現代短歌 《何度も洗い流す》
同じにおいがしてドキリと胸が高鳴るその時にはもう遅くて
わかるその線に宿る同じベクトルの力ぶち撒けてみせてよ
箱の中あなたの魅力入ってる誰も開けないで開けないでくれ
季節はずれ流れる音楽が透き通って消えていく今日が終わる
さらりとした筆跡その汗を見せないけれど浮かび上がる光
自分の手の中世界にたった一つどうだいいだろういいだろう
君の横顔がなかなか飲み込めなくてガムシロとミルクを混ぜる
あなたは何を描くの夜空をひっくり返したような色のインク
頭から消えないのはしつこいシャンプーの香りとよく知らない娘
何度も洗い流す土埃かウイルスかそれとも小さな嘘か
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