【エッセイ】自己啓発本と現実の乖離
世の中には、自己啓発本というものが溢れている。
人生をうまく生きるための方法だったり、仕事を効率的にこなすやり方だったり、種類は様々だ。
仕事、恋愛、趣味、生活色んなジャンルにおいて自分の価値や幸福感を高めるためのメソッドがそこには書かれている。
同じようなテーマでも複数の本があるし、同じ著者が別のテーマで書いていることもある。
そんな具合だから、世の中には本当にたくさんの自己啓発本があるのだろう。
それなのに、現実の世の中では、悩みを抱えた人はあとを立たないし、根本的な解決方法を見いだせずにいることも多い。
自己啓発本と現実の間には乖離があるのだ。
これはどうしてだろうか。
この乖離は何なんだろうか。
自己啓発本では問題が解決できないからなのだろうか。それとも、人々が持っている悩みや課題にあっている本と出会えていないからだろうか。
私が考える一つの答えは、本に書いてある答えでは不十分だからだ。
普通、自己啓発本は、筆者の経験や体験から考えをまとめ、進むべき道が示される。
それはものすごくわかりやすい。
しかし、わかりやすく簡素化されているが故に、大切な情報が抜け落ちているのだと思う。
ここで言う大切な情報は、自己啓発本の筆者が問題にさし当たった際に考えた思考すべてである。
筆者は問題や課題に対して、本に書いている情報量の何十倍も何百倍も悩んで考えたはずである。
そんな考え抜いた結論部分やあらすじをまとめたものが本になっており、試行錯誤の詳細は書かれることはない。
そんなものを書いても量だけ増えて中身がないと思われるし、そもそもすべてを書くことは不可能である。
やはり、時間をかけて悩む、考えることが問題解決につながるのだろう。
だからといって、自己啓発本が全く無意味なものだと言っているわけではない。
むしろ、問題や課題を持った人はもっと読むべきだと考えている。
しかし、一つの自己啓発本を読むのでは不十分だ。
時間をかけてたくさんの本を読むべきだ。直接関係のない本だって構わない。
自分で考えながら、本を使って他の人の考えを少しずつ取り入れるのだ。
少しずつ色んなジャンルの本から考え方、メソッドを吸収し、自分なりの解を見つけるのだ。
その結果、得られた結論は、最初に読んだ本の中に書いてある内容かも知れない。
だけれども、最初に見た本に書いてあったことを実践するのよりも、はるかに高い効果が得られるだろう。
それは、やはり自分で考えたからだ。
自分の考えを補助したり、自分の考えを育てるきっかけや刺激となるような使い方をするのがよいだろう。
これからも私は本を読みながら、自分なりの考えを模索し続けていきたい。