noteを利用する企業が増えるワケ。事例から見る、採用広報のヒントを公開します!
オウンドメディアとは、企業が運営する自社メディアのこと。最近では「オープン社内報」という記事をエンドユーザー向けに公開する取り組みや、新規顧客の獲得、ブランディングにつなげるツールとしても、活用する企業が増えてきています。
オウンドメディアを立ち上げたものの、なかなか効果がでない。運用コストや担当者への負担が増えている。そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、オウンドメディアを効果的かつ効率的に運用できるプラットフォームとして注目を集めている「note」について調べてみました。
なぜ企業がnoteを始めているのか
noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」というミッションのもと、コンテンツ制作を楽しみ、時に応援し合うWebメディアのプラットフォームとして、2014年にサービスが開始されました。2023年5月時点での会員登録数は約663万人。シンプルかつ分かりやすいデザインに加え、Webに関する知識がない人でも文章、画像、つぶやきなど、様々なコンテンツを簡単に投稿できます。
法人利用も増えており、noteを利用する企業は25,000社以上(2023年5月時点)にのぼります。サービス紹介やプレスリリース、採用広報など、企業によって発信する情報は様々。まずはnoteの特徴的な機能やサービスについて見ていきましょう。
SNSへのシェア機能
特筆すべきは、SNSにシェアをする機能が充実していること。企業が運営するオウンドメディアには、シェア機能を付加していないことが多く、そのようなメディアは、外部に拡散されにくくなってしまいます。せっかく記事を作ったのだから、より多くの人に読んでもらいたい。記事を通して新しい読者に出会いたい。
そんな時に、記事に表示されているSNSのアイコンからシェアできるだけでなく、気に入った一文を選択するだけで(パソコンではドラッグするだけで)、簡単にその文言を引用してシェアすることができるという機能が用意されています。
企業の公式Twitterで記事をシェアすることで、露出を増やせることはもちろん、note公式Twitterでも様々な記事をシェアしているので、これまでリーチできていなかった層にもアプローチすることが可能です。実際に、SNSから記事への流入は、閲覧全体の30%を占めており、重要なチャネルとして位置付けられるでしょう。
Webサイトでは、記事の閲覧数(PV数)や閲覧時間(滞在時間)などからどんな記事が好評なのか分析することができます。しかし、それは数値から読者の反応を”想像する”ことに偏ることもしばしば。よりリアルな反応を知るには、ユーザーアンケートやヒアリングなどの方法も存在しますが、多大な労力と時間がかかってしまいます。しかし、Twitterのシェア機能からどんな記事のどんな部分が読者の心を掴んだのか。さらにはつぶやかれた内容からリアルな感想を知ることができるので、読者の実態を把握して、次のネタに役立てることもできます。
ハッシュタグ機能
ハッシュタグとは、「#(ハッシュ)」のあとに記事に関連するキーワードを入れることで、特定のワードに興味のあるユーザーが発見して、記事に流入しやすくなる仕組みです。「#私の仕事」「#仕事の心がけ」「#業界あるある」など、仕事や働き方に関するハッシュタグも多く、同じ価値観を持った読者との出会いが広がるでしょう。
ハッシュタグ機能について、詳しく知りたい方はこちら。
コラボコンテスト
noteと企業がコラボレーションして実施するコンテスト。各企業のブランドメッセージに沿ったテーマをもとに、作品を募集することで、企業のブランディングやPRにつなげられます。特にフォロワーの獲得においては、多い時で4,000程度の増加数が見込めることからもその効果は絶大。
・自社のアカウントの認知度を高めたい
・新しいフォロワーを獲得したい
・色んなクリエイターとつながりたい
こういったシーンで、多くの企業が利用しています。
現在、実施中のコンテストはこちらからご覧いただけます。
note pro
一歩進んだ活用方法として、有料プラン「note pro」もご紹介します。通常、オウンドメディアを立ち上げるまでに、サイトの構成、デザイン、設計などたくさんの労力がかかります。しかしnote proを利用すればロゴやテーマカラー、メニュー、ドメインなどをカスタマイズできるので、企業のブランドイメージを保ちながら、情報発信を行うことが可能です。運営会社であるnoteからのサポートも充実しており、noteの書き方に関する勉強会に参加したり、カスタマーサクセスチームによる個別サポートを受けられたりと、初めてメディアを立ち上げる方でも安心して取り組むことができます。
noteはココに効く!運用するメリット
読者がnoteを利用する理由として「自分に合った情報を知りたい」「人の意見や考えを知りたい」「関心の高い情報が読める」といったものが上位にあります。仕事に関する記事を探す読者の中には、職場環境、仕事のやり方、人間関係など、現状から少しでもよい方向に進むヒントを求める人も多いかもしれません。
そういった興味関心を持った読者に読んでもらえることから、記事を読むうちに「この会社で働きたい」という意識を顕在化させて、応募につなげるという道筋を作るツールとしてもnoteは機能するのです。例えば、以下のようなメリットがあげられます。
