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音楽のはなし。

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音楽についてあれこれ
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エレーヌ・グリモー『野生のしらべ』

訳者:北代美和子 🌺どんな本か この本は神秘的で慈愛的な表紙から想像するほど、ハートフルな本ではありません。 自分らしさを貫く芸術家による、遠慮のない本音が綴られます。 ちなみに、表紙に出てくる狼に関するパートは後半の一部であり、大半を締めるのは幼少期から狼との出会いまでの半生です。 芸術家、音楽家、ピアニストの苦悩と生き様を知る恰好の良書だと思います。 🌺以下、本書の内容と印象的な発言を時系列でまとめました エレーヌ・グリモー 1969年、フランスのエクス=

麗奈がカバーする『浅草キッド』に青く震える

私は基本的にインストしか聴かないので、J-POPや洋楽に疎いのですが、たまに歌が聴きたくなる時があります。 哀愁のあるものが好きなので、フォークソングや民謡っぽいものを好みます。 森田童子さんの『ぼくたちの失敗』や、アイルランドの『ダニーボーイ』とか刺さるわけです。 私は北野武さんを敬愛していますが、『浅草キッド』が大好きです。 で、YOUTUBEで聴いていたところ、関連動画にカバーがいくつか出てきて聴いてみました。 う~ん、なんか違う。 カッコイイのとか、キレイ

【クセ強めな感想】反田恭平|愛の夢 第3番 (リスト)

個人的に大好きな曲なので、色々聴いてきましたが、YOUTUBEでクラシックを聴く習慣が無く、反田氏の演奏があることを最近知った次第。 9年前の演奏らしいので、20歳くらいっぽいですが、+20したいくらい。 とにかく、渋い演奏。 瑞々しさは皆無で、『タイタニック』や『ロンバケ』に使ったら違和感がありそう。 感想 聴いていて真っ先に脳裏に浮かんだのはミヒャエル・ハケネ監督の『愛、アムール』です。 私には初々しい片思いとか、元カノ(カノ)とかを思い出している情景は浮かび

青柳いづみこ『ショパン・コンクール』

著者:青柳いづみこ 出版社:中央公論新社 対象読者:クラシック音楽の奥深さを知りたい方、ピアノコンクールの真髄に迫りたい方 🌟レビュー🌟 ポーランドのワルシャワで五年に一度開催される、世界最高峰のピアノ・コンクール「ショパン・コンクール」。 その舞台裏を、ピアニストであり文筆家の青柳いづみこ氏が綴った本書は、1927年の創設以来の歴史を俯瞰し、2015年大会の熱気を現地から伝えます。 芸術の評価基準とは何か、日本人優勝者は現れるのかという問いに対し、音楽界の未来を