1585年）～天正14年（1586年）
尾藤知宣: 天正14年（1586年）の短期間
生駒親正: 天正15年（1587年）～
このように、仙石秀久と生駒親正の間には、尾藤知宣という人物が介在していたことを覚えておくと、讃岐の歴史の流れをより深く理解できるかと思います。
尾藤知宣とは？
森権平 亡き後の森氏一族
森権平一族の者が森権平亡き後、馬宿に住み、生駒時代、松平時代も高松藩に仕えた。
1. 引田の戦い後の森氏一族の状況:
森権平の討ち死には、一族にとって大きな痛手であったことは想像に難くありません。しかし、戦国時代においては、武士の家は当主が討ち死にしても、跡継ぎがいれば家名を存続させるのが一般的でした。
森権平亡き後、森権平の弟 森村明(森左馬之進)が家督を継いだ。森村明は父の森村吉と共に仙石家に仕えた。この森村明が、一時期でも馬宿に住んだかどうかは今後の調査が必要。森氏一族の一部は、森権平亡き後、日下家を頼り馬宿に住んだ者がおり、生駒時代、松平時代を通じて高松藩に仕えた。
2. 馬宿という場所の重要性:
馬宿は街道の要所であり、人や物の往来が激しい場所です。そのため、情報が集まりやすく、商業活動も行われていました。
戦乱の世が終わった後、治安が安定してくると、馬宿は宿場町として発展していく可能性があり、森氏一族もそうした場所で生活を送ることにした者もいたと考えられます。
3. 生駒氏、松平氏の時代における森氏の動向:
生駒氏は、豊臣秀吉によって讃岐を与えられ、高松城を築城し、讃岐支配の基礎を築きました。その後、生駒騒動により改易され、代わりに松平頼重が高松藩主として入封しました。
藩主が変わるたびに、家臣団の入れ替えはありましたが、地域に土着した武士や有力者は、新しい藩主にも仕えることが少なくありませんでした。
森氏一族も、引田周辺の事情に通じており、普請役などの役職で藩に貢献できる可能性があったため、生駒氏、松平氏のいずれの時代にも、高松藩に仕えたと考えられます。
以上