新しい人材との出会いが増える
時代のトレンドに合わせた働き方の記事を書いたり、若い世代が注目しているSDGsについての取り組みを紹介したりするなど、noteの記事を通じて「面白そうな会社だな」と興味・関心を持ってもらうチャンスが広がります。さらに、会社の魅力をよりリアルに伝えることができるだけでなく、情報を継続的に発信することで、関係性を築くことができます。
マッチング精度が上がる
採用時点でミスマッチが起こってしまう。また選考段階で企業の理解度が低い求職者に頭を抱える担当者もいらっしゃるでしょう。そんな時は、それぞれの求職者にマッチした記事を事前に読んでもらうことで、企業への理解を深めるツールとしてもnoteが活躍。仕事内容や企業文化、価値観をあらかじめ知ってもらうことで、内定辞退を防ぐことにもつながるのです。
また、社員にとってもプラスの効果があることをご存じでしょうか。仕事や職場に関する記事を読んだり、インタビューに応じたりする中で、職場の良さを見直して愛着を感じることも。時に記事を読んだ家族や知人のリアクションから、仕事への誇りを実感することもあります。そういったインターナルに対するメリットは以下のようなものがあります。
社員の定着率UPに繋がる
入社する前から企業のファンになってもらうだけでなく、入社した後の「こんなはずじゃなかった」というギャップを減らすことができます。そのギャップの少なさが、安心や信頼につながり、社員のエンゲージメント向上につながるのです。早期離職を防ぐことからも、記事によるインターナルへの効果ははかりしれません。
コミュニケーションの活性化
記事を通じて、社員の個性や趣味趣向が発信されることで、社員同士の理解が深まります。同じ趣味など共通の話題が見つかることで、社員のコミュニケーションが活発になることもあるでしょう。企業の規模が大きくなればなるほど、部署を超えたコミュニケーションは生まれにくいもの。しかし、オウンドメディアとしてnoteを活用している企業の中には、記事をきっかけに部署の異なる社員同士のコミュニケーションが生まれた事例もあります。
さらに、社員のリアルな声がnoteに蓄積されることで、求職者が会社の風土や社員のキャラクターを知って検討する材料にもなるのです。
【テーマ別】note活用事例
ここでは、4つのテーマで様々な企業のnote活用事例をご紹介します。
今回取り上げる記事の多くは、企業のコーポレートサイトや採用サイトで発信されてきた情報。掲載する媒体にnoteを加えるだけで、新しい読者に見つけてもらえる可能性が広がります。参考事例から意外なヒントやアイデアが見つかるはず。ぜひチェックしてみてください!
企業ブランディング/広報・プレスリリース
企業の理念や行動指針など、普段なかなか社外に発信されることの少ない情報を、noteで紹介している事例をご紹介します。広報やプレスリリースの役割も担っており、様々な記事から一貫した企業イメージを作り出すことでブランディングの効果も見込めるでしょう。
■ 株式会社ヤマップ(YAMAP INC.)
「地球とつながるよろこび。」をパーパスに掲げ、「YAMAP(ヤマップ)」をはじめとする登山アウトドア専用のWebサービスやアプリを運営する株式会社ヤマップ。特徴は、同社のプロデューサーやエンジニアが記事を執筆していること。担当者ならではの血の通った熱い文章で、サービスの特徴や開発ストーリーが紹介されています。いわゆる広報やプレスリリースとは異なり、一文一文を読み進めるうちに、ヤマップとそこで働く社員に自然と惹き込まれることでしょう。
■ ソニー株式会社
ソニー株式会社の広報部が運営する『広報note』。公式のプレスリリースには載せきれない開発者の想いや裏話が発信されています。記事から垣間見えるのは、自由闊達な社風。特に、若手社員が最新技術を用いて製品づくりに励んでいる様子から、「大企業=堅い」というイメージを軽やかに超えて、新しいことにどんどんチャレンジできる。そんな風通しの良い企業風土が垣間見えます。
社内報
本来なら、その企業で働いている社員しか見ることのできない社内報。最近ではnoteで社内報を公開することで、会社の取り組みや雰囲気をオープンに伝える企業が増えています。社内報を運営する社員にとっても、PV数や閲覧時間などの数字が具体的に見えることで、モチベーションアップにつながるというメリットがあります。
■ 株式会社博展(HAKUTEN)
株式会社博展はイベントや展示会、店舗などの空間や場所における ”体験をつくる博報堂グループのクリエイティブカンパニー"。社内報『HAKUTEN COLOR』では、趣味が共通する社員同士の座談会、社員がすすめる本の紹介など、社員の個性や社内の雰囲気が伝わる記事が数多く掲載されています。過去に社内だけで公開していた記事を再編集して公開するなど、オープンに情報を発信しようとする姿勢にも好感が持てるでしょう。
■ カルビー株式会社
カルビー株式会社の社内報が創刊されたのは、今からさかのぼること60年以上前!多くの社員に愛されてきた社内報のコーナー、『カルビトの流儀』がnoteで公開されています。記事では、社員が仕事で体験した苦い経験とそこから得た気付きを丁寧に紹介。じゃがりこの研究開発者やパッケージのデザイナー、物流担当者など、様々な部署の社員を紹介することで、仕事内容や特徴を多角的に発信しています。
