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現代短歌 《記憶から得た記憶》
※ほぼ「誰か(複数人)の記憶」をもとに書いたもの。
整合性よりも、誰かの過去だったことが、対話をすることで形を変えながら自分の記憶にも入り込んでくることの不思議に焦点を当てています。
同窓会いろどる話題甘辛い中身は空です一抜けるが勝ち
港には祭りと闘いあったのさ押し合いへし合いさあ道を開けろ
お囃子とタイヤが鳴かすアスファルト油のにおいは現代(いま)も残ってる
その熱を知らぬ私が着せられた和服の柄を記憶でなぞる
軍人さんこっそり見せたピンク本青く染まった幼き日の叔父
自信などとっくの昔に失った反発心すら湧いてこない日々
あの頃は一日一日やり過ごしやっとのことで生き延びていた
教えてよシロツメクサの指環編みほんとの宝石僕は買えなくて
伸びてきた白い灯りの道辿り「おはよう」太陽はまだおやすみ
夢で見た憧れ漫画の世界なら自分の姿も理想的なまま