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リコマースのグローバルトレンド(後編)

こんにちは!リコマース総合研究所(リコマース総研)、主席研究員のakaneです。

前編に続き、後編ではThredUpが提供する下取りモデルとは異なる、Peer to Peer(CtoC)モデルを提供しているRaaS企業、Recurateが2022年8月に発表した「リセールレポート」( https://www.recurate.com/overview/circular-fashion-is-now )をもとに、リコマースのトレンドを解説していきたいと思います!

「リコマース」とは?

リコマースは、製品の適切な長期利用を促進する産業を指し、二次流通プラットフォームやサブスク・シェアエコ、リペア事業者、自社リユースを実践する一次流通のブランド・メーカーなどが参画する、循環型社会の実現と経済成長の両輪を目指す活気ある市場です。
この市場は、商品寿命をのばし循環させることで、大量生産・大量販売の時代から、高品質なものを最適量で生産し、循環型社会の実現に向けた重要な役割を果たしています。
また、リコマースの参加者たちは、消費者が持つ不要品を、必要な人にマッチングさせたり、修理して再利用可能な商品として市場に送り出したりすることで、循環型社会を実現するために積極的に貢献しています。

リコマースのグローバルトレンドサマリー

  • 世界的にみても、74%の人がリコマースで買い物をしており、人気なのは中価格帯のブランド

  • リコマース市場で売買する“サーキュラーズ”は40歳以下で、都市部に住む高収入層と判明!

    • 約半数はリセール目的で新品を購入し、9割はブランド独自のリコマースで購入

  • 30歳以下の若年層がリコマース市場を牽引し、サステナビリティを意識しながらファッションを楽しんでいる

  • リコマースは新規顧客との新たな接点になり、ブランドへのロイヤリティ向上、過剰生産の抑制に繋がる!?

世界のリユーストレンド

世界的にみても、74%の人がリコマースで買い物経験があり、オーストラリア、カナダ、アメリカの順でリコマース買い物経験者が多いという結果に。
その中でも、NikeやLevi’s、lululemonなどの中価格帯ブランドが販売者・購入者共に1番人気なブランドということがわかりました。

将来の消費を作る、サーキュラーズ

73%のリコマース販売者は、リコマースで購入もしていることがわかり、サーキュラーファッションの一助を担っています。
このようなサーキュラーズは40歳以下で、都市部に住み、他の人たちと比較すると高収入層であることがわかりました。
また、サーキュラーズのうち77%は少なくとも2-3ヶ月に1回はリセールを行い、48%はリセール目的で新品を購入し、89%はブランド独自のリコマースで購入するということがわかりました。

ブランド独自のリコマースを牽引する消費者

82%の若年層(30歳以下)がブランド独自のリコマースで買い物をすると回答。また、若年層の1/3は、1か月に1-2回以上、リコマースで買い物をしています。
リコマース市場で買い物をする人たちは、リコマースを利用しない人たちに比べ、2.6倍の頻度でワードローブを更新する傾向があることがわかり、サステナビリティを意識しながらファッションを楽しんでいることがわかりました。

リコマースのポテンシャル

サーキュラーズの85%はリコマースが提供されていれば、新しいブランドに挑戦すると回答しており、ブランド独自のリセールが新規顧客との接点になり得ることを示唆しています。
リコマース市場では比較的安価に新しいブランドを購入できる他、気に入ったら新品購入の機会創出にも繋がります。
また、リコマースによってブランドは在庫を過剰に抱えることなく、需要がある場合にはリコマース市場から需要を補充することができるようになります。また、シーズン終了時に在庫処分のために商品を大幅に値下げする必要もなくなります。そして、再販市場を提供することで、新製品を生産することなく、あるいは何かを無料で提供することなく、ブランドをショッピングする機会を提供することができると考えられます。

リコマースに参加している人の75%はよりロイヤルカスタマーになり得る傾向にあり、47%の人は1ヶ月以内に再度買い物をすることがわかっています。
このように、顧客との長期的な関係性やLTVにリコマースが寄与することがわかりました。

さらに、サーキュラーズの10人中9人はブランド独自のPeet to Peer(CtoC)リコマースで購入したいと回答。

おわりに

前編・後編にわたり米国の代表的なリコマース提供企業のレポートをみてきました。
下取りモデルやCtoCモデルと、サービスの形は様々ですが、両社ともブランド独自のリセールはブランドロイヤリティの向上に繋がるという結果が出ているのが面白いですね。
これまでアパレルブランドにとって、リユース品は新商品の消費を脅かすとイメージされてきましたが、グローバルトレンドで見るとサステナビリティに配慮した生産が避けられない中で、次の収入源の一手としてリコマースが注目されていることがわかりました。

▼主席研究員

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