龍眼と梨のスムージー
「こんにちは、仁一です。ごはん、食べた?」
仁一のオフの日、彼は職場を訪ねた。
辞めた上司が最後の挨拶に来たということだった。
「ベルグの4月」のマカロンを差し入れていった。
直接会えなかったのは残念だったが、塩キャラメル味のマカロンを手に取った。
甘さの中に広がる塩味と、キャラメルのほんのりした苦味が美味しかった。
……
ある日、友人と交わした冗談がふと頭に浮かんだ。
「今、部長になった友人たちは気をつけないとね。言葉ひとつでパワハラだと捉えられるんだから……」
軽く笑いながら言ったその言葉が、まさか自分の周りで現実になるとは思いもしなかった。
「彼はパワハラの加害者として辞めたんらしいよ…」と噂で聞いた。
しかし、どうしても納得がいかなかった。
一緒に働いてきた経験から、そんな人物だとは思えなかったのだ。
誰よりも部下を気遣い、真面目に対応していた彼が、少しの言葉の誤解でハラスメントとみなされる時代だとはいえ……。
逆に、彼は「被害者」だったのではないか?
部下に気を使いすぎて、自分の意見を抑えきれず、時折の「助言」が誤解されてしまったのではないか?
小さな誤解や不満が積み重なり、最終的に彼を追い詰めたのだろう。
彼が本当に伝えたかったのは、このマカロンのようなささやかな優しさだったのかもしれない。
自分自身も、前の会社でパワハラを受けた経験がある。
女社長に理不尽な理由で壁に押し付けられ、耳をつんざくような悪罵を浴びせられた。
怒りと屈辱で胸がいっぱいだったが、その場では何も言い返せなかった。帰り道で、涙が自然にこぼれた。
「なぜ、あの時言い返せなかったんだろう?」
何度も自分を責めたが、答えは見つからず、ただ無力感が残った。
その場で自分の意見を述べればいいのに。
よく6年間も耐えたと思う。
最後には辞める決断をした。
それが、人生で一番正しい選択だった。
自分の過去と、辞めていった上司の姿が重なる気がした。
彼もまた、長く耐え続けたが、最終的にはその重圧に押しつぶされたのかもしれない。
今の時代、「ハラ御守り」を持っているかのように、他人の言動に不快を感じた瞬間、それを即座に制限しようとする声が日に日に大きくなっている。
ハラスメントや不正行為を是正する動きは理解できるが、それが正義を掲げた過剰な抑圧に変わってしまったらどうなるのだろうか?
恐ろしいことだ。
もし、自分が不快に感じることのないユートピアを作り上げることができたとしても、それは本当に居心地の良いものだろうか?
そうした世界で生きることが、果たして正しいのか?
他人から見れば、自分の快適さを最優先にし、彼らの自由や意見を排除しているだけかもしれない。
それは、独裁ではないのか?
現代社会では、寛容さが失われつつあるように感じる。
もちろん、ハラスメントは許サン。
しかし、ハラスメントを受けたと感じた時、たった1分でもいいから、自分が本当に100%正しかったのか、少し立ち止まって考えてほしい。
もし、本当にパワハラされたのなら、証拠を集めるべきだ。
パワハラの常習犯は必ずまたやる。
そして、十分な証拠を集めて、上司や法的な機関に報告すればいい。
しかし、たった一度の注意で「パワハラだ!」と駆け込むのでは、自分自身を振り返る余地がなくなってしまう。
人は一度自分が被害者だと思うと、間違いないと信じ込んでしまうものだ。
それが人間だ。
だから、自分を守るのはエヴィデンスだ。
集めたエヴィデンスを第三者に見てもらえば、公平な結論が出るはずだ。
人間だから、いつも冷静でいられるわけではない。難しい。
「チームワーク」という言葉が浮かぶ。
なぜ人々は輪になって和やかに働けないのだろうか?
ハラスメントの加害者か被害者か、その境界は紙一重。
現代社会のハラスメント問題はまるでミックススムージーのように、様々な「ハラ」が混ざり合い、どれがどの「ハラ」なのか区別がつかない「ハラパラダイス」の現代社会。
……
この間、トレーニング兼散歩で巨人への道で数回往復した。ついでに稲城の梨を買ってかえって。
体を冷やし、頭も冷やし、常に冷静に保つ出来るように。
最近、オオゼキでベトナム産のフレッシュな龍眼があり、龍眼シロップを作っておく。
龍眼と梨はとても合うので、一緒にジューサーでかけたらすごく美味しいスムージーが出来た。
龍眼雪梨沙冰
梨と龍眼スムージーの作り方
龍眼シロップの作り方
材料
- フレッシュな龍眼果肉:150g
- 白砂糖:50g
- 水:100g
- レモンジュース:大さじ1
手順
1. 龍眼の果肉を取り出し、150gを用意する。
2. 小鍋に水、砂糖、龍眼の果肉を入れ、中火で加熱する。
3. 沸騰したら、弱火にして5〜10分煮詰める。
4. レモンジュースを加えて混ぜる。
5. シロップを冷ましてから、冷蔵庫で保存する。
梨スムージーの作り方
材料
- 梨:1個 (約 200g)
- 龍眼シロップ:5粒+小さじ1
- 生姜:3g
- 氷 : 50g
トッピング
- ブルーベリー:3粒
- クコの実:適量
手順
1. 梨をよく洗い、皮を剥いて芯を取り除き、適当な大きさに切る。
2. 生姜の皮を剥いて、3gを用意する。
3. ジューサーに切った梨、龍眼シロップの果肉5粒とシロップ小さじ1、生姜、氷を入れる。
4. 滑らかになるまで撹拌する。
5. グラスに注ぎ、ブルーベリーとクコの実をトッピングする。
*龍眼(Longan)は、東南アジアや中国南部で広く栽培されているフルーツで、ライチに似た食感を持っている。薄い茶色の皮の中に、透明感のある果肉と黒い種が特徴。甘くてジューシーな果肉は、デザートや料理のトッピングによく使われてる。乾燥させて薬膳やスープに使われることもある。乾物は精神的に落ち着かせる効果があるといわれる。ビタミンCや抗酸化物質が豊富だそうです。