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貴方は亀の手を知っているか

食欲の秋。
「食べ物が美味しい」が土地のイメージ第一位である北海道に暮らしながら、
いくらを食べるのもそこそこに毎年そそくさと旅に出る。
それは中国〜四国の食べ物を身体が欲するからほかならない。

たとえば
デミカツ丼の岡山、かきおこの岡山、黄ニラの岡山、児島うどんの岡山、ホルモンうどんの岡山、新見ラーメンの岡山・・・
岡山グルメフリークなのだが、岡山でも満たせないものがある。

そう、それが「亀の手」だ。
写真の通り亀の手を捥いできたみたいな衝撃的なビジュアル。
塩茹でで提供されるので、ライチを剥くように表面の殻をはいで食べる。
亀の手とかいっておきながら貝なのだが、エビのような食感と磯のミネラル感でとにかく謎に美味しい。

わたしはこれを宇和島に行くたびに食べている。宇和島では「セイ」と呼ぶことが多いそう。
ただ最初に食べたごはんやさんが面白やさしくて電話予約をした時に観光客かと聞かれ(後でわかったのだが観光客はあまり来ないお店だったそう)
おもてなし精神で、ローカルらしいお通しをと用意してくれたのだ。
たしかに他の席でお酒を飲んでいるおっちゃんたちは、きゅうりとタコの酢の物を食べていたように思う。

予約した席に鎮座していた得体の知れない謎の食べ物に目を輝かせていた私に、おばちゃんが「それ亀さんの手だよ」とちゃめっ気たっぷりに脅かしてきた。
(もちろんそのあとにちゃんと食べ方などを実演して教えてくれた、おばちゃんありがとう)

だからリスペクトも込めて宇和島で初めて知ったが「亀の手」と呼んでいる。

#ご当地グルメ

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