会社のリアルな情報(社風/仕事内容/働き方など)
「福利厚生が充実しています」「アットホームな社風ですよ」
求人情報に載っているそんな一文だけでは、会社のリアルな姿はなかなか伝わりにくいもの。そこでnoteで社風や事業内容、働き方など色んなテーマの記事を発信することで、読者が会社のイメージを具体的に持てるようになります。
■ クックパッド株式会社
「クックパッド=料理レシピサイトを運営している」というイメージがあるかもしれません。しかし実際にはECサービスやWebメディアの運営など、料理を中心に様々な事業を展開しています。noteでは社員一人ひとりの仕事内容や働き方を発信することで、事業に関する理解を広げています。さらに、社員研修「探求ボックス」や海外留学プログラムなどの社内制度、子育てをしている社員のスケジュールも紹介。読者も記事を読み進めるうちに、同社で働くイメージを具体的に持つことができます。
■ ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
noteは記事をストックできる一方で、本数が増えると読者がどの記事を読んだらいいのか分からず、迷子になってしまうことも。そんな時に、テーマ別に記事をまとめられるマガジン機能を使うと、読者が読みたい記事に最短距離でたどりつくことができます。ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社はマガジン機能でサービスや製品、社員の働き方、イベントレポートなど5つのテーマに沿って紹介。記事の内容はもちろん、noteの機能を活用する上で参考になるでしょう。
■ 株式会社イシダテック
静岡県沼津市のメーカー、株式会社イシダテック。2021年8月に総務部のスタッフが‟ひとり広報”としてnoteを立ち上げて、1週間に1本のページ記事を更新。ひとりで運用しているとは思えない更新スピードとクオリティの高さに驚かされます。記事では掃除やデスクなど何気ない日常の中から見つけたネタがちりばめられており、職場の雰囲気や社員の人柄がダイレクトに伝わってきます。入社後のイメージだけでなく、同社に対して親しみが湧いてきますね。
■ 株式会社TAM
私たちTAMも採用マーケティングにnoteを活用しています。代表者や社員のインタビューを掲載していますが、他社と大きく異なるのは記事のテーマ設定。リモートワークやリスキリング(学び直し)など、メディアで話題になっているトレンドについて、社員が職場環境や制度と絡めながら紹介しています。
働く社員の紹介
noteで社員インタビューを掲載する企業が多い中で、フォーカスをあてる社員やテーマの切り口を工夫することで、より一歩踏み込んだ情報を発信することができます。社員もインタビューに応じる中で、仕事のやりがいや職場の良さを再認識したり、周囲の反響からモチベーションが上がったりと、そこで働く社員にとっても意義のあるコンテンツを届けることができます。
■ ローソングループ
一般的にローソンといえばコンビニというイメージが定着していますが、実際は金融(ローソン銀行)、エンタメ(ローソンチケットやHMV)など、多岐にわたる事業を展開しています。noteでは、それぞれの分野で活躍する社員に焦点をあてることで、同グループの多様な事業を紹介しています。また、発信する情報や読者に合わせて、媒体を分けている点もポイント。一般顧客に対して商品情報を紹介したかったら公式サイトを、求職者に対して事業を紹介したかったらnoteを活用するなど、情報発信の構造を理解することでWebマーケティングのヒントが得られるでしょう。
■ 株式会社マネーフォワード
金融系のウェブサービスを展開している株式会社マネーフォワード。noteでは様々な部署や国内外の支社で働く社員が、入社したきっかけから仕事内容、やりがいなど幅広く紹介しています。入社3か月目の社員が登場している”入社エントリ”では、同社を選んだ理由や入社して感じたことを記事に。本人も現状の良さを再認識できるだけでなく、読者の選考に対する不安を解消するという効果も見込めます。
■ パナソニックグループ
人事部や広報部がnoteを運営する企業が多い中、パナソニックグループの運営体制は非常にユニーク。新卒で人事部に入社する予定の学生2名が「内定者編集部」を立ち上げ、同グループの部署や社員を学生ならではの視点で、1つのマガジンを運営しています。就活生が働くことに対して感じる不安に寄り添った優しい文章が非常に魅力的。記事を読み進めるうちに、就職活動や仕事そのものに対する印象をポジティブに変換してくれます。
まとめ
インターネットやSNSの普及により、情報量も発信方法も目まぐるしく変化する現在。採用活動においても、常にアンテナを張って、新しい手法を効率的かつスピーディに取り入れられるのかが重要になります。
何より強調してお伝えしたいのは、読者との”接点を増やして印象に残る”こと。日々、読者は大量の情報に触れています。その中でも、情報と接触する回数が少なかったり、印象が薄かったりすると、読者の中でニーズが発生した時に思い出してもらうことすらも難しいかもしれません。noteでの情報発信を通じて読者の目に触れる機会を増やし、心に残る情報を発信し続けること。それは、企業と読者を結び、今後の採用活動を成功に導くカギになるはずです。